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指揮官降下〜平成28年陸自降下始め

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陸上自衛隊降下訓練始め、本番は何時に始まるかというとなんと11時。
空挺降下訓練はたった1時間少しのイベントにすぎません。
それにもかかわらずわたしを含め多くの人が6時から開場を待ち、
8時半に入場してからは2時間半も1年で一番寒いこの時期、外で待つのです。

興味のない人にはなんと酔狂なことと嗤われるでしょうが、不思議なことに
並んだり開始を待ったりする時間、目の前で行われているちょっとした動きを
見逃すまいとカメラを構えて追っていると、あっという間に終わってしまいます。

今年も辛かったことといえば、せいぜい帰りの高速で死ぬほど眠かったくらいで、
心配した寒さも幸い今たいしたこともなく、しかもご覧の通りの上天気。
行く前は結構悲壮な思いなのですが、済んでみれば来年が楽しみに思えるくらいでした。


さて、11時開始に先立って、概要でもお伝えしたように、「お試し降下」があります。
ヒューイから一人が降下して、全く傘の操作を行わずに、その日の風の動きなどを
確かめるという、いわば「露払い」の役目ですね。



「なんの操作もせず降りる」というのは考えようによっては怖いことで、
何もしなかったがゆえに、もしまた隣のグラウンドまで流れてしまったらと心配になるのですが、
実はこれに先立ち、まず大きな赤い風船が上げられ、それによって事前判断がなされます。
それから判断して、どんなに流れても観客の上には絶対落ちないところで降下するので大丈夫。

で、このお試し降下員ですが、肉眼では確認できない「操作」をやっておりました。
まず、この写真では両手を上げております。



飛びだしたときに索がねじれてしまったので、両手でそれを戻しているんですね。
いくら操作はしないということになっていても、さすがに捻れていてはまずいだろう。



ねじれを解消するには自分が回転することになります。
もう少しだ。



ふう、やっと正常な状態に戻りました。
これで大丈夫、ってことで意識を集中して着地用意。



「最初の降下って怖いかもね。操作できないし」

「やっぱりじゃんけんで負けた人がするのかな」

近くの人が無責任な話に興じています。

「いやー、やっぱり一人で注目を浴びるんだからやりたい人いるんじゃない?
それに多分これが終わったら、この人はもう今日のお仕事はおしまいだろうし」

「一足先におつかれさん〜って一杯やったりとか?」

いやいや、そんな甘い組織じゃありませんぜ第一狂ってる団は(笑)



満場の注目を一身に浴びて習志野の大地に転ぶお試し降下員。
笑っているような気がするのは気のせい?

やっぱり本当にこれで彼の仕事は終わり・・・?



お試しが無事に終了したという結果を受けて、いよいよ平成27年の
降下訓練始めの幕が切って落とされます。
そこで、

「降下始めには、今年一年の訓練の無事を祈願するという意味が込められています」

というアナウンスがありました。
この「祈願」という言葉に、自衛隊がこの降下始めを、今年一年が無事であることを占う
「神事」のように捉えていることが現れていますね。

艦内神社もそうですが、自衛隊という組織は人智の及ばない事態に対応するために
日頃の厳しい訓練を行いながらも、最後の最後で神に「祈る」のです。

自衛隊が神社に参拝(特に靖国)するだけで目の色変える連中も
この異常な国日本には少なくないわけですが、成功を祈り、治癒を祈り、
救いを求め、「祈る」ことを日本人が太古から普通に行っている以上、
その日本人の組織である自衛隊が同じようであってなんの不思議があるか、
とわたしなど思ったりするわけです。




さて、というわけで訓練開始と同時に行われるのが「指揮官降下」。
第一空挺団の団長である兒玉恭幸陸将補が先陣を切ります。

下から見ているとそうでもありませんが、第一空挺団のHPなどで
高高度からの降下の上空からの写真を見ると、雲の上だったり地面が全く
地図のように見えていたりで、ここから生身で空中に身を踊らせるのは
たとえ何回訓練をこなしても、恐怖感を拭いさることはできないだろうと思われます。


しかし、第一空挺団の指揮官ともなれば、これだけは避けて通れぬ道。
空自の年次飛行のように、おそらく第一空挺団には、どんなに出世しても
年に何回かは降下を行うこと、と内規で決められているのに違いありません。



空挺団団長以下、2機のCH-47から、計20人の指揮官が降下しました。
副団長と高級幕僚、あとは団本部のえらい順でしょうか。

これは第一空挺団全隊員1900名のトップ20人ということになります。



飛び降りたあと、機体にカンで結びつけた索で落下傘が引っ張られ、
開傘する直前の瞬間が撮れました。
ロープはCH−47の天井から出ているように見えます。
ひらひらとなびいているのは1番に降下した団長のもの。



さて、無事に指揮官殿が着地を決めました。
指揮官降下の際は、部下がどこかに待機していて、
着地するなり近寄ってきています。

おそらく自分がアテンドする指揮官が飛び出すなり、その着地点に向かって
草地をまっしぐらに走っていくのでしょう。
我々は上しか見ていませんが、次回指揮官降下を見る機会があったら、
フィールドを走る「お世話係」の姿を探してみても面白い(って失礼か)かもしれません。 




着地した指揮官がとりあえず自分で傘を手繰り寄せているところに向かって、
部下が指揮官の帽子を手に全力疾走していく様子。
このあと、指揮官はヘルメットを帽子に変え、部下と一緒に走って観覧席に移動します。



指揮官降下、まだまだ続きます。

しかし、これで万が一のことがあったり、語り草になるようなヘマをやらかしたら、
今後ずっと第一空挺団員に示しがつかないというか、軽く見られてしまうと思えば、
えらい人たちにとってこれは、いかに前日に予行演習で飛んでいるとはいえ
結構緊張の瞬間なのではないでしょうか。



指揮官降下も、一般隊員の降下と同じように、10人が1秒おきに飛び出しました。

「コースよしコースよし、用意用意用意、降下降下降下」

掛け声も一般隊員のときともちろん一緒です。



紐がパラシュートを引っ張る直前の瞬間。



この指揮官は、空中で何度も足を開いたり閉じたりしてお茶目でした。



二人部下がお世話をしてくれるのはかなりえらい人だから?



遠目にも、指揮官殿には、やり遂げたあとの上機嫌な表情が窺えます。
がっはっは、今日の降下はうまくいったわい!って感じ?  



そののち、二人の部下を従えて観覧席まで走る指揮官の姿あり。



うわー、なんたる陸自の将官タイプ。
やっぱりなんだかんだいって、海自や空自のえらい人とは歴然と持っている雰囲気が違う。
それに、陸自の中でもなんといっても、「あの」第一空挺団の団長ですからね。
これが兒玉陸将補だと仮定しての話ですが。



ちなみに兒玉陸将補、前職は人事部募集援護課長だったりします。
専門?は特科。




しかし、第一空挺団長といっても、そのご威光が通じるのは自衛隊内だけなので、
椅子に座っている人や報道は皆この通り。

ところで、画像を検索していて、中谷防衛大臣の横にいて、訓練中あれこれ説明している
空挺団団長の写真を確認したところ、名前が岩村公史となっていて驚きました。
つまり去年の写真だったんですが、どう見てもこの人と同一人物に見えます。
 
多少の例外あれど、第一空挺団団長のタイプは基本これ、ってことでよろしいですか?



続く。 


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