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彼女が"HASHMARK"をつけるとき~女性軍人と男たち

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先日、我が海上自衛隊の史上初戦闘艦の艦長になった、
大谷美穂2等海佐のことを少しだけ取り上げました。
去年早くも1佐に就任し、女性初の海将補候補として注目される
東良子氏のいわゆるエリートコースとは違う「艦長コース」にもついに女性が、
と各方面から注目されたのはまだ記憶に新しいところです。


ところで話は全く変わるようですが、 最近の国連、特に女性人権委員会って

一体なんなんですか?(怒)

日本の司法は人権においては中世並み、という批判に
「シャラップ!」と委員会で叫んでしまい、問題にされてしまった大使は
確かに公職にある人物としてお粗末だったかもしれませんが、
それにしても最近の国連界隈の「日本いじめ」は目に余ります。

70年前の職業慰安婦の人権問題を取り上げ、日本に「改善」を迫る。
(日本政府に”犯人を探して処罰せよ”とのお達しです。2016年現在で)
ちなみに問題提起しているのは中国と韓国出身の人権委員。
オブザーバーとして日本を非難したのは朝鮮民主主義人民共和国ってなんの冗談?

そもそも現在形で他民族を弾圧している中国に人権問題を問う資格があるのか?
今この時も現在進行形で売春婦を多数海外に輸出している韓国は、
彼女らの「人権」についていったいどう考えるのか?
北朝鮮は・・・・まあいうまでもありませんよね。

なぜ国連の拠出金が実質世界1位(アメリカが今払っていないため)の国に
これだけ不当な「勧告」が行われ続けているかってことですよ。

しかし、これだけなら、敵は朝日新聞始め国内にも多数いることだし、
国連総長はあの国出身だもんね、でうんざりしながらも我慢していた日本人が
上から下まで等しく怒りまくったのは、

「女系天皇を実質禁止している日本は女性差別である」

として、女性人権委員会が日本の天皇制について是正を求めてきたときでした。
さすがのことなかれ外務省もこれに対しては異常なくらい迅速に対応し、
駐ジュネーブ代表部を通じてこの件に強く抗議し、勧告を削除させました。



世界には、女性の人権が全く認められず、婚外交渉で女性だけが処刑になったり、
女性の運転も禁じられており、被り物で目以外を外に出してはいけない国、
8歳から15歳までに強制的に結婚させられる国などがいくらでもあるわけです。

そういう国に対してでなく、何を言っても「安全で怒らない」日本に対して
文化にも歴史にも敬意を払わない無礼な勧告をしてくるのが最近の国連。
女性の法王がいないのは差別だとなぜバチカンには言わないのかってんですよ。


そこで、日本が「女性差別国」だとするこの女性人権委員会とやらに、

「女性が軍隊の司令官になれる国は、現在世界にどれくらいあるか」 

を聞いてみたいですね。

先日、防衛省は、安倍内閣が掲げる「女性の活躍推進」の方針を踏まえ、
女性自衛官を増やす取り組みを本格化させました。

大谷2佐の艦長就任は、(当人が優秀でなくてはもちろん実現しませんが)
わたしが先日当ブログで推測したように、政権の掲げる方針に添ったものだった、
ということが報道によって裏付けられたようで少しだけ嬉しいです(少しだけな)
この件を報じる読売記事からの抜粋です。 
 

自衛隊では「母性の保護」や「男女間のプライバシー確保」などを理由に、
潜水艦や戦闘機、戦車中隊などへの女性の配置を制限している。
制度上の制限がなくても、女性の幹部登用が少ない職域もあるとされ、
こうした点の見直しについても研究する見通しだ。

これに先立ち、防衛省は今月28日、女性自衛官らの活躍と
ワークライフバランスの推進を狙いとした取り組み計画も策定した。
計画では、駐屯地などの庁内託児施設の増設や、出産・子育て前後に
研修の機会を与えるなどの柔軟な人事管理を行うこととしている。


これに対し、さっそく赤旗新聞が

●少子高齢化に伴い、男性のみでは担いきれなくなってきた自衛隊の任務を、
女性にも負担させようとする思惑である

●イラクやアフガン戦争に派兵された米軍女性兵のうち約4割が
軍隊内で性的被害に遭っているという研究もあり、自衛隊でも必ずそうなる

●兵站活動は敵からの攻撃対象となりやすい

●女性兵士が戦闘支援や応戦しなければならなくなったとき
『自分が殺した』と精神的に自身を追いつめて
帰還後に自分の子を愛せなくなり、育児放棄など虐待してしまう


と噛みついています。

最後のなんか、まるで「風が吹いたら桶屋が儲かる」みたいですね。
女性に限らず、戦闘トラウマは男性にも普通に起こりますよ?
攻撃対象となりやすい兵站活動も何も、戦争ってそういうものですよ?

こういうことに警鐘を鳴らすまえに、日本がどこの戦争に参加して、
自衛隊の女性自衛官がどこの国の人を殺さなければいけなくなるのか、
もう少し具体的に可能性のあるところを詰めてから言っていただきたい。


この際共産党には女性人権委員会とやらに

「女性を登用して司令官として採用し、人を殺す命令を出させる、
こんな日本政府は女性の人権侵害国だ!」

と思うところをそのまま訴えていただきたいものです。
現在の国連なら取り上げてくれるかもしれませんよ。あの事務総長だし(笑)



さて、前置きというか余談が長くなってしまいましたが、
「ホーネット」博物館には女性軍人、WAVESのコーナーがあって、
一度ここでも取り上げたことがあります。



女性下士官と兵の帽子、そして手袋と公式のバッグ。
このバッグ素敵ですね。
かっちりしたシェイプ、なんの模様もないクリーム色、
ハンドルの形が現在のブランドでも採用しそうなかんじです。

アメリカでは、陸軍に付随する看護部隊として女性が初めて
軍隊に参加することになりました。
しかし軍人としてではなく、男性と同様の賃金や手当はありませんでした。

女性が完全な一員として軍隊に加わるようになったのは1944年ですが、
1942年に「補助部隊」として輸送などを担当する女性パイロットの部隊が
誕生していました。

女性を軍隊に参入させるにあたっては激しい反対が軍の中にもありましたが、
海軍の女性部隊であるWAC誕生に鶴の一声を発したのは、なんと
我らが(笑)チェスター・ニミッツ提督だったといわれています。

女性が「コマンドを行ない」「戦闘機、軍艦に乗らない」ことを前提に
WAVESという軍組織に投入されることになったのは1942年8月。
WAVESの初代司令官はミルドレッド・マカフィー少佐でした。



ここでは初の女性提督になったミッシェル・ハワード大将を取り上げましたが、
つい先日も、統合軍に初の女性司令官が誕生するというニュースがありました。
北方軍の司令官に指名されたローリー・ロビンソン大将です。



なかなかのハンサムウーマンぶり。
ちょっとだけメグ・ライアン入ってますか?



提督も統合本部司令も誕生する現在のアメリカですがWAF、WAC、
そしてWAVES、が最初に誕生した当時は、世間の話題をさらいました。
話題に便乗してこんなパッケージの商品を売り出したm&m。
(しつこいようだけどエメネムと読んでね)

同じ画面に写っているのは

Moter Was A Gunner's Mate(お母さんは銃撃手の仲間だった)

という本ですが、この著者は

JOSETTE DERMODY WINGO

という女性で、このページを見ていただくとわかりますが、
トレーニング・ガナーを務めた女性軍人です。

WAVEに入隊後、銃撃主としての訓練課程を修了した彼女は、
サンフランシスコとオークランドをつなぐブリッジの途中にある
トレジャーアイランドという小さな島(住むことを少し検討したこともあり)
に当時あった海軍の砲術専門学校で、教官として勤務していたといいます。



「ガダルカナルではそんなやり方はしなかった」

彼ら(生徒)が言ったとしたら、

「だ・か・ら・ガダルカナルは取られそうになってるの。いいから座んなさい」

というようなユーモアが必要、というのが彼女のお言葉です。
深いなあ(笑) 



メディアも女性の軍人を持ち上げたので、こんな「問題児」も出てきます。
1944年にはついに白人以外、アフリカ系や少数民族の女性にも
軍隊への道が開けました。

しかし、そもそも女性部隊設立の時に最も反対が大きかったのが
男性だったことからもうかがえるように、女性軍人をもっとも疎んだのは
同じ男性の軍人だったのでした。



冒頭の女性下士官の腕には「年功章」がピカーッと輝いています。
英語で「HASH MARK」というこのマークは、下士官兵の「在籍期間」を表し、
1本が3年だったと思います。
彼女のランクはPO1、グレードでいうとE-9までの下士官のE-6、
CPOのすぐ下ということになります。 

おまけにこの女性、お酒のはいった携帯ボトルまで持ってませんか?
米海軍は艦艇内の飲酒が厳しく禁じられていましたから、これも
どういう状況で飲むつもりなのかはわかりませんが・・・。 


さあ、ただでさえ女性が軍人になるのすら快く思っていない男ども、
彼女がもしこんな「年功章」持ちになってしまったら・・・?

・・って、女性下士官が3年勤務すればそれは確実にそうなるわけですが、
なんと彼らは、この後に及んでそれを認めたくないらしい。

”これが男というものさ!WAVEが年功章をつけるとき”

と題されたこの漫画は、気の毒なくらいそんな男たちの狭量を描写しています。



隅から見ていきましょうか。
彼女の部下になってしまう水兵さんたちは、ただひたすら

"NO NO NO!" "YEOOOOO!"

と怯え・・・・・、 



「俺は見た!俺は見たんだあああ!」

と錯乱状態の水兵。

「え?何がおかしんだよコノヤロウ」

という水兵もいれば、

「おいおい坊や、いい加減にしろよ。
あーあ、(CHEEZ 、GEEZをわざと間違えて言っている)、
こいつってもしかしておかしくね?」

彼の言っている「ASIATIC」というのはアメリカ海軍内だけで使われた俗語で
CRAZYと同義と思っていただければいいかと思います。

我々には失礼な感じがするんですけど、多分失礼なんでしょう。 

「なんだってこんなことに・・・とほほ」

とすすり泣いているセンシティブな水兵さんもいます。 




こちら、左腕が洗濯板のベテラン下士官たち。飲みで愚痴。

「まだ彼女いるの?」

「(げぷっ)おお、おるでー」

「もう一杯行くか・・・」

いまいち状況が読めませんが、なんかもう自暴自棄って感じです。



もっと深刻な先任下士官たち。
ハッシュマーク6本、つまり勤続18年のおじさんたちにとってはもう、
世を儚んでピストルをぶち込んで(自分に)しまいかねないショック。

すでに遺書を用意している先任に、

「先任・・・大丈夫ですよ、これなんかの間違いですよ」

と必死で止める水兵さん。
しかし、(光ってしまって見えませんが)向こうの方ではすでに
絶望のあまり引き金を引いてしまった人がいるようです。

もちろん漫画ですが、これほどまでに女性の軍隊進出は
男性の反感を買い、邪魔者(足手まとい)が入ってくることへの嫌悪感や、
もしかしたら自分たちの場所を取られるという懸念を呼び起こしていたのは
まず間違いなかったのだろうと思います。


1948年、アメリカ軍で女性軍隊統合法が可決されました。
戦時中は戦時だったゆえ女性が軍隊にいることが「許されて」いましたが、
戦争が終わってしまえばもう女性は必要ない、とされていた法律が変わったのです。

つまり、これによって平時における看護活動以外の女性の軍隊参加が認められ、
同時に女性が士官になる道を開かれたということになりますが、この漫画は
終戦直後、その法律可決に向けて議論が行われていた頃に描かれたものです。

その後も女性軍人の権利の拡大は続きました。
軍隊における女性の割合は2%が上限と定められていましたが、
1962年に撤廃され、現在、軍隊における女性の数は、1972年当時の8倍。
女性士官の数は3倍に増え、優秀な人材なら司令官も夢ではありません。

1999年の調査によると、陸軍15%、海軍13%、海兵隊5%、空軍18%が女性で、
現在はもっと増え、新規入隊者の20%近くが女性だそうです。
今ではもっと増えているでしょう。

女性がハッシュマークをつけるくらいで怯えていた男性の下士官兵の姿は
今日の目から見ると実に滑稽にみえますが、このとき高みの見物をしていた
男性士官たちは、1976年にアナポリスが女子の入学を認めて以降、
彼らと全く同じ心配をしなければならなくなりました。

そして、今では、男性の将官たちにも起こりうる(というか実際に起こった)
事態となっているのです。
ハワード提督が誕生した時に、悔し紛れに

「彼女は女性でアフリカ系だから提督になれた」

というやっかみの言葉が同じ将官から出てきたのは記憶に新しいですね。

優秀な女性とポストを争うことになるのを良しとしない男性の嘆き節は、
おそらく今も、そしてこれからもこの漫画の男たちと同じく続くのでしょう。

 

 


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