潜水艦映画「イン・ザ・ネイビー」二日目です。
第二次世界大戦時のバラオ級潜水艦「スティングレイ」の艦長として、
最大深度限界突破を成功させたダッジ少佐。
いよいよチャールストン海軍基地に模擬戦を仕掛ける時がやってきました。
ちなみにノースカロライナ州にあったチャールストン海軍基地ですが、
冷戦が終了してその役目を果たしたとみなされ、1993年には
3年後の基地閉鎖が(地元の反対を押し切って)決められています。
この映画は公開が1996年3月。
海軍基地の閉鎖は製作段階でもうわかっていたはずなのですが、
あえてこの名前を残すようにしたのは、もしかしたら海軍の
内部からそのような要請でもあったのでしょうか。
「未知の攻撃者」を迎え撃つのは原潜「オーランド」艦長カール・ノックス。
かつてのダッジの上官です。
「スティングレイ」艦内ではダッジ艦長がソナー員のソナーの
地獄耳を通り越した変態っぷりに呆れていました。
「何か音は拾えたか」
「バックマンがオレオを食べてます」
「いや、そういうんじゃなくて」
「さっきクジラのナイスカップルが上を通りました。
俺がクジラの泣き真似をするとたまに返事が返ってきます」
「・・クジラに原潜が通ったら教えるように言っておいてくれ」
「アイアイサー」
こちらまともな、じゃなくて優秀な「オーランド」のソナー員。
早速「スティングレイ」のエンジン音を探知します。
「近寄ってピンを打て」
日本では「ピンガー」と言いますが、これはアクティブ・ソナーによる探知のことで、
探信音(Ping)を発信(”ピンを打つ”という)します。
ここでも副長が
「こちらの位置も悟られてしまいますが」
と言っていますが、この方法はかなり離れた敵に探知されることになります。
しかし、ピンを1回打つことにより目標の正確な方位と距離が測定できます。
現代の潜水艦戦ではピンガーは
「そこにいることはこちらはわかっているぞ」
と相手に警告するために打たれます。
つい最近でもありましたね。我が自衛隊潜水艦と某国潜水艦の間で。
「艦長!ピンが打たれました!」
そこでダッジ少佐、ためらいなく浮上を命じます。
「ジャクソン、外の空気を吸いに行かないか」
「へ?」
「潜望鏡の先に灯りを吊せ!」
「海軍の募集ポスターにこんなこと書いてなかったっす」
「運動神経のありそうなのはお前しかいないんだ」
ライト点灯。
「ん・・・・漁船か?」
あとはみんなでどんちゃん騒ぎするだけ。
「皆で歌ってます」
「なるほど・・酔いどれ漁師の船を追尾したか」
「ははは・・・」
こちらチャールストンまでわざわざダッジの悪口を言いにきたグラハム提督。
受けて立つのはウィンスロー中将です。
「私は模擬戦で負けたことはない。三つ星も目前です」
「君が私と同じランクに上がってくるとはねえ」
「ふっふっふ」
ところがその瞬間、チャールストン軍港に侵入を果たした「スティングレイ」の
放った照明弾が目の前で炸裂しました。
「ディーゼル式潜水艦もやるじゃないか」
いやあの、ディーゼル潜水艦に基地がやられては困るからこその模擬戦でしょ?
ウィンスロー提督、潜水艦隊司令としてそこで喜んじゃっていいの?
「君の昇進は危ないな、グラハム」
あ、つまりグラハム司令が嫌いなのか(笑)
「2度と奴の思い通りにはさせません!
奴の刺青したぴ━━━━(゚∀゚)━━━━!!を
わたしのオフィスの壁に釘付けして飾ってやる!」
「・・・・・・・(ドン引き)」
頭に血が上ったグラハム提督、模擬戦のルールを勝手に変えて、
「スティングレイ」の活動海域を半分にしてしまいました。
「こちらの魚雷の射程内に入ればその瞬間ダッジの負けだ!」
あー、ゴールポストを動かしまくってるー。
本気のグラハム提督、狭い海域を駆逐艦3隻、フリゲート艦を出してきて
徹底抗戦の構え。
ダッジ艦長は潜航指揮官レイク大尉に海底への鎮座を命じます。
「海底鎮座については把握しているのか」
「シミュレーターで何度もやっております!」
しかし鎮座の際、レイク大尉のオーダーミスで艦体は激しい衝撃を受けることに。
「ナイス・ジョブ、レイク!まるでピアノ落としたみたいだったな!
万が一奴らに最初の音が聴こえてなかった時のためにも一回やってみなよ!」
レイク大尉を罵るスタパナック。
こいつ潜水艦から降りたいから作戦が失敗した方がよかったんじゃなかったのか。
衝突音は「オーランド」にすぐさま探知され、ノックス艦長は
今度はアクティブではなくパッシブソナーでの探知を命じました。
潜水艦映画おなじみの「無音潜航」の息詰まる緊張です。
ところが、ここで普通の潜水艦映画には起こりえないアクシデントが発生。
そういうことをするためにキャスティングされたに違いないこのデブが、
この「深く静かに潜航中」の非常時に大音響で(以下略)
「なんだ」
「何かの爆発音のようです」
「(すんません・・・)」
しかし彼らの不幸は、乗っているのがディーゼル艦であることでした。
狭く空調の利かない艦内に有機ガスがたちまち流出し、阿鼻叫喚に。
苦し紛れにダッジ少佐はあることを思いつきました。
(ソナー、あれだ、あれやってくれ)
(あれって・・・?)
(ほら、クジラの鳴き声だよ!なんでわかんないの)
(あれだってば!)
(いやだからそれなんすか)
(だからあれだよソナー)
クジラの音声を録音したテープを指差し、
(ああ〜クジラ!)
(やっとわかってくれたか)
どうしてこの人たち紙に書いて筆談しないの?
「いぃぃぃぃ〜〜〜〜〜、おぉっおぉっおぉっおぉっおぉっ」(繰り返し)
「チキチキチキチキチキ」
「クジラが・・・・・動き回っています。
二頭いるようです」
「ええい、探知の必要なし!」
こうして「スティングレイ」は危険を脱しました。
ダッジ少佐は艦長室に戻って「前艦長」の写真に敬礼します。
「現役復帰しましたよ。("Live to fight another day,")ブーン艦長」
そして失敗をしたと落ち込むレイク大尉を慰めるのも忘れていません。
後部魚雷発射室を個室にしている彼女のところにいき、
「海底の地形は想像できない。鎮座を命じた私の責任だ」
「私のせいで艦の位置が敵に悟られ皆を危険に晒しました。
私が経験のある軍人だったとしても許しましたか」
「そのつもりだ」
「艦長、ソ連艦の失敗をどう克服されましたか」
「酔いつぶれて刺青を入れた。刺青は入れるなよ」
ドアを開けると全員が聞き耳を立てていました。
ここでウザい性格の副長パスカルが反乱を起こします。
指定海域を出たことを服務違反として指揮権を自分に譲れと言いだしました。
しかし乗組員の誰も彼を支持しないので、ダッジ艦長は彼を逆に
海の上での反乱罪を起こしたと見なし・・・・
「裏切り者のマーティを処刑に処す!」
だからなんでこうなるの。
乗組員全員(レイク大尉除く)はノリノリで処刑に加わります。
皆で海賊になりきり、「スポンジボブ・スクエアパンツ」の替え歌を歌い・・。
「これ何?」
「カリブの海賊が肩に乗せてる鸚鵡のつもり」(実は鶏肉)
「逃すなよ。俺のだから」
「マーティ、何か言い遺すことは?」
「近代海軍でこんなこと許されん!海賊じゃないぞ!」
そしていよいよパスカル処刑の瞬間がやってきました。
ソナーのキーボード(CASIO)にあわせ、皆が葬送行進曲を歌います。
「だーんだーんだだーんだーだ だだだだだーん」
「ダッジ!気が狂ったか!お前死刑になるぞ!」
「万物の母なる海よ。マーティ・パスカル大尉を受け入れたまえ。
主よ、哀れなる彼の魂に慈悲を与えたまえ!」
「おかあちゃ〜〜〜〜ん!」
「・・・・あれ?」
「アメリカ海軍は諸君のご協力に感謝します!」
「いつでもどうぞ!」
(ビールうめー)
案の定その噂は潜水艦隊司令部に達します。
「副長を処刑しただと?」
「さよう、奴は軍法会議ものですな。
わたし自らが探し出して捕まえてやる」
うーん、このおっさん全く凝りとらん。
それにしてもこの人、ダッジ艦長にどうしてここまでこだわるんだろう。
続く。