またもや3泊4日で地方に行っておりまして、潜水艦エントリに対する
皆様の熱いコメントにお答えしないままになってしまいました。
そこで、コメント欄ではなくここでお返事をさせていただくことにします。
そうりゅう型潜水艦潜入
出世 (ハーロック三世)2016-12-20 23:08:00>出世をあきらめた3佐をなめるな
思わずエアフォースでフライトエンジニアをしていた叔父を思い出し、吹きました。
彼は1945年、終戦の年に家を飛び出し、18歳だと年齢を偽って米空軍へ入隊。
しかしながら、一本気の喧嘩っ早い性格。
Sergeantになってから士官に反抗し、抗命罪で降格を食らうこと3度。
43歳で退役時にはMaster Sergeantでした。
叔母曰く、
「おとなしくしていれば士官になれたし、退職金も恩給も違ったのに・・・」
だそうです。
本人は至って平気なもので、
「あのど素人士官(機長)が、キャリア20年の俺のいうことを聞かなかったから怒鳴りつけてやった。
そしたら降格だってよ。」だったとか。
怖いもの無しのベテラン曹長をなめるなよ、だそうです。
エリス中尉
立志伝中の人物みたいな叔父様ですね。
敗戦の年に昨日までの敵国の軍隊に入ってしまうと言うことからして
只者ではないと目を丸くしてしまいました。
叔母さまという方はたしかアメリカ人ではなかったですか?
だとしたらお二人は現地で知り合って結婚されたんですね。
ロック岩崎という名前は初めて知りました。空自の戦闘機乗りだった人で、
現役時代はF-104で当時新鋭機だった米空軍のF-15を
「撃墜」したことがあるほどの腕の持ち主、
退官後エアショーのパイロットとして名をはせるも愛機で墜落死したと・・・。
ロック岩崎
生まれてきた時代が時代なら、「撃墜王」などといわれたのでしょうね。
墜落死は果たしてご本人にとって「本望」というものだったでしょうか。
X舵とスターリングエンジン
AIPと舵 (お節介船屋)
2016-12-19 09:56:10AIPには大きく分けてスターリングエンジンと燃料電池があります。
スターリングエンジンはスェーデンのサーブ社の傘下コッカムス社が開発しました。(川崎重工業ライセンス生産)
簡単言えば外燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンは
ピストンの中で燃焼させエネルギーを得る内燃機関)、
ピストンの外をケロシンと酸素で温めてヘリウムの膨張気化させ、
海水で冷やして収縮で発電機を回転、発電させます。
海自はこれを輸入し、「あさしお」を切断ジャンボジングして搭載、実験し、
「りゅう」クラスから採用搭載(川重製造)しました。
本当は防衛庁の時代に燃料電池に着目して技術研究本部で研究されましたが、
少ない予算(人、物、金が不足)と学界(大学)から協力を得られず開発出来なかった経緯があります。
この燃料電池は、陽極に酸化剤、陰極に燃料で電気を発電させる装置で
何種類かの方法があるようです。電気屋でないので良く分かりません。ドイツが開発し、自国の潜水艦、輸出用潜水艦(214型等)に搭載されています。
燃料電池搭載潜水艦は数的にはスターリングエンジンより多いと思います。(ドイツは輸出熱心)
中国は盗んだのか、スターリングエンジン搭載艦があるような情報があります。
船価の絡みでAIPを搭載していない通常動力潜水艦の方が多いです。
通常動力潜水艦は電池が主動力でディーゼル発電機を装備、AIPはサブ発電機という位置づけと思います。
海自も「りゅう」11番艦からAIPを搭載しないで、電池をリチウムイオン電池とします。
旧潜艦隊司令官が「世界の艦船」に投稿されていますので、秘密でない事でしょうが、運用の煩雑さ、船価、容積大きさ等デメリットもあり、リチウムイオン電池の良さ(容量、充電能力、寿命等)が勝っており、その方向となったと思います。
ただリチウムイオン電池は高価で船価を押し上げてはいます。
舵については過去コメントさせて頂いた、テレモーターの後継が
電気式舵制御装置となって故障も少なくなったと言いました。
この電気式がシンクロ電機で、舵輪を回せば、磁石が動きその角度で
電気信号が舵取機の油圧制御機構に伝えられ、油圧で舵を動かします。
「あきしお」を見学された方は分かると思いますが、
右の操舵員が潜舵と縦舵、左の操舵員が横舵を制御しています。
乗員の減少もあり、またコンピューターの発達、信頼性の向上から、
操舵員は一人、舵はジョイステックで、潜舵、後舵を制御しているようです。
特に後舵は4枚が別々に作動するので、旋回も小さくなったと思います。
以上発表資料が基ですので防衛秘密事項ではないと考えます。
エリス中尉
なるほど。
他の資料を読んでわかったことや、このようなお話を伺うと、
確かに理屈ではよく理解できるのですが、
残念なことにわたしは実際に潜水艦の舵がどう動くのか見たことがないうえ、
全く想像もつかず、従ってこの件に関してはイマイチ理解していない気がします。
舵の根本のところで角度が変わるんでしょうか。
こればっかりはYouTubeにも上がってないだろうし・・・
内こく非貫通潜望鏡 (お節介船屋)2016-12-19 14:32:28文献、雑誌の資料及び船屋の常識から下記のように思います。(多くは「世界の艦船」の資料)
潜水艦の耐圧強度は船殻の鋼材質と真円度ですがどうしても貫通物があり穴が必要です。
究極的な耐圧は深海潜水艇のように球を連結すれば数千mまで深さまで潜れます。
潜水艦はたかだか数百m(各国とも秘密にしてますがカタログデータを記載した輸出用潜水艦があります。)で容積も必要であり、涙滴型、マッコウクジラ型、葉巻型となっています。
ハッチ、潜望鏡の穴、発射管開口部、海水取り入れ口、吐出口、空気取り入れ口、排気管、電線貫通等の穴を耐圧こくに開ければ補強が必要です。
これ等が少なくなれば強度上の問題も少なくなります。
内こく非貫通潜望鏡はその意味からもベターですが、また高倍率、モニターの使用、瞬時に色々な方向が取れ、後からも詳細に分析出来る等現在ベストな装置です。
アメリカの原子力潜水艦等は2本ともこの潜望鏡が装備されています。
残念ながら日本でもニコンの光学式潜望鏡が無くなる時代がくるのでは?
エリス中尉
色々と御指南ありがとうございます。
中での説明でスターリングエンジンの仕組みについてはほぼ分かったのですが、
何で冷やし(海水)何で熱を加えるか (ケロシンと酸素)
については質問するのを忘れ、疑問が残ったままでした。
潜望鏡は昔はないと話にならなかったので普通に二つはついていましたが、
深々度での耐性を考えるとないに越したことはないのですね。
ノスタルジーなどその合理性の前にはおよびでないってことで(笑)
今後は潜水艦のシンボルである潜望鏡を覗き込むスタイルも、
昔のものになっていくのかもしれません。 ひょえぇぇぇ… (佳太郎)2016-12-19 22:42:22エリス中尉潜水艦にも乗ったんですか…
すごい…
X船舵って目立ちますよね。そして光学式の潜望鏡も無くなってしまうのですか…
そして今は急速潜航ってないんですね。今まで今急速潜航の時はどうするのかな?とか考えてましたがもうないのですね…
エリス中尉
はい、そうなんですよ。
科学技術が進んでAIPが可能になった今、スノーケルのために危険な海で
ハラハラしながら浮かんでいる必要もなくなったってことなんです。以前漫画にした板倉光馬艦長の
「敵機に帽を触れ」みたいな逸話もなくなりますね。
雨女じゃなくて (鉄火お嬢)
2016-12-20 00:52:58つまりレインコート姿を見たい!と言うエリス中尉の念が雨を呼び寄せるのか。
しかも!私ならあの潜水艦の梯子を登り降りすることが分かっていたら、
まず足さばき優先で短いコートとパンツスタイル、靴も底が滑らない柔らかいので行くと思われ。だのにエリス中尉 、このお召し物は、レインコートの幹部と記念撮影のヴィジュアル優先したでしょ(笑)そりゃ私も観艦式の時は何着て行こうかとかなり力入りましたけどー。
潜水艦、私も今ごろですが、今月アタマにあった阪神基地の行事で初めて潜水艦の甲板に足を踏み入れて、海江田艦長のイメージに浸っておりました。そうりゅう型になったら「急速浮上! 」ドーン!「艦長、やまとです!」「分かっておる!」なんてのも無いのねー、などと感慨が~ww
山崎豊子さんの遺作『約束の海』主人公は潜水艦乗りでしたが、つくづく2部3部を書かずに山崎さんが亡くなられたのが悔しいです。エリス中尉
最初に呉で雨に降られた時に「レインコート♪ レインコート♪」と
はしゃぎすぎたのがこの結果ではないか?と反省しております。
今日のトビラ写真は先日あげたのとズームの違う写真ですが、
(なんとカメラを渡したら勝手にズームして二枚目を撮ってくれた)
このとき写真を撮ることは全く予期していなかったんですよ。イベントに行くとよく自衛官に「お撮りしましょう」と言っていただくのですが、
当方自分の写真など全く興味がないため、結構ですと断るのが普通です。
しかしこのときは艦長の写真を撮った後、広報の三佐が一緒にいかがですかと言ってくださったのでお言葉に甘えることにしました。
この日は見学だけでなくこの後呉総監への表敬訪問がありましたし、
この前日にも会議のようなちゃんとしたお席があったので、下には
とにかくブレザージャケットを着る必要があったのです。そうなると運動靴というわけにもいかず、乗馬スタイルみたいになりました。
これに短いコートを着ると、本当に乗馬の休憩中みたいになってしまうので、
苦肉の選択というか消去法でこれになった次第です。
おっしゃる通り裾が広がっているので、ハッチから下に降りた途端、
異常なくらい気の利く乗員の付き添いの方がタオルを持ってきてくれました。ありがとうございます、と受け取ったものの、自分ではどこも濡れたという
自覚がなかったので、おそらくコートは自然乾燥したと思われます。
>そうりゅう型になったら(略)などと感慨が~ww 皆さんにもお返事しましたが、そうりゅう型からは今までの潜水艦から
一歩前に進んで古い潜水艦にまつわる一般人の「思い入れ」が消えていきそうです。
「約束の海」、本当にわたしも残念です。
おそらく、モデルの酒巻和男少尉の出撃とその生還、捕虜生活についても
あの精査された調査をもとに書いてくれたであろうと思いますね。前にも書きましたが、当時の潜水艦乗りの間でも
「誰がこんなことまで話したんだ」
という話になって犯人探しされたというくらいでしたし・・。
海自サブマリナーの矜持怖くて頼もしくて痺れる(笑) (鉄火お嬢)2016-12-20 08:59:02「潜水艦乗りに取ってはフネは2種類しかない、沈めるフネと沈められるフネだ」
なんて言葉を思い出しますね。
呉で潜水艦の部隊の方と話した時に国籍不明潜水艦をオラオラと苛めて
ズタボロにしてリリースした以前の事件の話になり
「見つかるようなヘマしないだけで、あちらから来るばっかりじゃなくて、
こっちからもたまにお出掛けして、他所んちのお庭で遊んで帰ってくるんでしょ?」
と聞いたら、黙って返事しないんですよ。
しかし彼のニンマリと細まった目と得意気に上向いた鼻が雄弁でした(笑)で、
別の機会に別の潜水艦乗りの幹部さんにその話をしたら
「そこは“なわけないでしょ”と表情変えずに言うところ。
つい目が笑うとか、そいつはダメな奴(笑)」
あ、あの、結局よそんち徘徊説はじたいの否定は無いと……私、こんときゾクゾクしました(笑)
エリス中尉そんな話を聞いてしまうと今後潜水艦乗員というだけで見る目が変わってきそう。
彼らはたとえ親族であっても決して行き先を言わないそうですが、
妻になる人は、夫の仕事に興味がありすぎてはダメ、(間違っても
鉄火お嬢さんのようにカマかけるような人はダメでしょう)
それから、夫がたとえ連絡なしでずっと帰ってこなくても、詮索したり、
疑ったりするような人ではダメかもしれません。
夫の方も、守秘義務をいいことに・・というケースもあるんだろうな(棒)後部魚雷発射管 (お節介船屋)2016-12-20 10:11:50エリス中尉が納得されていますので要らぬお節介ですが、
現代の潜水艦になぜ後部魚雷発射管がないのか?
まず魚雷の性能です。
武器は詳しくないのでWikiから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E9%9B%B7現在の魚雷は音を探知してその目標に向かったり、
発射艦から細いワイヤーや光ケーブルで誘導しますので、どの方向でも推進します。
極端な話、発射管はどこにあっても良いとなります。
Wikiにあるように
ロシアが原子力潜水艦対応で200Ktのスピードの直進魚雷を持っているそうです。
一般に魚雷は直径533mmですがこの魚雷は650mmだそうです。
これはその方向に向かなければならないでしょう。
2点目 船屋の見解ですが(また「世界の艦船」等の受け売りです)船形からです。
海自も「おおしお」「あさしお」クラスまで2軸推進で
細く長い船型で水上航洋性能を重視していました。(後部発射管あり)
「うずしお」クラスになり、水中運動性能が重視されるようになりました。
水中でどんな形が運動性能が良いのか、
水の流れが良く渦等を発生しないのか等検討されます。
涙滴型が良いのは分かっていましたが、
艦内容積も考えて、最適設計をされます。(長くなってます)
模型を作製し、水槽で走らせ、抵抗値、水の流れ、渦の発生がないか等検討し、修正されます。
推進器も後端に1基とされました。脱線ですがプロペラは回転数、翼の形、枚数、直径、材質等検討事項は多く、
最適設計しても、実際は加工技術、仕上げによって、性能が出ない事もあります。
特に回転によって水流の乱れ、水の剝離によってキャビテイションが発生しますと音が出るだけでなく、プロペラ自体に穴が開いて使い物にならなくなります。
艦尾が絞った所にプロペラがあり、推進効率も水の流れも良い事となります。
高速の原子力潜水艦はプロペラ部がトンネル形状となっており、その部分がどうなっているのか?です。
艦尾が絞って、尚且つモーター、舵取機等があり、船型からも後部発射管は装備できません。
古い潜水艦は除いて
涙滴型、マッコウクジラ型、葉巻型で1軸推進は各国共通で
水中運動性能重視となっていますが、
行動海域や各国の状況から大きさ、形、行動日数、乗員数等違っています。
ただ建造出来る国は10数か国、持っている国は40数か国、
約400隻が現在ありますが大きな艦、敵地潜入目的の小さな艦、
古い2次大戦時のもの、最新の原子力潜水艦等混在しています。
秘匿性があり、大変有効な軍艦ですが
稼働しているのか、象徴として持っているだけなのかとに疑問の国、潜水艦もあります。エリス中尉
>稼働しているのか象徴として持っているのかわからない国、潜水艦
あー、わかるような気がします。あの国かもしれませんね。
後部発射管が現代の潜水艦になぜ付いていないかについては、
おそらく当たり前すぎて質問された方も戸惑ったのでしょう。
現代の魚雷が目標を追尾するものであるというのは1たす1は2くらい当たり前のことですから。でも、アメリカの大戦中の潜水艦を見てきた目には不思議だったんだい!官から民へ (筆不精三等兵)2016-12-20 12:48:13全く関係ないかも知れませんが、三菱電機から去年から発売されているエアコンに、
円筒形のシロッコファンからペラファンに変更した機種が登場しています。
ペラファンの方が風量が多く省エネにもなるのですが、
機体が大きくなること、風切り音が大きく振動するような風が
不快感を与えること等の理由からシロッコファンが採用されていました。
しかし、近年の扇風機の羽を見ていただければ解って頂けると思いますが、
プロペラファンの形状も最近になって大きく変わり、音や風の振動が激減しています。
勝手な想像ですが、エアコンを製造している家電メーカーの中でも
プロペラファン式を採用しているのは三菱電機だけということから、
このペラ形状には船舶のスクリュー、特に潜水艦の物の製造により
蓄積されたノウハウが民間への普及しだしたからだと思っています。エリス中尉
面白い視点ですね。
自然界の風と違って扇風機の風に当たり続けることができないのは、
ファンで作った風が渦を巻いている人工的なものだからだそうです。
三菱は潜水艦のプロペラ研究のノウハウにおいて
最も重要となる静謐性を突き詰めてきたからこそ、
流体を変えて不快感を軽減するファンを作り出すこともできたのかもしれませんね。
一体感 (ハーロック三世)
2016-12-21 02:12:10>潜水艦の乗員にはイジメが少ない
これはやはり「一家」的な空気が強いからだと聞いたことがあります。
通常の海上艦艇の場合、士官と兵が言葉を交わすことすらないそうですが、
潜水艦の場合、否応でも艦長と顔を合わせ言葉を交わさざるを得ない環境にあることに起因しているとか。
これは航空会社のCAにも当てはまるようで、常に基本はグループ単位で乗務しています。
月のうち20日ほどは乗務にでているので、家族とよりも過ごす時間が長いのです。
まぁ、そこで男性CA(わずかながら存在する)と女性CAが仲良くなることも多く、
どちらかまたは双方に家庭があると、またややこしくなるわけです。
因みに運航乗務員とCAはフライト毎に組み合わせが違うので、
いつも同じ顔ぶれではありません。
このグループ単位というのも良し悪しで、チーフパーサーを長として
一体感ができていれば、機内業務もスムーズに良いサービスが提供できますが、
内部で不協和音があると・・・・
だいたい仕事ぶりを見ていれば「一家」として機能しているかどうかがわかります。
お客様にとっては当然、一家として一致団結した仕事をしてもらう方が良いのですが、
全てがそうだと断言できないのが悩ましいです。
エリス中尉
そうそう!それなんですよね。
我が意を得たりといいますか、わたくし昔そういうことを
「どんがめ下克上」というエントリで考察してみたことがあります。
昔はさらに一蓮托生で何かあれば一緒に死んでいく仲間という意識があり、
それこそいじめなんてしている場合ではなかった、と結んでみました。
航空会社のCAって大変そうな仕事ですね。
女性ばかりの集団がチームとして上手く機能するのはスポーツだけ、
とわたしはいいきってもいいくらいです。
そこでふと疑問に感じたのですが、この場合の「チーム」には
パイロットは全く関与しないということなんでしょうか。
つまり、全く両者は別組織で関わりがないものなんでしょうか。
いえ、チーフパーサーを巡って、という話があるなら、
当然ながらパイロットを巡って、というトラブルもありそうだと思ったもので。
続く。