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空母「ホーネット」アイランドツァー再び

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二年前、サンフランシスコのアラメダに繋留されて
博物館になっている空母「ホーネット」を見学し、
つい最近、つまり二年がかりでその報告を終わったばかりですが、
今年の夏もアラメダに行って「彼女」に会ってきました。

アイランドツァーに参加したものの、タイムリミットが来てしまい、
最後まで見ることができなかったので、

「またホーネットに行ってアイランドツァーに参加してきます」

とここでした約束を果たすためです。
まあ別に誰にも期待されていないかもしれませんが、一応約束は約束。
サンマテオブリッジを渡り、延々と5車線の高速道路を走って、アラメダに到着しました。
今回初めて知ったのですが、「ホーネット」の繋留されている桟橋には

「The Jimmy Dolittle Pier Alameda Naval Air Station」

というのが正式名称になったようです。

そして2年ぶりの対面となったわけですが、全くそんな気がしません。
今回こちらの友達と以前一緒に行ったカフェに行って、


「1年ぶりって気が全然しないわー」

というと、

「去年は来てないよ、2年ぶりだってば」

と言われて驚いたように、最近は2年前なんて昨日のことみたいです。



そんな年寄りの繰り言のような愚痴はそこそこにして(笑)。

ここは確か砲座のあるところだったと思いますが、修復のため
全面的にカバーが掛けられて屋根までつけられています。
塗装の塗り直しだけなら雨の降らないこの季節、ここまですることはないので、
もしかしたら砲座を体験できるような展示の作成中かもしれません。

これは来年も来てみるべきかな。



2年前に来た時には、真珠湾攻撃を目撃した元軍人を読んで
体験談を聞くという、もしわたしが日本人でなければぜひ参加してみたい
催しが行われていましたが、今年はそういうイベントとは打って変わって

「ダンス&ポーカートーナメント」

です。
戦争と何の関係もないじゃん。

まあしかし、ホーネットも財政事情が苦しいらしく、入場料が8ドルも値上げされて
大人一人20ドルになっていたくらいなので、この際パーティ会場としてでも
イベントで稼ぐようなこともやるようになったのかもしれません。

第二次大戦時に生まれ、ミッドウェーに参加し、アポロ13号の回収を行った
という歴史的なフネであっても、現代のアメリカ人の関心はそうは集まらないのでしょう。


さて、20ドルの入場料を払って中に入る時、アイランドツァーはすぐに参加できる?
と聞きましたら、甲板にいればすぐに始まるからそこで待てばいいとのこと。
お客さんがあまりいないように見えても、すぐに何人かの人は集まるようです。



甲板に出てみると、右の紺色のシャツを着た係員がいたので

「アイランドツァー参加できます?」

と聞くと、もちろんですよと答え、すぐにトロージャン(T-28)の下で
座っているお子様三人に注意をしに行きました。
柵をしているわけではないので飛行機の下部を見るのは自由ですが、
やはり子供が車輪近くにいて何かあってはいけないという配慮でしょう。

ところで、このトロージャン、テキサンなんかよりずっと零戦に似てないかい?
いくつもの戦争映画で零戦役を務めるのはテキサンということになっているのですが、
こちらの方が適役なのになあ、といつも思います。

子供達はお父さんと一緒にアイランドツァーを待っていたのでした。
彼らが加わって総勢12人くらいのパーティができあがり、ツァーが始まりました。



前にも解説したところは飛ばしますが、甲板上の役割が
来ている服の色で分けられているということを説明しています。

この解説員は、ウィルといい、自分は海軍の元パイロットで、「ホーネット」のような、
たとえば「タイコンデロガ」などの空母に乗っていた、と自己紹介しました。
スラリとしたイケメンおじいちゃんで、現役時代はさぞかし、と思われるその容姿が、
去年知り合った元兵学校生徒の建築家S氏にどことなく似ているので、
わたしは内心彼を「Sさん」と呼んでいました(笑)

Sさんは若い時に空母勤めをしたためか、補聴器を耳に入れているにもかかわらず、

「わたしは耳がよく聞こえないので、後ろから何か言われてもわかりません」

と言っていましたし、軽く片足を引きずりながら歩いていました。

そんな方がフネの階段を上がり降りするたび、
(降りる時には必ずSさんは背中向けに降りていた)

「ちょっと息を整えるまで待ってください」

などと言いながらもこうしてボランティアを勤めているのです。
これは、よほどの使命感でもなければできないことだなあと思いました。



「Sさん」の背中には、「あの」、「トンキン湾ヨットクラブ」、
(ベトナム戦争に参加していたため)そして所属不明のパッチ、
「ボノム・リシャール」のマークがありました。
よくよく見ると「CVA-31」とあるので、強襲揚陸艦になる前の、
空母の頃の「ボノム・リシャール」に乗っていたことがわかります。

まあ、パイロットだったって言ってんですから当然空母なんですけどね。


 
ここの写真も割とつい最近アップした覚えがあります(笑)
「Sさん」はここを「プライマリーデッキ」と言っていたような気がしますが、
艦内にいて、何か状況に異変が起こった際、まずここに出て状況を確認するからだとか。



このあと、艦内の階段を1階分だけ上がったところにある管制室。
ここも前に説明を聞いてますが、前の人より「Sさん」の解説は
わたしにとってはわかりやすかったような気がします。
訥々と、しかし要点だけを簡潔にしゃべるので日本人向けというか(笑)

いくつかの空中給油の写真を見せているところ。



蛍光カラーのサッカーユニフォームの3人組は、基本的に
おじいちゃんの話など聞いておりませんでしたが、時々は
このようにわかりやすいところだけ興味を示していました。

フレネルレンズで侵入してくる航空機に「高杉」「ちょうど」「低すぎ」
と教えるサイン。

「It's very easy. Very simple.」



前にも注目したこのテレビは今回確認したらSONY製でした。
これもモニターです。



ここで移動。
管制室を出て次のところに移るのにはいちいち外に出ます。
甲板のファントム(改修中)の下にたくさん人がいますが、
これはおそらくキャンプか何かの団体で、子供と同じ数親もいますから、
おそらく幼稚園児くらいの歳の子供たちのツァーで、
カタパルトの説明を受けているようです。

次に説明を受けたのは航法室でした。



Dead Reckoning Tracerというのは、推測航法追跡とでも訳すのでしょうか。
この部屋に入ってすぐ、「Sさん」は大きなボードに書かれた
「ホーネットの現在位置」を示し、これが「オフィシャルポジション」だと言いました。
「ホーネット」の航行は全て全自動で管理されており、
ここにあるDRTは「ホーネット」の艦位を表しますが、同時に
CIC(戦闘指揮所)と一致しなくてはいけません。



これがそのDRTだと思うのですが、驚いたことに「生きて」いました。



隣にあったパネルの、細長い蓋を、見学者の一人が持ち上げて見せました。
なぜこの人が?と思ったのですが、「Sさん」は自分でいろいろとやって見せるのが
体力的にかなり辛いらしく、最初に自分についてきた見学者に

「説明が始まったらこれを持ち上げて見せてください」

と前もって頼んでいたようでした。
後になって自分がその役目を仰せつかり、そうと知ったのですが。

これは航法に関する「コンピューター」だそうです。
当時からコンピューターと呼んでいたのかどうかは知りませんが。



「セクスタント」、測距儀です。

「わたしたちは海の上で自分のいる位置を知るために、天体観測を
測距儀によって行いました。
・・・・・当時はGPSなんてありませんから」

見学者の間に笑いが漏れます。
GPS装置の発明は人間社会を変え、世界は「GPS以前・以後」になったと感じます。
 


決して広い部屋ではないにもかかわらず、コーヒーがないと生きていけない
アメリカ人のために、この航法室にはコーヒーメーカーと(ポットかな)、
各自の名前が書かれたカップが備えられていました。

岩国の海兵隊基地で、ホーネットはホーネットでも「レガシーホーネット」、
飛行機の方のホーネットドライバーにパイロットの控え室を見せてもらった時、
各自のカップのあまりに汚いのにドン引きしたことを思い出しました。

海軍軍人さんは綺麗好きなので、皆ちゃんとカップを洗っていたと信じたい。
ところで、ここのメンバーは20人いたはずですが、カップの数が足りません。
船を降りる時に記念に持って帰ってしまった人が何人かいる?

 

ちなみにここにあるコーヒーは「大変ストロングなものだった」ということです。
こうなってしまわないために濃いコーヒーを飲んでいたんですね。

彼らは「ホーネット」の”quartermaster”、操舵手たち。
1969年7月24日、アポロ11が着水する数時間前、「ハイ・アラート」状態であった
彼らがわずかの間にその場で爆睡する様子。


確か去年の見学では航法室は見なかったような気がします。
この部分が早く帰ってしまったので見損なった部分なのかと思いましたが、
前回見なかったところから見学が始まったのは不思議でした。

もしかしたら解説員によって順番が違うのかもしれません。
さて、このイケメン元パイロット「Sさん」は、どんな「ホーネット」を
見せてくれるのでしょうか。


続く。 


 


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