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九份〜台湾旅行記

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九份、という地名を知ったのは、台湾に旅行に来るようになってからです。
映画「非情城市」についてお話しした時、ここがロケ地になったことも知りましたが、
今回台湾滞在中に一度見ておこうと思い計画しました。



九份へは台北から直通のバスが出ています。
同じバスにはやはり日本人の観光客らしい人たちが少なくとも二組いて、
台湾観光の定番になっているのだと思われましたが、面白いのは
バスの運転手さんが料金を徴収する時に日本人客からは細かいお金を取っていなかったこと。

5銭?くらいの端数を切り捨てでお札だけを取るのです。
お釣りを出すのが面倒だったからに違いありません(笑)

で、このバスの運転が怖いんだよ。

バスなのに高速でも飛ばしまくりで、おそらく100キロはでてたんじゃないでしょうか。
カーブの時など明らかにぐらっと傾きかけてるんですが、運転手、
何人たりとも俺の前は走らせねえ!な勢いでかっ飛ばしていきます。

行きも帰りも同じような運転だったので、これはこの運転手だけがそうだったのではなく、
どうやら彼らは時刻表通りに運転しているだけだったのではないかと思われました。

行きに、前の方に座っていて肝が縮む思いをしたので、帰り後ろに座ると、
ほとんどの席にシートベルトがありませんでした(−_−#)

しかし、山間部の登り坂道に来た途端スピードががくん!と30キロに落ちて安全走行。
というか、精一杯ふかしてもそれが車の性能の限界であった様子(T_T)



バスが思いっきりノロノロ走っている時、向こうに何か見えてきました。
金山寺というお寺で、観光用というより仏僧が修行する道場になっているそうです。



そしてバスはうねうねと山道を登っていきます。
途中全くアナウンスもないし、降りる人がいなければバス停にも停まらないので、
近づくにつれ大変不安になったのですが、それらしいところで降りたらそこが九份でした。



この写真を見て初めて気づいた装飾。



ライオンともクマともつかない動物にまたがっている人発見。
いやっほ〜い!って感じで名乗りを上げています、



聖明宮というお寺の屋根の装飾らしいんですが、すごいです。
これでもかの極彩色。
遠くからなのでこの素材が何であるか全くわからないのですが、年月を経て
全く色が褪せている様子がないので、おそらく陶器ではないかと思われます。
もしこれを全部焼いて作っているのだとしたら凄すぎる。

これは日本でいうところの七福神みたいな感じの神様でしょうか。



道はまだ上に向かって続いており、山の頂上付近をよく見ると、



山水戸のところどころに見晴台なのか、このような建物があありました。
一番上まで登ったら何があるんだろう・・。



バスを降りたところでいきなり面白看板発見。
袈裟懸けのお坊さんをフィーチャーした病院の宣伝。
キリスト教系の病院というのは日本にもありますが、台湾には
仏教系の病院もあるわけか。

どうも用地はあるのでこれから建てるのだけど、そのお金を寄付してくれ、
と言っているように見えますがどうなのか。



さて、昼ごはんを食べ損ねてお腹が空いたので、とりあえず何か食べよう、
ということになったのですが、こういうところで何を食べるべきかわからないし、
地球の歩き方も持っていないし・・、ということで、バス停近くにあった
ファミリーマートのイートインコーナー(大きくて広い)で、
カツカレー(手前)とラーメンを食べてみました。

日本のコンビニと比べようがないのでわかりませんが、まあ食べられました。
台湾のコンビニも日本のように、お弁当を買ったら温めるかどうか聞いてくれます。
カウンターのお兄さんは日本語はわからないようでしたが、英語がしゃべれました。



九份って、なんなのか、と聞かれるとただ町でしょ?くらいしか
知識もなしにきてしまったので、とりあえず何をしていいかわかりません。

「あのコンビニの横の魔窟みたいなところを入っていけばいいんじゃないかなあ」



魔窟の入り口の横にあった謎の専門店。
「石頭猫」?



と思ったら石頭犬(狗)もいた。



さて、それではこの商店街に入ってみます。
お店の前にボンベがたくさん・・・。
とりあえずこの辺に都市ガスは引かれていないことはわかりました。



台湾風のケーキ、蜂巣ケーキだそうです。



陶笛というのはおそらくオカリナのことだと思うのですが、
このお店ではCDを鳴らしながらそれに合わせて「実演販売」していました。



注文すればしぼりたてのジュースが飲めるのですが、スイカはわかるとして
苦瓜・・・・?

すみません、わたし苦瓜苦手なんです。
苦瓜のジュースなんてとんでもないです。




九份にはイノシシもいます。
ってことで、地産地消、とれとれピチピチのイノシシ肉で作ったソーセージ。
それはいいんですけど、パソコンで製作したらしいポスターのイノシシ画像、
これは客に食べてみようと思わせるには少し逆効果だと思うがどうか。



お店の奥にかけられたご先祖様の写真。
日本でもこんな風に鴨居におじいちゃんの写真がかけてあるところ、
田舎に行くと未だにありますよね。

もしかしたら日本統治時代の慣習の名残なんだったりして・・。



何をしているのかわかりませんでしたが、九份の名物には芋団子や草餅があるので、
そういうお菓子を作っているのではないかと思われます。



野良猫もいました。
それにしても痩せている・・・。
こんな折れそうな手足の猫を見たのは初めてです。



養顔、というのは日本語の「美顔」という意味でしょうか。



日本人は魚海老は活け造りや踊り食いするのが平気なくせに、
鳥とか豚とかが原形をとどめていると途端に食欲をなくす、
(向こうの人から見ると)おかしな感性を持つ民族です。

魚は平気なのになぜ鳥や獣はダメなのか。
これって、クジラやイルカは殺せないけど牛や豚は食べるものだと思っている、
欧米人の感性からは日本人は理解できないというのとつながるかもしれません。

ずっと魚を食べてきた民族のDNAでもあるんでしょうかね。



民宿の前を通りかかったら、写真で中を紹介していました。
和室というのは「日本風な部屋」ということでしょうか。
ドライサウナもあって眺望抜群。

台湾元は今だいたい三倍すればいいそうなので、平日二人で泊まって
なんと7200円くらい?一人追加ごとに1200円ってこれ安いですよね。

3600円出せば休憩もできます。



向こうに見えているのが基隆港。
基隆は日本統治時代、海軍の軍港があり要塞地帯となっていました。
もともとこの港は岩礁がおおく、大型船は入港できない港でしたが、
統治するや否や、日本政府は港周辺の浚渫(しゅんせつ)工事と防波堤の建設などを進め、
1万トン級の船舶が停泊可能な近代港湾として整備してしまったのでした。

台南で結成された海軍航空隊「台南航空隊」は、まず間違いなく
この基隆港から南洋に向かったということになります。



おみやげ物屋さんで日本でもある「名前タグ」。
ここ台湾では「王」「蔡」「宗」など、台湾人に多い苗字を
タグにしてしまうようです。
韓国と違って家名の種類が多いのでタグもたくさんあるわけですが、
どうも見る限りABC順にならんでいるわけではなさそうです。
こんな莫大な名前の中からどうやっておめあてのを見つけるのでしょう。



食堂で、食事中の客の足元にきておねだりしている猫。
さっきのとは別の種類のように太っています。



野良なのかここの飼い猫なのかわかりませんが、客が食べ物を床に落としてやり、
それを食べていてもお店の人は黙認しているようでした。
日本だったらそもそも食べ物屋に猫がいるなどありえない光景です。



これは首輪をしているので近くのお店で飼われているらしい犬。

 

手作り工房「愛の物語」キター。
センスが限りなく昭和の「ペンションブーム」のころなんですけど・・。

ちなみに台湾人は日本語がある程度読める(というかわたしたちが中国語を読めるように)
ので、台湾にある東急ハンズの商品はほとんど日本のものが商品説明も日本語のまま売られています。



やはりこうしてみると日本とは違う街並み。
九份は19世紀終わりに金鉱が見つかり、日本統治後は鉱山が開かれていましたが、
(あ、それで金山寺なのか)採掘できなくなって1971年に鉱山が閉鎖され町は寂れていました。



ここには大きなホテルなどはなく、宿泊施設はすべて民宿です。
古くから残る建物もありますが、このように「古く見せている」ものもあります。
いずれにしても観光地として雰囲気を壊さないように町全体で取り組んでいるようです。



「九份にはトイレがない」「あったとしてもペーパーがない」

という恐ろしい話を前もって小耳に挟んだため、震え上がったわたしたちは
濡れティッシュと携帯ペーパーを台北で買って臨んだのですが、
あまり心配には及びませんでした。
坂の途中に喫茶店があり、そこには普通にお手洗いもあったのです。 



台湾は蒸し暑くて、外を歩いているとじわじわと汗が噴き出す、
実に不快な気候だったのですが、冷房した室内でタピオカのはいった
冷たいドリンクを口に含むとホッとしました。
ちなみにこのカップは350元くらいしたと記憶します。
わたしたちは「場所代」「お手洗い拝借代」として高いとも思いませんでしたが、
台湾の人にはとんでもない暴利に見えるのか、店内はガラガラでした。



さて、それでは九份のメインイベントへと。
九份は階段の町。
細い階段を降りていくと・・、


でた〜。
これがあの九份らしい建物のあれね。



「千と千尋の神隠し」に登場した「湯ばば」の屋敷、とがっつりかいてあります。
今この看板を拡大してみたら、

「千と千尋の神隠し映画のキャラクターの顔のお守りを店内で買えます」

スタジオジブリの許可は得てるんですか?



台湾でも宮崎アニメは普通に人気なので、全く同じことが漢字でも書いてあります。



しかし、嗚呼、悲しいことに、九份のこの屋敷をあの映画の作画のモデルにしたという
事実はないということを、宮崎駿ご本人が断言してしまっているそうです。

空気読めパヤオ。
ちゃっかり商売にしてしまっている九份の人たちに免じて(笑)、
ここがモデルだということでも別にいいじゃないか。

・・・って気もしますが、違うっていうんなら仕方ないね。



湯婆の屋敷(だから違うってのに)から少し階段を降りていくと、



「非常城市」のロケが行われた茶屋があります。
ここもわざわざ映画撮影前はなかった「非情城市」の看板を掲げています。
凄惨な白色テロがテーマの映画のタイトルですが、それはいいのね。

九份は金鉱が閉鎖されたあと、寂れた古い建物の残る町でしかなかったのですが、
1989年、「非情城市」のロケ地になったことから観光地として注目を集め、
それから何年間かは、台湾人の間で「九份ブーム」があったそうです。

商店街も民宿も、それ以降生まれてきたものだということですね。




白攝現場というのが「撮影現場」という意味のようですね。
ロケに使われたということを売り物にするなら、これでもかの
メニューの写真は逆効果のような気がするのだけど・・。



撮影に使われなかった茶屋もこの通り。
こちらも雰囲気ありますね。



劇場だったところはいまでもお芝居が行われている模様。
一番右に日本のお侍さんがいるのだけど、どんな話なんだろう・・。



「非情城市」の茶屋全体像。



神に筆で書いたものを木に彫りつけて(字が凸)あります。



ウーロニ茶。ジャスミンちゃ。クピオカ。

やはりカタカナが台湾の人たちには難関と見た。
というか、誰も指摘しないのね。まあわかるからいいけど。



でた。

「ビーフソ」。

カタカナの中でもシとツ(ツンガポールとかw)、そしてソとンの違いは
外国人にはさらに難しいのかもしれない。
その横の

「豚足ルーロウウつアソ」

にいたってはもはや原型がなんであるかさえ意味不明。
無理しなくても上の「猪(豚)御飯」だけでだいたいわかるっつの。

あとは無事()かと思ったら、

「虱目魚のスープは」

ああ、気になる。全く食欲をそそらない名前の「虱(しらみ)目魚」の正体は?
そして、「虱目魚のスープは」の続きははたして・・・・?!



どんどん下に向かって歩いて行きます。(その心は楽だから)



この辺りに来ると観光客は誰もいなくなりました。
赤いパイナップルの飾りがかわいい。
台湾というか、中華圏って本当に赤が好きですよね。



ここも劇場のようです。
時代劇を舞台で行っている模様。

台湾を挟んで中華民国旗と日本の旭日旗が描かれている・・・。
手前の紫色の侍は明らかに日の丸のハチマキをつけているわけだけど、
こちらの内容はさらに気になるなあ。

まあ、日本人が多く訪れることで保ってきたような観光地だから、
さすがに「日台戦争」(by  NHK)みたいな話ではないと信じたい。



この「軽便路」は、統治時代に台湾の会社と日本が合資で作った貨物鉄道のこと。
鉄道といっても、人力で速さを加減しながら動くトロッコだったそうです。



軽便路だった道を下ってきたら、自然食系のお店があり、その店先には
なぜか「反核」の垂れ幕が!

台湾に原子炉をあらたに作ろうという話があるんでしょうか。
たしかすでに台湾には島の両端に計4基、原子力発電所があるのですが・・。
反核運動を進めているらしいここの店主の言うには

「福島はもういらない」(みたいな?)



台湾という国は小さいけれど特にITの分野で先端をいっているという先進国で、
実はこの鄙びた(でもないか)観光地にもくまなくインターネット回線が張り巡らされ、
街角に立てば無料でWiFiにつなげることができるというくらいなのです。
(知ってたらグーグルアース使ったり、食事ができる店が調べられたのに・・)

当然、国内産業の基は原子力発電に多くを負っていて、台湾人はその恩恵を被っているわけだけど、
ここの店主さんはインターネットも使わず、電気を節約するために冷房もつけない主義かな?



というわけで、駆け足で巡った九份。
日本統治時代に建てられた建築物が多く残っているところを歩くまで至らず、
蒸し暑さのせいで見残しが多かったという感はありますが、
日本と似ているようで全く似ていないディープ台湾を見た気がしました。





 


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