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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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掃海艇出航〜日向灘・掃海隊訓練

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今回、わたしは訓練見学の前日に宮崎に入り、訓練が終わってから
当日の最終便に乗る予定を立てていました。
問題は、日向から宮崎空港まではカーナビで1時間半、実際は1時間くらいかかること。

余裕を持って飛行機を取っておいたつもりが、入港に時間がかかったため、
結局呉から広島空港までタクシーに乗る羽目になった、あの護衛艦「いせ」のときの
悲しい過ちは2度と繰り返したくありません。

「でも、護衛艦と違って掃海艇は入港したらすぐに降りられますよ」 

とミカさん。
それでも3時半入港予定で6時発の飛行機は心配だったので、
遅い便があるソラシドエアでチケットを取ったのでした。
実際は、ある事情があって予定よりも早く帰ってくることになったので、
心配どころか二人でご飯を食べるくらいの余裕ができたわけですが。


とにかく、「出入港作業にあまり時間がかからない」というのは
まず、朝の出航の様子を見ていてよくわかりました。



艦橋前のまるでステージのようなデッキからは、出航作業がよく見えます。
こういう作業を撮る時には、やっぱり広角レンズですね。


観艦式と違い、撮影場所を取り合うほどの人もおらず、あの鬱陶しい「カメ爺」もおらず、
わたし以外でカメラを持っている人は全員プロ。(一人、一般人の男性がいましたが)

わたしは報道の皆さんがお仕事用のカメラを立てたり、場所を確保した後でも、
その間から悠々と写真を撮ることができました。



観艦式でも、護衛艦の出航作業を艦橋ウィングから見守って写真を撮りましたが、
イージス艦などとはずいぶん様子が違うものです。

まずもやいが細い!
こんな細くても切れたら足を刎ねられるなんて事故になるんでしょうか。

布団収納袋みたいな防眩物も、一人で十分扱える程度の大きさです。



ほいっ!という感じでもやいをわたす、岸壁側の「はつしま」乗員。
これを海に落ちる前に甲板に回収できるかが腕の見せどころ(だったりして)



これだけで「えのしま」の出航作業は終了。
いやー、本当に掃海艇の出航ってあっという間だわ。

そして、次の瞬間、「はつしま」の乗組員は、自分たちの出航作業のため、
すでに岸壁に向かって移動を始めています。
舳先に立っている人は作業を見守る役目の人かな?



次の瞬間、「えのしま」の艦体から強烈なジェットバスみたいな白い波が出てきます。
バウ・スラスターが稼動を始めたのでした。

スラスターというのは英語では”thruster”であり、この単語を引くと
 「(ロケットなどの)小型エンジン」となっていますが、語源の"thrust"は、
「グッと押す」「ぐいっと押しつける」などという意味の動詞です。

これは推進システム全般の総称として使われている名称なので、
たとえば人工衛星や惑星探査機の軌道修正や姿勢制御するものも、
「スラスター」と呼ばれています。

船舶の場合は、「グッと押す」という意味に忠実に、主推進力とは別に
船を横に「グッと押して」動かすためのプロペラを「サイドスラスター」と称します。

主推進ともなる「アジマス(azimuth・方位)スラスター」を搭載している船は
横方向だけでなく自在に動くことができますが、豪華客船や、掘削船「ちきゅう」などは
これを3箇所くらいに搭載していて、タグボートなしで離着岸することができます。

自衛隊の採用しているスラスターは基本このタイプだけらしく、たとえば
掃海艇よりも大きな掃海艦であっても、同じパワーのスラスターで離着岸することになり、
出入港の際には曳船を必要とすることになるのだそうです。

なんかスラスター付けてる意味なくね?


ちなみに、自衛隊では掃海艇をMSC(Mine Sweeper Coastal)と称しますが、
これは世界基準でいうと、「中型掃海艇」に属します。
この訓練には「つしま」という「やえやま」型掃海「艦」も参加していましたが、
この掃海艦はMSO、つまり「Mine Sweeper Ocean」です。

大型化中型かを「外洋」「沿岸」で分けるんですね。
一般に掃海艇は対機雷戦の主力であり、中型掃海艇は、外洋で
深深度機雷を処理する、という分担となっています。


かつては掃海艇より小さな「小型掃海艇」(Mine Sweeping Boats, MSB)というのも
あり、自衛隊でも「小掃」という名前で浅瀬での掃海作業に投入されていましたが、
浅瀬で小型船による掃海は危険が多いため、今では無人の 掃海管制艇(MCL)と
遠隔操縦式掃海具(SAM)の組み合わせに置き換わっています。


(これがかつて”NAMIE”とかつて名付けられていたという” SAM”ですね。
このページの下の方にその”証拠”がありますが、現在はさすがに消されているそうです) 

掃海管制艇は SAMを曳航・管制するための艇で、海自が所有するのは現在2隻。
SAMは全部で4隻活躍中だそうです。


艦首側に搭載したスラスターを「バウ・スラスター」、艦尾側のそれを
「スターン(stern)スラスター」といいます。

タグボートなどが搭載している、旋回性能を持った推進装置を

「シュナイダー・プロペラ」

というそうですが、スラスターに組み込まれる推進装置が
シュナイダープロペラなのかどうかは、今回わかりませんでした。

 もやいが解き放たれ、スラスターの推進によって、あっという間に
「えのしま」は「はつしま」から離れていきます。



わたしが写真を撮っているときには、同行の報道が
必ず同じように写真を撮りまくっていました。

もちろん、「世界の艦船」とかの専門雑誌のカメラマンならわかりますが、
(一例として名前をあげましたが、もしかしたら今回本当にいたのかも)
地元テレビや地元新聞社、そしてK同新聞社のカメラマンは、こんなシーン、
全く採用される可能性もないであろうに、やっぱり撮っていました。

とりあえず撮れるものは撮る、これがカメラマンの習性なのかもしれません。



大型の護衛艦でも必ず、出港時には舳先から数えて2番目に、
インカムをつけた隊員が立つらしいということに気づきました。

さらに、その隊員のインカムのコードは、バルカン砲のサークルの中に
立っている隊員が持っているのかと思ったのですが、どうも色が違うので
別のコードである模様。

ちゃんと等間隔に並んで出航しますが、こういう時帽振れはしません。



 

「はつしま」が繋留している岸壁には、他の掃海艇などから
隊員が降りてもやいを外す作業をしています。

このように僚艦の出航の際に別の着岸している艦から作業をするために
何人かが派遣されて向かっているところを今回見たのですが、
ちゃんと並んで行進しており、しかも歩調が揃っていました。

自衛官はこんな感じで並んで歩くと、たとえプライベートのときにも
歩調を合わせて(しかも早足)いると聞いたことがあったのですが、
こんな早くその実例を目の当たりにする日が来ようとは・・・。




バルカン砲M61はGE社の製品で、ファランクスCIWSにも搭載されています。
確かに銃身が、しうす君の銃と同じだわ。
これは、人力操砲式の艦載版として日本で開発されました。

CIWSが主に航空機の近接防御を目的としているならば、
こちらは水面に浮遊している機雷を射撃して処分することなので、
飛んでくる飛行機とじっとしている機雷では同じ時間に射出される弾も違って当然。
CIWSが 毎分4,500発なのに対して、こちらは発射速度を毎分450-500発に抑えてあります。

普通に武器として使われる場合、バルカン砲M61は毎分6000〜6600発ですから、
かなり簡易化されているということになります。

これを撃つ際にはサークルの中に立ち、ベルトを腰に巻いて、
銃ごと中をぐるぐる回って行う、という点ではアメリカで見た
艦上の「ガン・タブ」と同じ仕組みです。

銃身の右側には薬莢が自動で回収されるポケットのようなものが見えます。
海面に浮遊している機雷を撃つのに、どうして「楯」が必要なのかはわかりませんが、
やはり銃で掃討した場合、爆破の影響を少しでも受けないようにでしょうか。




あえて後ろをボケさせず撮ってみました。
後ろの道路を走る車と掃海艇の甲板、なんだかシュールな絵じゃないですこと?

ところでこのバルカン砲JM61-RFS 、給弾はこのハッチから手動で行うんでしょうか。

従来型のバルカン砲との違いは、遠隔操縦式であるだけでなく、
射撃精度の向上にあるそうです。

「えのしま」と「はつしま」の就役はわずか2年違うだけですが、搭載武器は
日進月歩で新しい機構のものを(ちなみに国産。ライセンス生産していた航空用を開発)
取り入れて行っているんですね。


さて、この岸壁は日向灘を望む細島というところにあって、
全体が半島のように突き出したフォークのような地形の奥にあります。
従って港としては全く波の干渉を受けず、灘に出るまではまるで湖の上を
クルーズしている気分だったのですが、外に出た途端、海面は一変しました。

この季節、強い風にあおられてうねりの強い海にいよいよ出てきたのです。
日向灘というのが太平洋でも、もちろん日本海でもなく、
フィリピン海の一部であるという記述を後で読んで、さもありなんと思ったわたしでした。


続く。 



 


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