こういう角度から見ると、何かに似ていませんか?
F-7が「イルカ」だとすればこれば「サメ」。
本当に飛行機の形って、魚類だなあと思ったりするわけですが。
さて、静岡浜松基地の航空祭についてお話ししています。
浜松の近辺で前日少しぶらついた時に乗った
タクシーの運転手さんがいずれも
「ご旅行ですか?」
と聞いてきたのですが、「静浜基地の航空祭で・・・」というと、
「しずはま?」と一瞬怪訝な様子で、「ああ、浜松基地ね」
まあ確かにここに住んでいる人が「静岡」などと認識する必要はないわけです。
とにかくその浜松基地の航空祭、9時からオープニングフライトが始まって、
ここの「マジョリティ」であるT-7、そしてT-4の展示飛行がすみ、
三つ目のプログラム、画像のRF-4が始まった時、時計はぴったり9時半でした。
海軍五分前とは言いますが、自衛隊の時間に正確なことは異常で、
毎年やっていることとはいえ、飛行展示の時間配分に数分の狂いもなし。
これは、我が日本国の自衛隊であるからこそで、たとえばイタリア空軍が
このようなイベントを数分刻みのスケジュールで運営できるか?というと、
決してイタリア人を信用しないわけではありませんが、
かなり無理ではないかという気がするわけです。
この後、F-2、F-15、C-130と続いていくわけですが、
各機種ぴったり15分ずつの飛行時間にこれも狂いなくプログラムが
粛々と進む手際の良さに、実はかなり感心してしまいました。
ところで、この日の基地の様子を少し。
ごらんのように、私たちのいた草地は、まるでこの航空祭のためにあるような、
とても広々としたスペースがありました。
勿論、格納庫前のコンクリートの上に敷物を敷いている人たちもたくさんいましたが、
この炎天下、コンクリートの照り返しはかなり厳しく、
おそらくわたしたちのいたところより辛かったのではないかと思われます。
草地では展示の無い時間、シートの上で寝転んで昼寝している人も多数でしたが。
ちなみにわたしは持って行ったパーカをあまりの暑さに着る気になれず、
半袖のTシャツに、肘までの手袋をはめていたのですが、シャツと手袋の間の
わずかな隙間が、真っ赤に日焼けしてしまいました。
その日の晩から3日間熱を持っていて、ずっと保冷剤を取り替えながら巻いていた、
という・・・・・・・まあ要するに「炎症」です。
現在痛みは無くなったものの、そこだけ腕章を巻いたように真っ赤、という、
これから半袖の季節だといのに、カッコ悪い日焼けをしてしまいました(;O;)
ノースリーブはもしかしたら今年着られないかも・・・・・。
とにかく、物凄い数の観客ですから、それこそどんな場所にも人がいました。
しかし、中には首をかしげたくなるようなところにも・・・。
この家族などは、なぜかどう見ても通路の、しかも真横にスピーカーがあって
そこを通るだけでもあまりのうるささに耳を塞いでしまいそうな場所に
こうやって何も敷かずに座り込んでいました。
この写真だけではわかりにくいですが、ここは草地に向かって人が移動する
まさに通路のしかも曲がり角なのです。
そんなところに、しかも子供二人には何のケアもせず・・・・。
せめて赤ちゃんだけでも日陰を作ってあげて!
とこの若い母親に思わず心の中で叫んでしまったのですが、良くしたもので、
赤ちゃんは見たところご機嫌で、お兄ちゃんの方もコンクリにぺたんと座り込んだまま、
熱心にゲームをしていて全く苦痛ではなさそうです。
ふと玄倉川のあの事故に思ったこと、
「子供は親を選べない」
という言葉がふと頭をよぎってしまいました。
いや、よぎっただけですよ。
そして、このおばあちゃんですが、来るなりいそいそと
座布団を敷いてそこに正座したまでは可愛くてよかったのですが、
なんと、この犬を芝生に置いたのには驚きました。
確か動物、とくに犬は禁止だったような気もするのですが、
おそらく小型犬なので、手荷物検査もほとんどしない入り口では
犬を入れていたバッグが見過ごされたのでしょう。
これ、わたしたちの前だったのですが、
犬はずっとその辺の草地をクンクン嗅ぎまわっているし、
もし目の前でいきなり片足を上げたりしたら、という想像をすると、
まさに気が気ではありませんでした。
出物腫れ物所構わず、とも言うじゃないですか。
そう思っていたら、いつの間にかいなくなっていました。
もしかしたら巡回していた自衛隊員に何か言われたのかもしれません。
左の建物の向こうが格納庫でありエプロンです。
ここにずらりと食べ物の屋台が並んでいるのですが、
何を買うのにも恐ろしいくらいの長蛇の列ができていました。
そして、信じられないことには大抵の食べ物屋が「飲料を売っていない」のです。
食べ物のために列に並んでも、また飲み物のために別のところに並ばなくてはいけない。
しかも、この日気温が高く、皆が食べ物よりもむしろ
水分の方を必要としているにもかかわらず、どこを探しても水を売っていないのです。
わたしたちは添乗員さんに前もって「水が買えないので持っていくのがいい」
と聞いていたので、前日から用意したボトルで何とかなりましたが、
あの「地べたすわり組」の夫婦は、ちゃんと子供たちに水を確保できたのだろうか。
見たところなんの用意もしていなそうだったけど・・、と余計な心配をしてしまいました。
何しろ、大変な人なので、ストレスはマックスです。
しかし、さすがというかなんというか、これだけの群衆が一所にすし詰めになっても、
決して大騒ぎになったり喧嘩が起こったりしないのが、日本人の民度。
確かに多少は変な親もいたりしますが、人の波が双方向に規則正しく流れ、
ぶつかったりしたら即座に「すみません」という言葉が聞かれ、
しかもこれだけの人がいるのにほとんど皆体も触れ合わずに移動できる、
これはもう民族の特技と言ってもいいのではないか、とすら思いました。
さて、9時半ぴったりに始まったRF-4の飛行です。
この機体は戦闘機F-4、つまりファントムIIと同型なのですが、
このシェイプに迷彩柄、いかにもな機体でありながらこれ、偵察機なのだそうです。
RはつまりResearchのRですね。(適当に言っています)
ファントムを改造して再設計されたこのRF-4、偵察機ですから、
機首部分にカメラを設置してあります。
この機種の黒く見える部分がどうやらカメラらしい。
そして、戦闘機との大きな違いは、複座双発であること。
むかしから偵察は必ず二人で行うことになっていました。
写真を撮ったり航法をしたり、ということを操縦しながらでは
やはり限界があったから当然なのですが、今現在、航法は
航法器材が揃い、困難な地点標定が容易になっています。
さらに、
前方監視レーダー
側方偵察レーダー
前方フレームカメラ
低高度パノラミックカメラ
高高度パノラミックカメラ
ビューファインダー
赤外線探知装置
フラッシュ発射器
とこれだけの装備が盛りだくさんに搭載されているわけですから、
偵察の仕事は無くなってしまったのでは、と心配になります。
その昔志望者が少なくて、兵学校などでは
「パイロットは車引き、車引きより客すなわち偵察の方がエラい」
と一生懸命偵察志望の学生を確保しようとしたものですが、
どうも最後までこの傾向は改善できなかったようです。
今でも海空自衛隊の人事は、偵察機の搭乗員集めに苦労するのでしょうか。
しかし、いかに科学が発達して、これだけのカメラを搭載していても、
それを確認するのはなんだかんだ言って人間の肉眼が最強なのです。
志願者の多寡についてはわかりませんでしたが、偵察が二人必要である、
という理由は昔も今も全く変わりがないということなんですね。
カメラは機体のスピードに連動して写真が流れないような仕組みを備え、
3種のカメラによって、雨中でも夜間でも偵察・撮影ができます。
これだけカメラを積んでいれば、もはや飛行機というより
「飛ぶカメラ」と呼んでもいいレベル。
展示飛行のプログラムにはRF-4としか書かれておらず、
この飛行中の写真からは
RF-4E
RF-4EJ
の違いがさすがにわたしにはわからないのですが、もしこれが後者なら、
「偵察ポッド」
を運用できる機体に改修されています。
偵察ポッドとは、略称である
TARPS (Tactical Airborne Reconnaissance Pod System)
と呼ばれることのほうが多く、
日本では戦術偵察ポッドと呼ばれています。
つまり、上に書いたような複数のカメラで地形を撮影できるシステムで、
搭載機が飛行中に写真を撮影すると、大きなフィルムのリールに保存される仕組みです。
また、収集した偵察情報をすぐさま使用できるように、
基地や母艦にリアルタイムに送信することもできるのだそうです。
通信の形はインターネットの発達でわたしたちの生活においても大きく変わりましたが、
軍事においてはそれ以上にその恩恵を被っているというわけです。
この「ポッド」は翼下に吊り下げて使います。
偵察機ではありますが、RF-4EJはもともと戦闘機ですから、
有事には本来の戦闘機としての仕様が可能です。
というのは、偵察機器をセンターラインポッドに搭載して運用するため、
機首のM61A1機関砲をそのまま維持しているからなのだそうです。
そのため、一度こんな事故がありました。
2001年(平成13年)北海道の島松射撃場上空で、対地攻撃訓練中の
第83航空隊(当時)第302飛行隊所属のF-4EJ改が、
ロケット弾を用いた実弾射撃訓練後に右旋回したところ不意に発砲してしまったのです。
約2秒間に渡って弾倉内の訓練弾188発(!!)が発射され、
弾丸は演習地北方に位置する北広島リハビリセンターの敷地内に着弾。
施設や駐車車両に損害を与えたという事故でした。
さぞかし搭乗員はその二秒間、背筋が凍る思いをしたことでしょう。
原因は、EJからEJ改への改修の際ドリルで配線を切ってしまい、
その切れた配線がロケット弾用の配線と接触して、砲撃が始まってしまった、
ということだったそうです。
(リハビリセンターでリハビリしていた人たちもかなり驚いたことでしょう)
しかし、この事件、みなさんご存知でした?
わたしは今ほど軍事に対して興味を持っていないので、おそらく
気にも留めなかったのだと思いますが、こんなことで大騒ぎしそうな
「市民団体」も、あまり大騒ぎしませんでしたよね?
先日、沖縄近くで米軍戦闘機が海上に墜落し、
パイロットを自衛隊が救出したという事件がありましたが、
沖縄から米軍を追い出すことに命を賭けている市民団体の皆さんは、
このパイロットの人命を救った自衛隊に
「なぜ助けた」
と非難を始めているというのです。
なぜ助けた、って・・・・。
たとえ敵国であっても無益な殺生を避けてきたのが日本軍。
ましてやアメリカは同盟国ですぜ?
なぜもなにもないのでは?
サヨクって、人権とか人命とか平和とか声高に主張する割には、
こんな怖ろしいことを平気で言うのね。
なぜこの件でこれだけ大騒ぎし、先般の誤射事件ではそう騒がなかったのか。
ほとんどの国民はその目的や目論見もお見通しですけどね。
太陽を背にしたF-15。(次回予告編)
RF-4は、雲仙普賢岳噴火や奥尻島津波などで被災地を撮影、
災害対策を支援する実績を上げています。