Pilothouseとアメリカ人が言うところの艦橋を見学したあと、
我々一行はまた来た道をひたすら下・・・一気にハンガーデッキの下、
売店とか食堂のある階まで降りていくことになりました。
しかし、この日艦橋を見学してオモタのですが、やっぱりアメリカ海軍は
同盟国とはいっても、日本は所詮他の国、と思ってるっぽい。
昨年秋にRRが公開されたとき、あまりにたくさんの人が詰めかけてしまい、
さしもの広い甲板にも到底人が乗らなくなって、米海軍からは早々に
見学オワリ\(^o^)/のご案内が出てしまったそうですね。
そのときには米海軍前から歩道沿いにヴェルニー公園まで列ができていたとか・・。
その日、朝6時くらいから並んでRRに入ることができ、
ハンガーデッキから艦載機エレベーターでごおおおお!とばかりに
甲板レベルに上がることのできたこの日の見学者、実に羨ましい限りですが、
どこにも艦橋や内部の写真が出てこないところを見ると、
見学できたのはハンガーデッキと甲板のみだったってことですよね?
RRで動画検索すると、アメリカでは普通に艦橋を公開して、
おっちゃんが司令官の椅子に座って得意になって写真を撮り、
「あんた10歳児か」などとからかわれているのが出てきたりします。
USS Ronald Reagan CVN-76 US Aircraft Carrier Tour by Tony Perri, SurfsUpStudios.com
まあアメリカでは日本のように何キロもの列ができたりしないからでしょうけど、
わたくしの所属する地球防衛協会(仮名)だって、元陸幕長や元海幕長が名を連ね、
防衛大臣も年始には挨拶に来るちゃんとした団体なのに、艦橋は無人状態、
あとで稼働時の映像と比べてみると、どうやら操舵システムなどもメンテ中。
言うたら仏作って魂入れずの状態?
いずれにしても、かつての敵国人に見せたげるんだからこれくらいで勘弁ね?
みたいなかすかな投げやりさを感じないでもありませんでした。
何が言いたいかというと、軍艦というモノの性質上その待遇においてU.S. Citizenと
NON U.S.の間には、万里の長城(不適切?)並みの隔たりがあるってことです。
この日もこんなドアの掲示を見つけてさすがは米軍艦、と思った次第です。
確か電気室だったと思うのですが、
「アメリカ国籍でない者と従業員の入室絶対に禁止」
と断固として書かれてあります。
階段の写真を撮るのは忘れましたが、階段の天井の写真は撮りました。
こんなところにこれだけの絵を描くのは、システィナ礼拝堂の天井画を描いた
ミケランジェロ並みに大変な労力を要したに違いありません。
おお、何人たりとも立ち入り禁止のフライトデッキコントロールの
ドアが開いている!
今日はここで行われる仕事はないはずだけど・・?
ドアは5文字のボタン式ロックで開閉するシステムです。
足元の「PRIDE」のRが背中合わせの「RR」になっているのがオシャレ。
こんなポスター発見。
「セクハラ被害相談員」
ってところでしょうか。
規模において一つの街くらいある空母ですが、船という閉鎖された空間では
そこも社会の縮図、人間同士のトラブルの種は尽きません。
昔、船に女性を決して乗せなかったのは、若い男性の職場であるがゆえに
問題が起きるのが必至だったからですが、特にアメリカでは女性隊員も
普通に空母乗り組みをする時代になりました。
余談ですが、先日、護衛艦「やまぎり」の艦長に大谷美穂2佐が任命されて、
ちょっとした話題になっていましたね。
練習艦ではなく、戦闘艦が女性艦長を戴くのは海自初だそうです。
去年、大谷2佐と防大同期の東良子氏が女性で初めて1佐となり、
もしかしたら女性初の海将補が誕生するか?と盛り上がったものですが、
今回の人事も、大谷2佐が「男性自衛官から文句がないくらい優秀なら」
大変良いことだと思います。
米海軍にミシェル・ハワード大将が誕生したときには、同じ海軍の男性将官から
「女性でアフリカ系だからさほど苦労せずその地位を手に入れた」
などというやっかみとも取れる批判が出ていたそうですが、男性でも
上に行くほど、全ての人が手放しで賛成する人事は理論上ないのですから(笑)
もっともこの人事に、安倍政権の「女性が輝く云々」が作用を及ぼしているのなら、
広報的にはOKでも、まあ色々と・・・厳しい道のりにもなることでありましょう。
しかし、大谷2佐には、そういう反感も跳ね返すべく、今後益々ご活躍されることを
心より祈念して、わたくしのご挨拶と代えさせていただきたいと思います。
話を戻しますが、フネという閉鎖された空間に女性が乗り込むというのは
アメリカみたいな国でも(だからかな)色々と起きてくるわけです。
もっともありがちなのが、(ってかそれしかないか)パワハラとセクハラ。
このポスターは、セクハラがあったときに被害者が相談する窓口になっている
何人かの専門相談員のリストですが、相談員もみんな乗組員です。
彼ら一人一人の写真にはオフィスの場所と寝台ナンバー(さすが軍艦)に加え、
「航空」「供給」「医務」などその所属部署も明記されています。
相談しやすいようにやはり女性の相談員が多いですが、男性でも
セクハラを受けることは普通にあるので、男性相談員も何人かいます。
RRにはセクハラだけでなく、家庭問題、金銭問題など、隊員が困ったとき、
専門のCPOが乗艦していて、常時相談に乗ってくれる態勢が整っています。
全体的に我が護衛艦よりはインテリアに気を使っている感があるRRですが、
ドアはもちろん、廊下の壁からすでに特別感漂うゴージャスな木目調。
ときたら、そう、コマンディング・オフィサーつまり司令官室。
キャプテンキャビンすなわち艦長室でございます。
今この部屋の主は、先日「いずも」訪問のエントリで少し話題にした
クリストファー・ボルト艦長。
もともと宇宙飛行士志望で海軍に入り、EC-2のパイロットであったボルト司令は、
空母のランディング・シグナル・オフィサーでもあり、さらにはその後、
原子力を扱うトレーニングも専門的に行い、いうならば
「原子力空母艦長コース一直線!」といった前歴を経て現在があります。
こういう経歴を見ると、アメリカ海軍の人材教育・育成制度というのは
実に戦略的というか、科学的に行われているものだなと思いますね。
ん?何がストップですか?
「ここから先で携帯やスマホ禁止。もちろんiPadなんか論外な」
とは書かれていませんが、まあそういうことです。
規律とか礼儀の点でそうなっているのか、他に電波的に何か
支障があるからそうなっているのかはわかりません。
おそらく航空隊のマーク、「ホーク」がつく航空機は「ホークアイ」と
「シーホーク」があるからそのどちらかだろう、と見当をつけて調べたら、
厚木基地のシーホーク部隊、「サーベルホーク」でした。
救難部隊で、「砂漠の盾」「砂漠の嵐」といった作戦群、そして
ソマリアの人道支援やハリケーン、カトリーナのときの支援、
レイテに大きな被害をもたらした台風30号の災害支援も行い、
「Humanitarian Service Medal」(人道支援に対して与えられる功労賞)
も複数回受賞している部隊です。
さて、またしても何度となく階段を降りて(護衛艦もだけど下りが大変)
ハンガーデッキの1階下まで降りてきました。
この階に食堂や売店などがあるのは護衛艦と同じです。
床には「チームワーク」とか「勇気」とか「プライド」(適当)
などという言葉が書かれたスターマークがプリントしてありますが、
これ、明らかにハリウッドの「ウォーク・オブ・フェーム」のパロディですよね。
元映画スターの合衆国大統領の名前を戴く空母ならではの遊び心です。
ここに来るまでに、キッチン(前にトレイを持って並びお皿によそってもらう)
を通り過ぎたのですが、写真を失敗してしまいました。
日本ならおにぎりが置いてあるところに、ここではポップタートが置いてあって、
さすがアメリカ、と一人でニヤニヤしていたのですが。
ポップタートって、「Nyancat」のあれ(砂糖をアイシングしたクッキー)。
息子に一夏に1回くらいはねだられるけど、大人も食べるとは知らなんだ(笑)
ロナルド・レーガンの食堂は24時間営業です。
どんなときに食べにいってもご飯がいただけます。
広い食堂の隅にたった二人で遅い昼ご飯を食べている人影が。
アメリカ人はケチャップとマスタードがないと生きていけません。
各テーブルの「コンディメントセット」のマスタードの大きさを見よ。
キッコーマン醤油も結構人気ですか?
次なるツァーの予定は、「ロナルド・レーガン」売店でお買い物です。
売店は乗員のためにあるので、基本食料品や日用品が中心です。
アメリカではおなじみの「サン・レーズン」や「m&m」(エメネムと読んでね)
はもちろん、ルックチョコレートまである!
レーガン大統領の写真集や像が乗員に売れるとはとても思えませんが・・。
名前入りのキャップは普通に乗組員が着用するので大量に売られていました。
ここにあるのは全部スクランブルドエッグ仕様(自衛隊の”カレー”)
ですが、下士官兵のためについていないのもありましたよ。
わたしはすぐに飲むための水(普通にアメリカのアクアフィナ)と
この帽子、メダルを記念に購入しました。
というか、これくらいしかお土産らしいものがなくて・・。
マグカップもいいかな、と思ったのですが、これがどういうわけか
まるで南部鉄でできているかのごとき重さ。
さすが軍艦の中で使うカップは安定性を重視しているのだなと思ったのですが、
(それとも日常で行えるウェイトトレーニンググッズとして?)
持って帰るには憚られるほどだったので諦めました。
しかも、日本のように手提げ袋に入れてくれるなどという気配りのない世界なので、
(最近は本土のお店でも頼まないと袋をくれないところもある)
たくさん買い物した人は、透明のビニール袋(ゴミ袋)に入れてほいっとわたされ、
その口のところを持って運ばねばなりませんでした。
「珍しいカップヌードルがあった」
と爆買いしていた人が一人いましたが、どうやって家まで持って帰ったのでしょうか。
解説と案内してくれたアフリカ系の人がレジもやっているのだと思っていたら、
なんと瓜二つの同型艦でした。
専門のレジ係ではないのか、計算やお釣りを渡すのがおそく、しかも
日本円で支払う人にはドル計算までしないといけないので、
一行のお土産を買う列が捌けるまで大変な時間がかかってしまいました。
ドンタコスはアメリカ人にも人気、と・・・_φ( ̄ー ̄ )
すっかり忘れていましたが、こういうのを床に発見してここが「船の中」であると思い出します。
「フライング・ダッチマン」だと・・?
わたしがこれを見ながら首を傾げていると、案内の人がぶらぶらしていたので、
近くに来たついでになんなんだか聞いてみました。
「このお店の名前ですよ」
「さまよえるオランダ人」というネーミングは軍艦に取って縁起が悪いのでは。
「ダッチマン」はオランダ人の他に「幽霊船」の意味もあるし・・。
と思ったら、入り口に名前の由来が麗々しく掲げられていました。
これによると、
この名前はわたしたちのミッションと、艦名の人物へのオマージュである。
まず、 レーガン父が息子につけたあだ名が”ダッチマン”であった。
生まれたばかりのロナルドを見た父親は”これは太ったダッチマンだ”といった。
父親にとってのダッチマンって一体何だったのかと突っ込みたくなるくらい
説得力のないレジェンドです。
まあ、言いたかったのは「そのダッチマンが長じて合衆国大統領になるとは」
ってことだと思うのですが、父親が言ったとされるセリフはもう一つあって、
「あまりにも(A hell of a lot of noise)やかましい子供だったから」。
こちらもなんでダッチマンという名前の由来になるのかさっぱりわかりません。
だいたいフライングダッチマンって、幽霊船に乗って地球の審判の日まで
永遠に彷徨い続ける呪われた船長のことですよねー?
レーガンは「わたしのことはダッチマンとよんでくださーい」と
親しくなった人に頼むほど、この呼ばれ方に愛着を持っていたらしいんですが、
こんな話今初めて知ったわー。
じゃ、中曽根さんに呼ばせていた「ロン」はなんだったのよ「ロン」は。
中曽根さんには「ダッチマンと呼んでください」というほど心を開いてなかったのか。
「ダッチマン・ヤス外交」ではバランスが悪いと報道官に言われたのか。
それと、「我々のミッション」と「ダッチマン」の関係の説明がないです。
やり直し。
セールス&サービスの隊員も、軍人として国を守るために俺たちは仕事するぜ!
という気概をビンビンと醸し出しています。
セールス部門の統括をするのはアフリカ系の女性司令官です。
やっとのことで皆さんの買い物が終わり、出口に向かうことになりました。
どうしてこんなに時間がかかったかというと、RRの乗員は通常、
ここで買い物する時も現金は絶対に使わないからです。
IDカードをピッとかざすだけで、口座引き落としされるというシステムで、
艦内では現金を持ち歩かなくてもいいため、
係は現金(日本円はなおさら)を扱うのに慣れていなかったのでしょう。
ちなみに空母は大きいですが、各自の個人スペースは兵であればベッドの上と下だけ、
女性であっても、ベッドを持ち上げたところに入るだけの私物しか持ち込めません、
洋服などは極限まで小さくたたまねばならず、おしゃれな服などとんでもありません。
しかも、時々抜き打ちに「持ち物検査」があるのだそうです。
アメリカ海軍の厳しさは、私立女子校並みです。
もう一つついでに、ここには乗員の洗濯をする専門の部門があります。
大抵の制服はノーアイロンですが、幹部、とくに艦長などの制服には
大変気を遣ってプレスを行います。
「艦のトップがピシッとした格好をしていないと下への士気にかかわる」
からだそうです。
夏は暑いし同僚の靴下は臭いし、たいへんな職場ですが、いいこともあって
ランドリーは「週一度休みがあるので他の職場より楽」だそうです。
「ロナルド・レーガン」も「月月火水木金金」だったのか・・。
写真は途中にあったポスタルサービス。
アメリカではおなじみの郵便マークです。
ロナルド・レーガンは独自の郵便番号を持っており、郵便物を送るのは
その郵便番号と宛先の所属、名前だけでOKだそうですよ。
続く。