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海自東京音楽隊とフィナーレ「道」~平成27年度音楽まつり

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第3章、「海と未来と絆の道」、韓国海軍軍楽隊と米海軍第7艦隊軍楽隊の
演奏が終わったところに戻りたいと思います。

今年度の音楽祭まつり、最終章を飾るのは海上自衛隊東京音楽隊の演奏です。



最初の曲は海自オリジナル曲「SEA ROAD」。
「道」というテーマに合わせて今回のために作られた曲でしょうか。

会場が明るくなると同時にモニターには観艦式における自衛艦旗が
その紅白の色も鮮やかに浮かび上がりました。

その響きの中ステージ後方から歩んでくるのは・・・



東京音楽隊のステージは、毎回音楽隊のバナーを先頭に、
カラーガードとドラムメジャーの一団が入場することが決まっています。

両端はカラーガードの旗であることはわかりましたが、
海上自衛隊の自衛艦旗の両側はなんでしょうか。



パープルの旗は、海上自衛隊女性自衛官、WAVEの印でしょう。
左の青い旗には竪琴が見えるので、音楽隊関係の隊旗。

この女性ばかりの一団を、「海上自衛隊艦旗隊」と称します。
ドラムメジャーは彼女らの軍に「守られて」入場してくるという形ですかね。




ファンファーレのようなドラムが終わるやいなや、ブラバン用語で言うところの
「ファーストプッシュ」、最初の盛り上がりを見せるのは、東京音楽隊の場合
常にラインで錨を描く「行進曲軍艦」の演奏です。



錨が瞬時たりとも崩れることなく完璧に回転するのは、難しいと思います(小並感)
これは、簡単に見えて実は難しい観艦式の艦隊運動とか、
回頭後の隊列の合わせ方みたいなものなんじゃないでしょうか(小並感)



いつのステージでも、切れ味のいいドラムラインの中心で、
ソロをとった後などに、かっこいい敬礼を見せてくれるおなじみの打楽器奏者。

個人名を出さない自衛隊音楽隊ゆえ、お名前は未だに存じあげませんが、
おそらく鼓隊の小隊長といったポジションの隊員ではないかと思っています。

ドリルに参加するタイコ軍団のことを専門用語で「バッテリー」といいますが、
 東京音楽隊バッテリーの使用している白のキャリングホルダー(楽器を肩から支える
ホルダーのこと)も実に凛々しく。

ちなみに、このような広い会場で離れたところ、たとえば三階で聴くと、
指揮者の棒に従って同時に発せられる音は、最終的にずれて伝わってきます。
これはどうしようもないことなのですが、ブラバンの打楽器奏者は
そういうラグや大音響の中で打楽器が埋没する危険性を避けるために
ピッチを高めの「ハイテンションチューニング」で行うのが常です。 

今年の「軍艦」は、錨が一周し終わった後、ドラムラインが前に並び、
このスネアドラム奏者の敬礼をもって終了、という演出でした。

何を隠そう、この奏者のファンであるわたしとしては、大変嬉しかったです。 



その後は、これも海自オリジナル曲「希望」。
オリジナルもオリジナル、作詞したのは三宅由佳莉3曹その人です。
海上自衛隊最新アルバム「希望ーSONG FOR TOMORROW」に収録されています。



軽やかなメロディを海自音楽隊が奏でる中、縦横無尽に舞いながら
歌声を披露する「海自の歌姫」。



もうすっかり最近は音楽まつりにおいて彼女をメインとしたプログラム、
イコール海上自衛隊音楽隊ということになっているようです。
 
彼女は自衛隊の音楽に対して一般人が興味を持つようになった最大の功労者で、
スター性のある女性によって歌われる歌というのは、それだけで聴かせる力があり、
わたし自身も彼女の歌手としてのバリューは文句無しで認めます。

しかし、あえておそらく誰も言わないであろう苦言を呈しておくと、
この「希望」という歌はまず彼女の資質にぴったりの歌とは思えません。
この歌を歩きながらとか大きなアクション付きで?歌うと、音程は甚だしく不安定になり、
とくに中低音で聞き苦しい音の狂いが生じてしまっています。

 海上自衛隊東京音楽隊 「SEA ROAD」他 2015/11/14 【東京都】日本武道館

3:10から

高音の響きと音程は安定している人なので、高音をゆっくり歌い上げる部分はいいのですが、
どうにもそこにたどりつくまでの部分、聞いていて不安で落ち着かない気持ちにさせられ、
さらに広い会場のせいか、音のズレがより目立ってしまう結果になったのも残念でした。
 

この音楽まつりのテーマに合わせてなされた選曲だったと思うのですが、
はっきりいってこういう場で「聴きたい」曲ではない、とわたしは思いましたし、
もう少し彼女の歌が上手に聴こえる曲を選ぶべきだったのではないかと正直残念でした。

何年か前の「海のお母さん」なんて良かったと思うんですけどねえ・・。

以上、音楽関係者としての本音でお送りしました。



もちろん、パフォーマンスとしてこれらのステージは聴衆を魅了しましたよ!
取ってつけたようですが、彼女が万人に愛されるボーカリストであることは疑う余地もありません。




というわけで三宅三曹をフィーチャーした海上自衛隊のステージが終了。
ドラムメジャーは喜田哲也3等海曹でした。



東京音楽隊隊長、手塚裕之2等海佐。



そしてこのあと昨日お話しした日米韓海軍の共演による「Tomorrow 」が演奏され、
フィナーレに入る前に本日のステージを設営の面で支えてきた部隊の紹介です。

大きな楽器や大道具の運搬、設定などをおこなうために、東部方面隊から
選抜された隊員によって構成されるこの日1日だけの部隊、

「演技支援隊」。

プログラムではこのほかに写真撮影やストリーミング配信を行い、
ライブ映像など演出面のサポートを行った、

「陸上自衛隊第301写真中隊」

も紹介されました。



というわけで、本日出場した全ての音楽隊が一堂に会しました。
フィナーレのために、陸上自衛隊第302保安警務中隊が、赤絨毯を通る
国旗に対して儀仗を行うための隊列を作ります。



そして日米韓参加国の国旗が、エルガーの「威風堂々」に乗って入場です。

日本では「威風堂々」で通っているこのメロディの曲は、エルガーの楽曲では
「威風堂々のなかの1番の真ん中部分の曲」であることは知られていません。
イギリスでは、この曲は

希望と栄光の国』 (Land of Hope and Glory )

というタイトルで知られ、第二のイギリス国歌のような位置付けにあります。



米海兵隊、米空軍、そして韓国海軍。



陸自音楽隊の前には陸自の歌手鶫1士が待機。



三宅三曹はあっという間に上着を着替えてきました。
本当に佇まいが凛としていて立ち姿が美しい。
ほかの歌手より年季の入っているだけあって、圧倒的な貫禄です。



手塚隊長が指揮台に上がり、演奏前に敬礼を行います。
最後の曲は、なんとEXILEの「道」。
本日のテーマ直球の題名を持つ曲ゆえに選ばれた模様。

この曲を紹介するときにアナウンスが

「エグザイルの楽曲、『道』です」

といったのにわたしは少しウケました。
まあ・・・「楽曲」には違いないんですけど。



陸海の「歌姫」三人がワンフレーズずつサビまで歌いました。



松永美智子陸士長。
オープニングのスキャットはただただ美しかったです。



鶫1士は今回が「音楽まつりデビュー」だとおもいますが、
これからの音楽まつりは、ますます楽しみになりましたね。

でも、特に陸自、今の「ブラバン魂の追求」みたいな(どんなだ)
姿勢を、今後とも追求していってほしい、とわたしは個人的に思っていますので、
いくら魅力的な歌手がいても、歌が中心になってしまうことはないように是非お願いしたい。

と控えめに言っておきます。



サビになって楽器を演奏していない者が全員で歌い始めると同時に、
音楽隊員でない者が歌いながら決められた振り付けを始めました。
防大儀仗隊の隊員たち。



そして自衛太皷の演奏者たちも。



そして2番からは、陸海空から選りすぐられた男性歌手たちと・・



女性合唱隊。
各隊から男女二人ずつ、計20人の選抜です。
歌の上手い人がいくらでもいる吹奏楽の音楽隊ならではですね。



途中で伴奏の人数が少なくなり、その代わり手の空いた人は
陸海空、さらには他の国の軍楽隊も全員が歌いました。
メモ帳とかかりっきりの人もいますが、海兵隊のお兄さんは見ずに歌ってますね。



ドラムメジャーは基本立っているのが仕事。
つまり「演奏中」なので歌いません(笑)



韓国海軍の水兵さんたちもちゃんと全員歌ってくれていますよ。日本語でね。
というわけで、皆が歌った「道」をもって、本年度自衛隊音楽まつりは終了しました。



歌が終わった直後、また再び「威風堂々」が流れ、海上自衛隊東京音楽隊を
残して全員が退場し、「威風堂々」のフィナーレが演奏されました。



フロアに形作られた「道」に沿って、陸自演技支援隊の隊員がゆっくり歩きます。
海上自衛隊ピアニストの2等海曹 太田 紗和子が演奏する「Tomorrow」が流れる中、
全出演部隊が床に映し出され、曲の終了とともに彼らが敬礼を・・・。

「音楽まつり」は実は陸自が中心となって運営しているという話を
今回わたしは陸自の中の人からうかがったのですが、縁の下の仕事をする
陸自の彼らに最後のスポットライトをあてたのは、自衛隊らしくていいと思いました。


毎年違ったテーマで、色んな顔を見せてくれる音楽まつり。
また来年ここで皆さんにお伝えすることを今から楽しみにしています。


終わり。







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