さて、何よりも列を作って並ぶことが大嫌いなわたしが
対潜哨戒ヘリSH−60Jのコクピットに座ることが出来るという
列に並び出したところまでお話ししました。
前にも言いましたが、この日の陽射しの強さと暑さは
今年一番というくらいで、照り返しの強いヘリパッドの上、
まるでフライパンの上にいるかのように炙られて、
その間何度も列から抜け出したい衝動に駆られましたが、
何とか使命感が打ち勝ってこれに耐えることができたという次第です。
それに、じっと待って並んでいる間にも、周りでは様々な
基地見学模様が展開されていて、全く退屈ではありませんでした。
この列は後部座席に乗りたい人たちの並ぶ列。
短いのでこちらにしようかとも迷ったのですが・・・。
一度に何人かが乗れるようです。
うーーん、こちらも捨てがたいけどなあ。
上写真左側のおじさんはヘリ隊員をつかまえて
ものすご〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く長い間、
話し込んでいました。
一般公開当日の自衛官の任務はこういうコアなファンにも
懇切丁寧かつ辛抱強く応対するということにつきます。
本当にご苦労様です。
ちょうど艦首の横だったので、皆がここで記念写真を撮っていました。
お母さんが「けいれいして」と注文をつけ、おにいちゃんと妹は
お互いにちゃんと敬礼できているかどうか確認中。
「兄者!これでよろしいでしょうかっ!」
「ヨシッ!妹っ!いい敬礼だ!」
最初は正面を向いていたお母さん、赤さんの顔も写そうと
横向きになってツーショット写真(のつもり)。
しかし残念ながら赤熟睡中で後頭部しか写ってません。
経験上、本当に赤ん坊の起きてる写真って撮れないんですよね。
本人に写真を撮られている自覚が全く無いものだから。
ニコニコ笑ってレンズを見てくれるようになるには後3年を要します。
うちの子はさらに「カメラ反抗期」でレンズを向けると顔を隠す時期が
たっぷり6歳くらいまで続きました。
トモダチ作戦のTシャツ着用で参戦した男性は、
「てるづき」をバックにお茶「整列休め」を激写。
周りの人は「何やってるの」って感じで見ていましたが
わたしには彼の意図がよくわかる。
探せばこの写真がこの人のブログなんかで出てきそうですね。
「てるづき」と書かれたラッタル、そして向こうに見える「ゆうぎり」。
横でシマシマシャツに「かいきょうじえいたい」の紙帽子をかぶり、
一枚ずつうちわをもらって大喜びの三人兄弟が横で色々と始めたので
彼らを眺めているとさらに厭きませんでした。
わたしの後ろに並んでいた女性2人(一人はミリ子、一人は付き合い)が
「かわいいね」
「あの帽子海上自衛隊って書いてある」
とやはり微笑ましく眺めています。
「弟よ、我が胸に飛び込んで来るが良い!」
「むきゃあああ」
と思ったらお兄ちゃんうちわを落としてみたり。
男ばかりの三人兄弟、親御さん、特にお母さんは大変だろうと思います。
わたしの姉が男三人兄弟の母なのでよーく知っていますが。
と思ったらお母さんがもう一人しましまを連れてきました。
なんと、若草物語(男子バージョン)だった・・・。
いやこれはすごい。お母さん立派。
お子たちの大きさから見て、三人目が双子だったのかもしれません。
しかし楽しく子育てしておられる様子。
おにいちゃんが弟をケアする体制も万全です。
と思いましたが、実はボトルを兄に奪われそうになっております。
「この水だけは断固渡せん!」
static portとは、静電気除去のための、つまりアースをつなぐポートかな?
案内&説明係、交代の時間で、代わりの隊員がやってきて打ち合わせ。
彼らの帽子には
「21FS BLACK JACK」
とありますが、これは第21航空隊のスコードロンネームです。
ところで、この男前の隊員を見てふとお知らせをしようと思いついたのですが、
7月27日、館山航空基地で
「海まちフェスタ2014」
というのが行われるのですよ。
ヘリの地上展示に始まって救難飛行展示があったり、
小学生対象で「ヘリと綱引き」というイベントがあったり、
なんと先着順で体験航海が出来たり(1日6回も巡航!)
もちろん護衛艦の見学もできるのですが、このとき配っていたチラシに
自ら
「今年は横須賀地方隊の輸送艇2号を予定しています。
し、しぶい!」
と書いているように普段あまり公開されない艦が見られる模様。
当日は基地内をゆるキャラも巡回します。
7月27日のイベントにゆるキャラの中の人はさぞ大変でしょう。
出演はチーバくん、千葉未来・翔、だっぺぇなど。
千葉衛は?衛はどうしてこないんだ?
で、ここからが本題なんですが、新しい試みとして
「イベントツァー」というのが今年から行われることになりました。
なんと、
「貴女に(女性限定らしい)専属のガイドが付きます!
女性3人1組でお申し込み下さい。
男性自衛官1名が半日、貴女のガイドに付きます」
というものなのです。
こっ・・・・これは・・・・。
どうして女性限定なのか。どうしてそれに男性が付くのか。
男三人に女性自衛官のエスコートバージョンがないのはなぜか。
思い切りましたなあ館山航空基地。
昨今の「国防男子」のブームをまるで汲んだようではないですか。
今までこんな露骨な、いや具体的な女性向け企画があっただろうか。
これはもう自衛隊が仕組んだ「出会い系見学」の新しい形。
国防に対する理解を深めると共に、さりげなく自衛官と
一般女性の出会いを演出するという目的ですね?(確信)
これはエスコートする男性自衛官の方も期待してしまうでしょう。
まあもっとも、女性3人が全員独身とは限りませんし年齢制限もないので、
おばちゃん3人組にソフトなセクハラをされながら半日拘束される
運の悪い隊員も中にはいるかもしれませんが。
みね姉さん、ぜひそんな可能性をすこしでも減らすべく、
綺麗どころを見繕ってこの日館山に行ってあげて下さい。
ちなみにこれは事前申し込みが必要です。詳しくはHPで。
と、自衛隊になりかわりましてイベント情報を宣伝させていただきました。
交代した隊員はコクピットのハッチで荷物を持ってくれる役目。
狭いので持って乗ることが出来ないから、その間
ずっとこうやって預かった荷物を大事に抱えていてくれるのです。
さすがは自衛隊、なんという気配り。
待っている間もヘリを写真に撮ります。
これはホイスト。
救難用でフックを下に降ろします。
このSH−60は護衛艦の戦闘システムの一部とされ、区分も対潜哨戒ヘリですが、
副次的任務としてサーチ&レスキュー、つまり救難ヘリとしての役目も担います。
ヘリのクルーにはレーダーやソナーを操作する「センサーマン」がいますが、
このクルーが降下救助員も兼ねているのだそうで・・・これ、すごい能力ですね。
ハードとソフトを一人でやってしまうという。
コクピットに座るとこんな感じ。
操縦桿を握った手を撮影している人。
順番を待っているときドア内側を撮ってみました。
外から撮ってみます。
これを撮っていると「空調です」と隊員が教えてくれました。
ヘリ内部は冷暖房完備だそうです。
今は当たり前になっていますが、昔は哨戒機でも空調はなかったのです。
めまいがしそうなくらいスイッチの多いテーブル。
ヘリの主操縦席はどちらなのでしょうか。
SH-60Jの副操縦士は、P−3Cの戦術航空士(タコー)と同様の任務も担当します。
操縦の補佐以外にも効率的な任務遂行のため、CICと連携して
リコメンド(提言、進言)を機長またはCICに与える責任を担うので、
もはや主従の関係ではなく、全くの同等といえます。
SH−60Jは慣性航法装置といって、外部からの電波による支援を受けず、
搭載しているセンサーで自分の位置や速度を算出する機能を搭載しています。
へりはペダルで推進するんですよね。
これをアンチトルクペダルといい、テールローターのピッチを変化させて
機首方位をコントロールします。
具体的には左ペダルを踏むと機首は左へ回転し、右ペダルを踏むと右へ回転します。
ヘリコプターの操縦で一番難しいのはこのペダル操作だそうで、そういわれてみれば
横浜のみなとみらいにある三菱の科学館でシミュレータをやってみたとき、
この足の動かし方の加減が全くつかめないまま終わってしまったことがあります。
一緒にすんな、って?
天井にもスイッチが・・。
座って上を見た姿勢から読めるように、字が書かれています。
「海自」がもう少しで「海白」になりそう・・・。
「がんばろう!東北」とも書かれています。
おそらく震災後救援活動で東北に行き、救助に当たったヘリでしょう。
コクピット席のシートの間から後部座席を撮ってみました。
あれ?
もしかして背中を向けて座っているのって、クルー?
乗り込んだ人の質問などを中で受けているようです。
なんだ、それなら後ろに並んだ方が良かったかな・・。
ところで93年の運用開始後、このSH−60の墜落や炎上などの重大事故は9件。
21年の間に5名の操縦員が殉職しています。
運用に当たっては整備は「塩害との戦い」と言われており、それは
海面近くを飛行するからなのですが、その他に夜間飛行も多いため、
搭乗員や整備員は常に練度の向上に務めているとのことです。
出来るだけ急いで写真だけを撮りまくり、(後ろに並んでるので)
外に出ました。
隊員がステッカー、諸元表、そして海まちフェスタのお知らせを
配っています。
わたしに渡す前に
「今日はすぐになくなりそうです」
と笑っていました。
今までになく人が多く、彼らもびっくりしているのかもしれません。
彼の左腕にはスコードロンマーク、左胸に輝くのはウィングマーク。
つまりこの隊員が当機のパイロットということになります。
というわけで、ヘリの見学も終わり、引き揚げる前に恒例の
お土産たーいむ!
前日から息子が友達のうちにスリープオーバーでお邪魔しており、
迎えにいくのに何かちょっとしたお礼をしたかったのです。
そこで売店に向かって歩いていくと・・・
熱心に望遠鏡で見張りをする隊員あり。
凄い望遠鏡ですね。
佐世保の基地に望遠鏡での覗きは禁止!みたいなポスターがありましたが、
確かにこんな代物ならかなり離れた人家の窓の中も見えてしまいそう。
ところでこの隊員は停泊している状態で何を見ていたのでしょうか。
「てるづき」を見学する人たちの列が出来始めました。
皆並ぶ列の途中にある「ちびしま」の写真を撮っていきます。
この後、売店に向かおうとしたときに目の前で思わぬイベントが始まったのです。
続く。