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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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静浜基地航空祭〜T−4(ドルフィン)とブルーインパルス

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塗装が違うとこんなに印象が違うものか、とつい思ってしまいますが、
皆さんご存知のように、ブルーインパルスの機体はT-4を使用しています。

ブルーは白と青の塗装にし、チームで独特の演技飛行をしますから、
何か特別な機体を使っているように思っていましたが、同じ機体だったんですね。

わたしがこのあたりのことを知らないのは、読者の方も周知の事実。

先日、ブルーインパルスの飛行についてのエントリで
「シートベルトをしていないと背面飛行のときに落ちるのか?」
と書いたところ、

余計な事ですが、座席の「シートベルト」は「ハーネス」と言った方が、
業界的には、「・・・関係者の方ですか?」かも知れませんよ。

「ハーネス」とは乗馬クラブで聞いた事があるのでは?
そちらの方が「より」らしいでしょ?

という、噛んで含めるようなご親切なメールをいただきました。
乗馬クラブに限らずハーネスという言葉は存じ上げているんですが、
そういう気の利いた?言葉がすっと出てこないんですよ。わたしの場合。

さらに見るに見かねて?このような、
「初心者向け講座」までしていただきました。

「ひこうきのおもなしくみ」

方向昇降舵
補助翼
フラップ
ドッグトゥース


・・・・・・そんなことくらい知っておるわ!

といいたいところですが、実のところこの中で自信を持って
「はい、ここです」といえるのはフラップと補助翼だけ。
あとはどれもこれも、聴いたことも意味も分かるけど、ではそれはどこですか、
と聞かれると「えーと」ってかんじだったので、役に立ちました。(役に立ったんかいっ)

特にドッグトゥース。
犬の歯ですね。これは初めて知りました。
装飾の形状に始まって、航空機で普通に使われているとは、目からうろこです。

というわけで、エリス中尉、またしても少し物知りになってしまうのだった。
どんな知識も毎日のように積み重ねていくうちに、『道』は形成されていくのだなあ。

どこに行く道かはわかりませんが。



T-4はいわゆる「サブソニック」、亜音速機にカテゴライズされます。

超音速、すなわちマッハ1以上のものを
「スーパーソニック」(超音速)といい、たいていのジェット戦闘機がこれに当ります。

スーパーソニックがマッハ1.2〜5のスピードだとしたら、この「サブソニック」は0.75。

このことを息子に言うと、即座に「これを見たまえ」と言って、サウンドバリア、つまり
音速の壁を破る瞬間のyoutube映像を見せてくれました。

本当に「ドーン!」っていうんですよ。その瞬間。

・・・・え?

そんなことも知らんかったのか、って?(-_-)

超音速の参考映像として、わたしがサンフランシスコで見たブルーエンジェルスの機体が
例に挙げられていましたが、ブルーエンジェルスの機体はF/A-18ホーネットです。
この辺相変わらずあんまり詳しくないんですが、インパルスよりスペック的には
上位の機体、つまりスーパーソニックの機種を使っているってことでOK?

ちなみにエンジェルスのパイロットは、耐Gスーツも酸素マスクもつけないそうです。
それが「ブルーズ」の伝統だそうですが、いったい彼らは何に挑戦しているのか。




翼端と垂直水平尾翼の先端のオレンジは蛍光色に塗装されています。
練習機ですから、視認性を上げるためですね。
垂直尾翼の黄色と黒のチェッカー柄もその一環でしょうか。

そして皆さん、742機のパイロットたちの首の向きを見てください。
なんとなく相手の機を見ているらしいのがおわかりでしょうか。






そして、写真を拡大して初めて知ったのですが。

742番の機の後部座席搭乗員をご覧ください。
一人だけ手を振っていませんか?(-_-)/
誰か知り合いに約束でもしてたんでしょうかねえ。

それとも何か「キュー出し」している?



どうも調べたところによると、このT−4練習機、やたらと操縦しやすいそうです。
練習生が、昨日画像をお届けしたT−7、プロペラ機からジェット機に、
ストレスなく移行するには、この「亜音速」が非常に有効、すなわち、
「亜音速」と「超音速」のあいだには「遷音速」(トランソニック)という段階があるのですが、
このT−4は超音速機への移行を目的としているので、
「遷音速のための翼」が採用されているのです。

漂音速とは、

機体表面に超音速の気流が存在しない速度(亜音速)を超え、
全ての気流が超音速となるまでの、
亜音速の気流と超音速の気流が混在する領域、

即ち

「亜音速以上超音速以下」

のことですね。
マッハで言うと0.75〜1.25、ジェット旅客機の巡航速度に相当します。

さらに、この機体、そのシェイプもまた練習用として配慮が行き届き、
全体的に丸みを帯びたその形態は、イルカに似ていることから、
「ドルフィン」というあだ名(正式名称ではない)がついています。

そういえば、ブルーインパルスの整備チームのことを
「ドルフィン・キーパー」というんですが、ドルフィンとはT−4のことだったんですね。

ここで、ブルーインパルスが背面飛行に移る連続コマ写真を少しだけ。














同じ機体を使ってはいますが、ブルーインパルスで使用されている機体は
正式には戦技研究仕様機という「特別あつらえ」です。

改変された点は以下の通り。

ウインドシールドなどの強化
HUD透明表示板の材質変更(バードストライク対策)、
ラダーリミッタの制限角度変更、
低高度警報装置の追加、
コックピット内の一部機器追加やレイアウト変更、

そしてこれがなければブルーインパルスではない!ということで

スモーク発生装置の追加



ラダーリミッターのラダーとは、読者の方も教えてくださった「方向舵」。
上にあるURLを見ていただければわかりますが、垂直尾翼の後縁についている可動翼で、
機首を左右方向に振る役割をします。

「ラダーリミッターの制限角度」とは、ノーマルT−4で5°の角度に対し、
ブルーの機体は10°まで取れるだけ制限を緩めています。
ラダーの制限を5°増やすことで、曲技のために必要な方向転換がより容易になるのです。

上で説明したハーフ・スローロールの動きですが、こういうのもすべて
微妙なフットワークでラダーを調整して行うのです。



このフォーメーションをフォーシップインバートというのですが、
この「全員で背面飛行」というのは非常に高度なテクニックが必要なのだとか。
なぜかというと、背面飛行そのものが難しいんですね。

背面飛行になると、操縦桿の操作に対して逆に機体が動くからで、
世界のどのアクロバット飛行チームにとっても、これが一番難しい技であるようです。 たとえば先ほどお話ししたブルーエンジェルスですが、「ダブルファーベル」
(Double Favel、Fabulous (素晴らしい) と Marvelous (驚くべき) を組み合わせた造語)
という、「2機だけが背面飛行」を行っています。

これはもしかしたら、彼らの使っている機体が超音速戦闘機であることにも
関係しているかもしれませんね。想像ですが。


3機が背面飛行をするフォーメーションを3シップインバートといい、
ブルーはダブルファーベルから3シップインバートを経て、現在の4シップインバートに その技術を進化させてきたのだそうですが、現在でもその日の状況
(風が強く、一番機がノーマルに飛ぶ必要があるなど)によっては、
フォーメーションを変えているそうです。

つまり、この日完璧な4シップインバートを観ることができた浜松基地の観客は
なかなかラッキーでもあったということです。

しかし、このフォーメーションのことだけ見ても、世界的に見てブルーインパルスの、
ひいては航空自衛隊のパイロットの操縦技術は、
非常に高いものだということができるのではないでしょうか。







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