朝9時に待ち合わせて、護衛艦「あたご」、海軍記念館、そして
海将補の解説付きで東郷邸を見学させていただくという、
海上自衛隊ならではのコースが終了しました。
案内してくださった海将補と広報の方とは東郷邸の前でお別れし、
わたしたちはそのまま車で赤レンガ倉庫の方に向かいました。
本日の舞鶴探訪は、このあと赤レンガ倉庫と引揚記念館見学。
その前に、港巡りのクルーズに乗らずにはここに来た意味がありません。
調べたところによると、船内ガイド(しかも自衛隊OB)がつくのは
第1便と2便のみ、ということを聞いたため、12時からの便に乗ることにしたのですが、
まだしばらく時間がありそうだったので、船着き場の近くの喫茶店に寄りました。
カウンターと10席くらいのテーブルだけの小さな店で、
お茶を頼んでしばらくすると、様子を見るために船着き場にいたTOが
「なんか乗船始まりそうなんだけど」
というので、慌ててお店の人に注文をキャンセルしました。
勝手な変更にも嫌な顔一つせず、快く「行ってきてください」と言ってくれたので、
クルーズが終わってから、お詫びの意味も込めて、ここにもう一度立ち寄ったのですが、
TOと息子が頼んだバタートースト。
ただのトーストなのに、なぜかとびきり美味しかったです。(わたしは二人から一口ずつ強奪)
息子のココアもこんな模様を入れてくれました。
作る人の丁寧な気持ちが出すものを美味しくしていると感じました。
船着き場横にあるカフェ・ヨ・オアゾ(小鳥のカフェ)というお店です。
皆様ももし機会があったら立ち寄ってみてください。
「しるづいま、か・・・・」
「どうして旧字体読みをする」
ここからは見えませんが、クルーズ船がもう係留しています。
この日はシルバーウィークのせいで、クルーズも大盛況でした。
この船着き場から右手の岸壁には、掃海艇が繋がれています。
艦番号681の「すがしま」。
「すがしま」型掃海艇の1番艦で、平成11年の竣工ですから、
このシリーズの中ではもっとも古参の船です。
掃海艇はどれも触雷しないように艦体に金属類は使われていません。
「すがしま」型の素材は、ベイマツ、ケヤキ、タモなどです。
「すがしま」の甲板をアップにしてみました。
従来の掃海艇より、甲板は狭くなっていますが、掃海具を今までのように
甲板で展開しなくても良くなったからでしょうか。
右舷側には掃海用ダビッドと掃海浮標、左舷側には掃討用クレーンと
PAP-104(フランス製の機雷処分具)が1機あります。
こちら「すがしま」の後ろにいた「すがしま」型2番艦の「のとじま」。
舷側には横抱き式に展開器が収納されているそうですが、
この写真からはどこがそうなのかわたしにはわかりません。
さて、クルーズ船に乗り込んだわたしたち家族三人ですが、わたしだけが
ためらうことなく船室から出て 操舵室の横に陣取りました。
残りの二人は船室でずっと座っていたようです。
決して長いクルーズではありませんし、この日は暑くも寒くもなく、
皆がこうやって外に立ったまま過ごす構えです。
わたしは右舷バックミラーの横の船端を確保しました。
船が湾内を左周りするとしたら、右舷の方が岸壁がよく見えると踏んだのです。
クルーズの解説をするのは予告通り、海自OBでした。
看板によると、海自OBの解説員だけでも5人が登録されているようです。
係留してある艦船の種類を時折エピソードを交えて語り、
自分が現役だった時の話なども織り込みながら楽しい解説をしてくれ、
言ってはなんですが、横須賀の軍港巡りの「ナレーター」風若いお兄ちゃんの
仕込みっぽい解説より、ずっとお得な気がしました。
というわけで出港です。
まずはすぐ左手に見える、海上自衛隊舞鶴造修補給所の建物。
この岸壁に係留している船は補修か補給、その他手入れ中ってことでしょうか。
二隻の掃海艇が繋留されていた岸壁から程なくこんなレトロな倉庫が見えてきました。
説明はありませんでしたが、地図によるとここは造修補修所の工作部の一部でした。
いかにも旧海軍からの遺物といった感溢れる木造の大きな建物は、
窓ガラスだけが改修されて新しくなっています。
前にごろごろと放置してあるこれらは、船につかうホースやその他
長いものの巻き取り?につかうキャプスタン系のもの?
その後、解説の人が「私も昔はここでしごかれました」という
舞鶴教育隊が現れました。
教育隊ですから訓練に使うカッター置き場のデリックがあります。
ここで望遠レンズの登場です。
ところで、今回舞鶴で泊まったホテルの前の景色ですが、
こんなだったでしょ?
この緑の敷地部分は何だろう?と思っていたのですが、
どうもここが全部教育隊なんですね。
グーグルマップで見ると、広大な自動車教習所まで併設されています。
そうと知って注意深く見ると、岸壁にあるのはこれもカッター置き場でした。
対岸に見えているのはJMUの一部分でしょうか。
舞鶴所属の漁船が輪番制で監視船となってパトロールするという仕組みのようです。
ミドリ十字の旗が揚がっていますが、どうもこの船が
建設会社を母体にするためであろうかと思われます。
この辺りには日本板硝子の舞鶴工場があって、大変広い面積を占めています。
これもその一角だと思うのですが、海の近くに気になるものが・・。
アップしてみました。
鉄条網に厳重に囲まれているからには危険物のボンベでしょうか。
こんもりと木だけが茂った可愛らしい島が現れました。
グーグルマップで見ても名前が出てこないのですが、無人島のようです。
その島の近くに・・・・、
船を停泊させて釣りを楽しむ人発見。
(船の名前は消しました)
いかにもたくさん魚が釣れそうなスポットですね。
海上自衛隊舞鶴航空基地です。
グーグルマップで見ると、ヘリが多数駐機しているのがわかります。
ここは海上自衛隊の中で唯一の日本海側の航空基地であり、対戦哨戒ヘリSH-60の基地です。
この日は午後に2時間基地を一般公開しているから是非行ってみてください、
とアナウンスがあったのですが、この後赤レンガのところでカレーなど食べていて、
行き損ないました。
次に来た時には是非みてみたいものです。
ここから見てもなんなのだかさっぱりわからぬのですが、
グーグルアースでははっきり「MAIZURU AB」(マイヅル・エアベース)
という文字を読み取ることができます。
遠目にも鮮やかな白い橋が見えてきました。
これは「MIZURU CRAINE BRIDGE」としか書かれていないので、
鶴を意味するクレインブリッジという橋なんだと思いますが、
夜にはライトアップされて大変美しいそうです。
この橋の右岸向こうには、終戦後、外地から引き揚げてきた船が寄港した
「引き揚げ桟橋」 が今も保存されており、引き揚げ記念公園、
引き揚げ記念館と「引き揚げセット」が揃っている地帯です。
今回、わたしたちはここに行くことを時間のため断念したのですが、
幸か不幸か、引き揚げ記念館は現在改装中で、その代わり、赤レンガの
建物の一角に移設していた展示物を見学をすることができました。
その時のこともまたいずれお話ししたいと思います。
このとき、船内のアナウンスでなんの予告もなく、いきなり
「は~~は~は~来まし~たあ~きょおおおも~き~た~♪」
と、案内の方によるアカペラの「岸壁の母」が始まりました。
ワンコーラスまるまる歌い上げたあと、その美声に皆が拍手を送ったのですが、
この海自OBさんは、解説のお仕事で自慢の喉を披露することが
楽しくて仕方がないんだなと微笑ましく思いました。
今まで考えてみたこともなかったのですが、「岸壁の母」って、舞鶴の話だったんですね。
続く。