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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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「あたご」が”バトルシップ”に出演したわけ〜軍港の街舞鶴を訪ねて

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艦長自らの説明による「あたご」の艦内ツァー、操舵室の続きです。

「あたご」の事故について触れましたが、少し補足しておくと。

最高裁では、護衛艦側の見張りが漁船を見逃したのを、全面的な過失とする 
検察側の勇み足とも言える主張をことごとく覆す判決がでました。
しかしこの無罪判決を受けて、防衛省がこの件で全員をお咎めなしにすることはなく、
関係者の処分を軽くしたにすぎませんでした。

無罪として結審したあとも、マスコミの自衛隊に対する姿勢は変わりませんでした。

「一方で地裁判決は、無罪となった2人について漁船の動静判断を誤り、
十分注視していなかった点は認めた。
審判裁決は、それを事故の主因と認定した点が違うだけだ。
海自の組織責任は免れぬ。」(愛媛新聞社説)

『地裁では有罪だったのだからそれが覆されても罪を負うべき』ってことですよね?

こんな、一見矛盾はないようで、実は法治国家の言論の府にはあるまじき
感情的な意見を投げつけ、相変わらず世論を煽り続けていたわけですから、
自衛隊としては、これが精一杯の処分見直しだったのではないでしょうか。



そんな事故の起こったことを、わたしは不思議と艦橋にいるとき
全く思い出すことはありませんでした。

単にすっかり忘れていただけという説もありますが、(; ̄ー ̄A  
目につくものについて思いつくままに質問したり返事を聞いたり写真を撮ったり、
そんなことを思い出す余裕はこれっぽっちもなかったのです。

何しろ、三人の見学者のうち、口を開くのはわたしだけという状態で、
TOはただときおりお礼を言うために口を開くという具合だったので・・。



さて、ここには青ストラップ(士官)の双眼鏡がちゃんと名前のついた棚に収納されています。
右側の二つの棚にあるのが士官以外が使用するものである模様。

「幹部は各自自分の双眼鏡があるんですね」

「各自の視力に合わせて調整がされているので、自分のを決めておくんです」

なるほど。大した手間ではないとはいえ、毎日のことですからね。
ちなみに双眼鏡のメーカーはカメラのアクセサリーでよく名前を見る
「ケンコー・トキナー」でした。

緑色のストラップは幕僚用だそうです。



双眼鏡の真ん中には桜に錨のマーク入り。
砲術士アルファの双眼鏡のマークは取れてしまっています。

「結構よく取れるんですよ」

だそうです。



「あたご」艦長は1佐なので、椅子は赤。
艦長用の赤いストラップのついた双眼鏡は、ちゃとテーブル下の物入れ(右)に
きっちりと収納されています。

筆記具などが取り出しやすいペン差しも、艦長用は赤です。
足元のはヒーターかな?



仕方なくトリミングしなかったけど、ケラレがあってごめんなさい。


艦長の椅子と反対側にある黄色い椅子が艦隊司令、軍司令の椅子。
ここにもちゃんと黄色いストラップが収納されています。

ちなみに操舵室の窓には桜のマークが2つ貼られていますが、これは

「群司令たる将官(二つは海将補)が乗る旗艦」

を表します。
「あたご」は第3護衛隊群の第3護衛隊に所属し、群司令は眞鍋浩司海将補です。
 

このマークを「海将補が乗艦中」と説明しているサイトを散見しますが、
乗ったり降りたりするたびに、窓から紙を貼ったり外したりするのは無理です(笑)

隊司令乗艦時、白地に一つ桜の縁取り旗を揚げ、不在時には黒い旗が揚がります。
この日は黒い旗が揚がっておりました。

「連休ですからお休みなんですね」



操舵室から艦橋の外に出るところの壁一面になにやらスイッチが。
ほとんどのスイッチは停泊灯で、「日出時:切 日没時:入」といちいちシールが貼ってあります。

日没時に全部スイッチが入る一つのスイッチを作るという案はなかったの?



艦橋のデッキに出ました。
出航の時に艦長が立つところです。
向こうでは「みょうこう」が大々的な補修中。
「みょうこう」もきっと観艦式に出るためにお化粧直ししてるんでしょう。

そういえば映画「バトルシップ」では「みょうこう」の名前が出演しましたね。
(この部分伏線) 





で、その手前が、これ(笑)、こんなところに満艦飾が。

「何してるんですか」

「干してます」

いや、干してるのは見ればわかります。

「濡れたんですか」

「そういうわけではないですけど」

お天気のいい日には太陽に当てて殺菌するんですね。



広角レンズだとマストもこんな風に映るのでいいですねえ。
レーダーらしきものはTAKANしか見えませんが。

これも広角レンズ買ってよかったー!と思った写真。
こんな画角の写真、初めて撮ったよ。
広角なので、端の部分をアップにしたら、微妙に歪んでいるのが難ですが。

「あたご」が艦首を向けている方向には「赤煉瓦パーク」や港めぐりの船が出る岸壁があります。



内部も少しだけですが見学させてもらいました。
偉い人たちが集まった時にはここで会議を行ったり会食したり?
奥にはカーテンの引かれた小窓がありますが、ここから
料理のお皿が出てくるのだと思われ。

棚の上に立派な壺が飾られていますが、木の台座に乗っているだけ。
時化たら転がり落ちたりしないのかしらと心配です。



トイレまで撮影してしまうのだった。

アメリカで見た空母や、特に潜水艦は皆そうでしたが、個室には
たいてい難本もパイプが巡らされていて、スペースを狭くしています。

流す水は当然塩水。
黄色いテープには「塩水を流しながら使用してください」という注意書きあり。

ちなみに先ほどの会議室のような部屋の奥に扉があったのですが、
それは艦長用の居室とつながっているそうです。
艦長の部屋には、「いせ」でも見ましたが専用のお風呂があり、
士官用はもう少し大きなものを何人かで使い、海曹・海士は
広い浴槽の共同風呂を時間内に使うそうです。

「宗谷」のときに話題になりましたが、風呂水は海水を浄化したものです。



艦橋から降りてきたところには「ペンキ生乾きのため踏むな」の印。



そして甲板に降りてきました。
広角レンズで撮ると上部構造はこのようになります。



あら不思議、もう一度同じ位置からズームで撮ったコンデジの写真。



「あたご」のVLSは90セル、とwikiのページには書いてあります。
・・・というからには、このチョコバーみたいな発射筒が90あるのだろうと思うでしょ?

でもこれ、4つのセルがひと塊りになっていて、それが16、つまり64しかありません。
セルは8個で1セット(モジュール)なので、常に8の倍数しかないはずなのです。
そこで確認のため、Mk41ミサイル発射機のページを見たところ、「あたご」型のVLSは

セル数92(32+64)

とあります。
つまり「あたご」のページの数字が間違っているってことでOK? 

しかしこの数字は、ここにあるのがセル数64だとして、32、つまり4モジュールのものが
どこか別のところにあるってことなんでしょうか。



(画像が)苦しい。苦しすぎる。
広角レンズでもフレームに収まらなかった艦載砲、 Mk 45 5インチ砲( Mod4)。

ぎりぎりなので、これもビネット除去できませんでした。

なぜこんな写真しか撮れなかったかと言いますと、当艦、
ただいま全面塗装中でございまして、それは甲板とても同じこと。
で、甲板のペンキ塗りをどうするかというと、端っこから自分の周りを塗って行き、
甲板には最後に一筋の道(幅80cmくらい)を残し、他が乾いてからその「道」を塗るのです。

艦長がその細い道を先導し、わたしたちは一列になって後をついていったのですが、
この主砲の横が道のつきあたりで、ここからは一歩も動けない状態。
フレームに収まらないからといって道を踏み外すわけにもいかず(笑)
従って先だけが切れた絵になってしまったというわけ。


ところで、先ほどちらっと「バトルシップ」の話をしましたが、あの映画で
エイリアンに沈められるのが「みょうこう」ではなく、「あたご型」だって知ってました?

わたしは今回(というか今)、Mk45の説明を観て初めて知ったのですが、
映画では「サンプソン」「ジョン・ポール・ジョーンズ」、そして「みょうこう」が
出演したという設定で、さらには戦闘シーンにこの艦載砲が登場しました。


しかしこれ、劇中「みょうこう」として登場している護衛艦、
ないしCGモデル、「みょうこう」じゃなくて、「あたご」型だったんですねー。

でも、なぜ?
ここで、どうでもいいことにこだわるわたしがその理由を考えてみました。

「みょうこう」はまず、名前の響きがよかったので選ばれたのでしょう。
アメリカ人の感覚では、きっとカッコよく聞こえたのに違いありません。
まあ確かに「ATAGO」も「ASHIGARA」も英語的には響きが今ひとつな気がします。
「K(C)ONGO」はアフリカの国だし、「CHOKAI」は、「チョーク・アイ」、すなわち
「首をしめる」みたいに聞こえるし、「KIRISHIMA」を間違えずに言える俳優はいないでしょう。

というわけで「MYOKO」に名前が決まりましたが、モンダイは主砲です。
「みょうこう」に搭載されているのはイタリア製の「オトーメララ 」。
(一応おことわりしておくと、自衛隊の中の人が”オート”ではなくこう書いていた) 
 

せっかく主砲をぶっ放すシーンがあるというのに、アメリカ製でない武器は困る、
ということで、「あたご」型が撮影には使われたのではないでしょうか。

と、当てずっぽうに予想してみましたが、おそらくこれ、当たってると思う(笑)



格納庫の中は火気厳禁です。って当たり前だ。



わたしたちが見学している間、セーラー服の海士くんが立って、
なぜか入り口にロープを張って何人たりともそこから入ってこられないようにしていました。
ん〜、なぜ?

それにしても自衛官の立ち姿は遠目にも姿勢がいいですね。



というわけで、「あたご」の見学は終了。
艦長は「しらね」を通って岸壁まで見送ってくださいました。

「観艦式で乗る船はもう決まってるんですか?」

とお聞きになるので、当然まだ決まっていないと言いますと、

「ご縁がありましたら(観艦式で)お会いしましょう」

とおっしゃいました。
本当に・・・ご縁さえあれば・・・!(力いっぱい)



地上に降りて、もう一度、「しらね」を眺めました。
すべての武器類を降ろされた船は生気無く、ただ浮かんでいます。
いつの間についたのか、大きな傷まで艦体にできているのがまた侘しげでした。



さようなら、「しらね」。
しっかりお役に立つんだよ。

と内心声をかけ、わたしにとって最後の姿をカメラに収めました。
「しらね」を標的にした最新鋭ミサイルの実験は2016年に行われるそうですから、
もう少しの間彼女の姿はここで見られるはずです。

お別れを言いたい人は急いで舞鶴へ!



続く。 



 


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