誰でも知っているラテンの名曲「エル・クンバンチェロ」に乗せて、
陸自中央音楽隊、海兵隊、米陸軍軍楽隊のノリもぴったりな演奏が
大盛り上がりのうちに終わりました。
続いてはおなじみ自衛太鼓です。
自衛太鼓のステージは、全国の駐屯地にある陸自太鼓隊から11団体、(全部ではない)
そして空自太鼓隊から2団体が出演し、その総指揮を行うのは
北海道は北海自衛太鼓の主将(というのかどうか知りませんが)山城三生純陸尉です。
考えたら海上自衛隊は太鼓隊を持たないんですね。
やはり活動拠点が「グラウンド」である陸自に太鼓が発展するというのはよくわかります。
まずは全員がいろんなフォーメーションで入れ替わるように演奏を行います。
女性隊員のメンバーも毎年必ずいます。
バチが宙に舞うパフォーマンスにも一切の狂いなし。
これだけたくさんの人がいてそういうミスがあったのをわたしは見たことがありません。
「太鼓って誰もミスしませんねー。防大儀仗隊のミスも見たことない」
このように相棒に言ったところ、(自衛隊イベント追いかけ歴10年以上)
「防大の儀仗隊で銃を落としたの見たことありますよ」
とのことでした。
まあ、ワンシーズンで7、8回公演を行うのですから、長年の歴史には
一度か二度か三度くらいはそういうのもあったかもしれない・・・。
後ろに並ぶ幟がまたかっこいいんだな。
これを持っているだけの人というのもいるわけですが、見ていると音の調子に合わせて
全員で一緒に前に倒したり、旗がなびいているように支えた手と反対側で
ひらひらさせて揺らしたりと、いろんな演出を行っているのです。
だいたい、こんな大きなものをずっと支えているってそれだけでも大変。
このパフォーマンスの本当の凄さは、現場にあってこの大人数の太鼓のバチが奏でる
奔流のような振動と轟音を肌身で感じて初めてわかるものであり、
それは画面を見ているだけでは到底想像もつかない感動です。
しかし、画面を見て音を聞きその片鱗を感じただけでもそれは伝わると見え、
ニコニコ動画の生中継ではコメントが騒然となっていました。
「オリンピックではこれをやるべきだ」「オリンピックでやってほしい」
確かに。
ということで、自衛太鼓。
自衛隊がやるということにまたどこからか文句が出てくるかもしれませんが、
少なくとも日本国民と世界の人々はそれを支持するに違いありません。
全体での演奏が終わった後は、全チームが右と左に交互に現れショートパフォーマンスを行います。
そして全員によるフィナーレへと・・・。
聞いたところによると、彼ら全員で音合わせの練習ができるのは、
本番前、朝霞で行われるたった1回の合同練習だそうです。
もしかしたら全員でするパフォーマンスは毎年同じもので、
それを代々各チームで受け継いでいくのでしょうか。
なんの「芸」もない握手アイドルの児戯に等しい学芸会レベルの歌とか
日本語で「国外追放」「流刑」という名前のグループのパフォーマンス、
それはそれでお好きな方はたくさんいるでしょうが、あれが日本文化の代表だ、と思われては、
少なくともわたしは嫌だし、第一オリンピックの開会式に相応しいとは思えない。
仮に全国の自衛太鼓が集結したらその迫力はいや増し、何より古来からの伝統である太鼓は
どんな国のどんな民族にも日本らしさを伝える何よりのパフォーマンスになるでしょう。
ぜひオリンピックの開会式には自衛太鼓を!
第2章、「大地と海と無限の道」の最後に行われた陸海空自衛隊合同演奏は
なんと古典中の古典というか、ジョン・ウィリアムズのメドレーできました。
あまりにもたくさんの名曲がありすぎてどれをやったらいいのか
選曲も悩ましいところだったのではないかと思われますが、
「スターウォーズ」「スーパーマン」「レイダース・マーチ」「E.T.」
など。
宇宙に関係した曲が次々と流れます。
合同演奏なので、同じ楽器の写真を撮ると制服が4種類。
さて、演奏が「スター・ウォーズ」の「スローン・ルーム」にいくかな?というところで
音楽が突然途切れ、モニターに空自出身宇宙飛行士の油井亀美也さんが現れました。
油井宇宙飛行士については以前も、「宇亀日記」(そらかめにっき)という
宇宙飛行士としての任務を報告するブログについてお話ししたことがありますが、
今、油井飛行士は宇宙ステーション「きぼう」に乗り込んで実験や運用に関わっています。
そして「きぼう」から今回の音楽まつりに「道」という字を元にメッセージ。
わたしはそれより、油井さんが 「自分も武道館に防大時代出演した」
といったことに注目しました。
油井飛行士は航空自衛隊でF-15のパイロットであったことが知られていますが、
防衛大学校時代、儀仗隊の一員だったということでもあるのです。
うーん、油井宇宙飛行士はかつてたかしだったと・・(もうええちゅうに)
ちなみに宇宙飛行士を目指したきっかけは映画「ザ・ライトスタッフ」だったそうです。
メッセージが終わり、合同音楽演奏は華々しくフィナーレを迎え、ここまでで
第2部は終了です。
そして問題の?第3部。、「海と未来と絆の道」。
今回のテーマと出場した音楽隊の内訳でいうと、
1部「空と大地と希望の道」・・・空自、陸自、米空軍
2部「大地と海と無限の道」・・・防大、海兵隊、米陸軍、陸自
ということだったのですが、第3部「海と未来と絆の道」では
海軍つながりで海自、米海軍、韓国海軍の演奏が行われました。
自衛隊、ことに海自と韓国海軍のつながりは決して疎遠ではなく、
ご存知のように今回の観艦式にも招聘したわけですが、
それにとどまらず海軍音楽隊まで・・・。
アメリカの4軍全部を招聘したこととともに、こちらにもなにか理由が?
でないとこう韓国ばかり呼んでくる意味がわからないのですが。
目つきの鋭すぎる人が笛を吹きつつ登場。
隠れて見えませんが、これは「テピョンソ」というチャルメラのような笛です。
男の格好をしているけど多分女性、というダンサー登場。
相変わらず「アリラン」をブラスバンドにアレンジした楽曲で、
The Korean Folk Rapsody & The Rove
となっていたので、「韓国民謡によるラプソディと逍遥」みたいな題かと。
続いて「ライトスタッフ」に登場したダンサーがやっていた「ファン・ダンス」
みたいな大きなうちわを使ったお姉さんたちの踊りが始まりました。
ひらひらしたりくるくるしたり、はっきりいってこちらがメイン。
カップルのダンスに扇のダンス、後ろで地味ーに「アリラン」する水兵さんたち。
綺麗ですねー(棒)
それだけにとどまらず(笑)紐をつけた帽子にうちわのようなものを持ったダンサーが!
にわか知識ですが、これは韓国の農民の音楽である「農楽(ノンアッ)」の踊りで、
白い紐のついた帽子を「サンモ」というそうです。
後半、このダンサーは長い紐のついた帽子に変えて地面につけないように鞍馬したりしてました。
踊りのお姉さんアップ。
いやまあ、確かにひらひらしたりこんな傘みたいなのでお花を作ったり、
スカートにしてみたり、綺麗ではありましたが、はっきり言って海軍関係ないし。
この扇のダンスが初めて創始者によって始められたのは1954年といいますから、
はっきり言って伝統芸能というわけではありません。
軍楽隊の皆さんは陣形を変えつつ普通にちゃんと演奏しているのですが、
それでもどうして「アリラン」なのかなあと・・。
それしかない、と言ってしまえば身も蓋もありませんが、ソチオリンピックの閉会式で
次期冬季五輪開催国としてやったパフォーマンスもアリランだったというし、
マジでこの国には世界に通用する伝統芸能が「アリラン」しかないのでしょうか。
wikiの「アリラン」によると、
韓国社会では長年
「ハングルが世界中の言語学者の間で最も優秀な文字であると認定されている」という噂と同時に
「アリランが世界で最も美しい曲の1位に選定されている」という噂が信じられており、
こうした噂が真実として小学生用の国定教科書にまで掲載されている。
しかし、2011年3月韓国の一部のメディアの報道で、こうした噂が事実無根のデマであり、
検証もなしに教科書に掲載されていた事が明らかにされたことにより、
教育技術部は記述を訂正する姿勢を表明している。
ということなので、韓国の人々にとってこれがおそらく音楽については唯一無二の
誇りであることから今回の選曲になったと思われます。
アメリカ軍楽隊にはジャズやミュージカルの音楽があり、日本国自衛隊には
伝統の太鼓演奏があり、数え切れないほど地方の民謡があり、そして最近は
ポップカルチャーの旗手としてのアニメソングがあり、今回は同じ自衛隊から
宇宙飛行士を送り出し、そのメッセージを紹介するという華々しいイベントが行われました。
そういう多様な文化、特に海外に向かって発信できる独特の文化が乏しい国ゆえに、
貧困な「芸」しかもたない整形タレントやキワモノタレントにその国の言葉で
歌謡曲を歌わせることを「韓流」と称し、それに政府からの多大な資金をつぎ込み、
結果ごり押しとなって却って忌避感を持たれるということになっているのではないのかと、
わたしはこの「アリラン」と不自然な顔のお姉さんたちのダンスと、そして
最後に登場した特大韓国旗を見て思ってしまったりしたのでした。
去年だったか、タイ王国のパフォーマンスの最後に同じ特大国旗でも
日本国旗と自国の国旗を同時に広げて観衆を感動させたのと違い、
このとき会場に非常に微妙な空気が流れた気がしたのは、わたしだけだったでしょうか。
さて、続いては横須賀の第7艦隊音楽隊の登場です。
ドラムメジャーはティモシー・ディールMU2(SW)。
この英数字は階級のことだと思います。
この階級でグーグルしたら、こんなページが出てきました。
米海軍第7艦隊バンド
クリスマスコンサートや、海上自衛隊横須賀音楽隊との合同演奏の様子も。
プログラムには
Columbia The Gem Of The Ocean
ディズニーシーにある「コロンビア号」で行われるミュージカルでは
「SSコロンビア讃えよう・・」
という歌詞でおなじみの曲が書かれていたのですが、メロディに行かないうちに
グレンミラーの「インザムード」になり、あっという間にオールディーズに!
これを司会は「常に同じ姿ではない海原のように変わりゆく」と紹介していました。
時代が三段跳びで進んだ感じです。
メガネの水兵さんが歌うはテンプテーションの「マイガール」。
それが終わるとさらに時代は近代ポップスに飛び、スティービーワンダーです。
「サー・デューク」。
この曲は、スティービーが、アメリカの音楽史でレジェンドとなった
ミュージシャンたちを讃えるために作った曲で、サビからの歌詞はこうです。
沢山の開拓者たちがいた
ベイシー、ミラー、サッチモ
彼らの王様であるサー・デューク
そしてエラのような鳴り響く声
バンドが決して失ってはいけないものだ
全身で感じるんだ 誰もが皆感じることができるんだ
カウント・ベイシー、グレン・ミラー、ルイ・アームストロング。
サー・デュークとは言わずと知れたデューク・エリントン、
エラとはエラ・フィッツジェラルドのことです。
アメリカの音楽史を駆け足で巡ったという感じの構成ですね。
トランペッターはメガネをかけたサッチモのようなアフリカ系。
第7艦隊音楽隊隊長はブライアン・S・チャブロウ大尉。
韓国海軍もそうですが、アメリカ海軍軍楽隊の制服は隊員が全員水兵服です。
下士官の制服は水兵服だからですが、士官は隊長だけということなんでしょうか。
海自は旧海軍の昔から、音楽隊に限り士官と同じ形状のものを着用しました。
士官候補生のジャケットと似ていたため、夜の巷では下士官が度々軍楽隊員に
間違えて敬礼したためトラブルになったという話を書いたことがありますが、
アメリカ海軍は隊員はセーラー服が制服なのですね。(韓国海軍も)
帝国海軍の軍楽隊が士官のような制服を着ていたのは、彼らがしばしば
天皇陛下ご臨席の式典などで演奏をしたということと無関係ではないと思いますが、
こういうのにも各国の音楽隊に対する考え方の違いが現れているようで
なかなか興味深い現象だと思います。
わたしは米海軍音楽隊のセーラー服を見ると、やっぱりこれを思い出すかな。
New York, New York - On the Town
踊る大紐育ち。
初めてのNYではしゃぎまくるシナトラとジーン・ケリー(ともう一人)が可愛い。
続く。