掃海隊殉職者追悼式についてのご報告も終わり、ようやく
海保観閲式の話題に戻ることができます。
ところで、当ブログエントリのカテゴリーには、海保の観閲式を
カテゴライズするものがなくて、どうしようと悩んだ結果
「お出かけ」
にさせていただきました。
海自でも海軍でもないので、いまいち納得いきませんが仕方ありません。
さて、今回は5月18日の出来事からお話します。
少し前に海保観閲式のチケットを鉄火お嬢さんから回していただき、
初めての海保関係のイベントに参加することに心躍らせながら、
「さて、チケットの確認をしておこうか」
と思ったのは観閲式前日の夕方1650くらいのことでした。
ところが、
「・・・・・あれ?」
チケットが入っている緑の封筒が、いくら探してもありません。
しばらく血眼で探した末、どうしても見つからないので鉄火さんに相談。
もうこの時には、誰かが見たらわたしの顔は蒼白になっていたと思います。
すぐに鉄火お嬢さんは、チケットを回してくれた方に連絡を取ったり、
通し番号はわかっているので、海保の偉い人から話をつけてもらうとか
アイデアを出して下さったのですが、(本当にご迷惑をおかけしました<(_ _)>)
如何せんその時には官公庁の業務は終了しており、確認の取りようがありません。
そもそも、どうしてチケットがなくなったかというとですね。
捨てちゃったんですよ。ゴミと一緒に。
それを確信したのは、鉄火お嬢さんが送ってきてくれたのと類似の
緑色の封筒、しかも捨てたと思った封筒が書類入れから出てきた時でした。
この捨てていい封筒の代わりに、チケット入りの方を紙ゴミにまとめ、
その日の朝、ゴミ集積所に持っていったのです。もちろん自分でね。
こういう時、心底自分が嫌になるわけですが、とりあえず最後まで諦めず、
足掻くだけ足掻いてみようと、わたしは、やはり
海保の観閲式に行くとおっしゃていた知人に事情を話し相談しました。
「どなたか海保の偉い人ご存知ないですか?」
チケットの現物がなくとも、偉い人の鶴の一声で、通し番号さえあれば
乗れるような超法規的措置は取れないか、と考えたわけです。
この知人というのは、自衛官なら知らない方はいないというくらい、
粉骨砕身、昔から私心なく自衛隊を応援しておられるNさんという方です。
昨年の横須賀地方総監部での練習艦隊帰国行事の時、たまたま
隣同士に座ったのがご縁で、おつきあいさせていただいているのですが、
交友範囲のとにかく広い方なので、もしかしたら、と思ったのでした。
すると、Nさん、
「もしよろしかったら余っているチケットお使いになりますか」
ゴミ集積所までいって、すでに資源ごみが回収されたことを確かめてから、
わたしは鉄火お嬢さんに平謝りし、急遽このNさんと一緒に
横浜港から出航する「いず」に乗ることになったのでした。
ちなみに失くした方は「だいせん」の乗艦券でした。
海自の観閲式であれば、朝一で並んだりするわたしも、
急遽余っていたチケットをいただくことになったからには、
Nさんが提案された、1030(ちなみに1000乗船開始)に桜木町駅前集合、
それから歩いて海保基地まで、という予定に大人しく?従う他ありません。
駅前から海保基地まではこの「汽車道」を通っていきます。
昔このブログにも書いたことがあるのですが、明治年間に開通した
貨物列車の線路を残してプロムナードにしているのです。
線路道を跨ぐようにデザインされた「ナビオス横浜」。
まっすぐ行くと赤レンガ倉庫に到達します。
海上保安庁の防災基地は、赤レンガの真横に位置します。
門内に入り、埠頭を歩いて行くと、骸骨のマークをつけた
警備船がいました。
海賊退治?の展示を行う際の「海賊役」はここから出航していたんですね。
海賊マークの巡視船は全部で3隻いました。
海保の観閲式について詳細与り知らぬわたしにも、この旗をつけた巡視船が
どういう役割か想像がつき、ワクワクしてきたものです。
「海保の観艦式ってもしかしたらものすごく面白いんじゃ・・?」
岸壁の向こうに今日乗船する予定の「いず」が見えてきました。
この日は朝からどんよりとした曇りだったにも関わらず、何も考えずに撮影し続けた結果、
このように写真が悉くお見苦しくなってしまったことをお詫びします。
乗艦前には「いず」の前のテントで受付とボディチェックを行いました。
しかし、この受付とセキュリティチェックを通ってわたしは思いましたね。
「チケットがなかったらこれ絶対入れてもらえなかったわ」
例えば通し番号のメモを見せて、
「チケット失くしてしまったのでこの番号でよしなに」
と訴えたところで、ここにいる人のほとんどは、そういうことを
独断で決定する権限など持っていそうにない職員です。
たとえ奇跡が起こって海上保安庁長官に連絡がついていたとしても、
それを証明する書類でも持っていない限り、
「チケットを持っていない方をお乗せすることはできません」
で終わってしまったに違いない、と。
まあつまり、Nさんに連絡を取ったのは正解だったということです。
乗船はもう1時間も前から始まっていたので、船上にはかなりの数の人が見えます。
いよいよ乗艦、じゃなくって乗船。
海保は巡視船なので大きさにかかわらず「船」と呼びます。
当たり前ですが海保の船、自衛艦とは随分色々と違います。
これはボートを揚げおろしするためのデリックのブームだろう、
ということくらいはわかりますが、ブームに「古河ユニック」という
クレーンの専門会社の企業名が大きく入っているのも不思議な感じ。
ブームの角度を表すケージ、針が稼働しているかどうかは謎。
甲板にまず出てきました。
哨戒、じゃなくて巡視ヘリコプターを搭載するという構造上、
ヘリ搭載艦に似ていますが、構造物の上の景色は決定的に違います。
CIWSも三連装魚雷ももちろんアスロックも当然ですがありません。
そのことに軽く驚きを感じる、というのも、わたしがすでにどっぷりと
海上自衛隊文化に首まで浸かっていていることを意味します。
と思ったら、武器があったー!
掃海艇などでもおなじみ、M61バルカン砲が。
海保の巡視艇にはあらゆる事態に備えて兵装を施してあるのですが、
あくまでも「護身」「警告」を目的としたものとなっています。
航空機を撃墜したり、艦船を沈めたりする必要はないので、
発射の威力もかなり落としてある、と聞きましたが確認してません。
また、船体をステルスにする必要も全くない巡視船は、
塗装も目立ちやすい白と青、そして部分的に赤を使ったりします。
わたしなどそもそもこの赤の部分がなんなのか、想像すらつきません。
熱狂的な海自フリークの知人女性は、
「白はダメ。グレーのフネでないと萌えない」
ときっぱり言い切っておりましたが、わたしはそこまでではありません。
グレーへの偏愛はもちろん既定路線ですが(笑)それはそれとして、
海保の白と青の船って視覚的に実に美しいと思うんですよね。
そう、こういうのを見ると、胸のときめきは抑えがたいものがあります。
おわかりいただけますでしょうか。
フェンネルのブルーに記されたマーク、そして
「Safety」
「Search and Rescue」
「Suvey」
「Speed」
「Smart」
「Smile」
「Service」
の7つのモットーを表す「S字章」、(ちょっと盛り沢山すぎる気もしますが)
「Japan Coast Guard」の表記、全てが「ネイビーブルー愛」を掻き立てます。
ちなみにこの時、PLH32「あきつしま」は、受閲船隊を編成するため
一足先に行動海面に出発していくところでした。
海保の観閲式は、海自とは違い、受閲船に人を乗せません。
海自もできればそうしたいところなんでしょうけど、年々観艦式に
応募してくる人数が増得ている現状では致し方ないのでしょう。
わたしとNさんはまず船内見学に出かけました。
一般客への公開を、海保は甲板と一部のキャビンだけに制限していて、
操舵室などには立ち入り禁止されています。
その代わり、上甲板階の広い部分(大会議室らしい)を解放して、靴を脱ぎ、
休憩ができるようなスペースを作ってくれていました。
丸窓も、護衛艦などでは艦長室でしか見たことがありません。
こんなものを珍しがっているのは多分わたしくらいだったと思います。
どこかで見たことがあるような佇まいだなあ、と思ったら「宗谷」でした。
会議室から出ると広い廊下が通っており、ドアが並んでいます。
ここで、Nさんがドアを開けて中から出てきた保安官を捕まえ、
「中を見せてもらえませんか」
といきなりお願いしました。
「いいですよ」
細マッチョイケメンの保安官は実に快くドアを開けてくれたのですが、
ベッド一つに執務机の、言うなれば空母「ミッドウェイ」の
飛行長クラスの大きさの部屋で、その広さにびっくりしてしまいました。
「こんな広い部屋に一人なんですか!」
聞いて見ると彼は3等保安正とのこと。
「海自だと三尉ですね・・・・うーん・・・」
Nさんも流石に驚いています。
よっぽど乗る人数が少ないのかと思ったらそうでもなく、(最大時110名)
これは海自でいう士官以上の特権のようでした。
「保安正って皆個室がもらえるわけですか」
「わたしは海保大学を出ているのですが、教育機関ではタコ部屋生活でした。
夜はいびきの合唱でしたね」
曹士に相当する保安士と保安士補は(初めて聞いたよこの言葉)
「いず」の場合下甲板の居住区で寝起きすることになっているようです。
もしかしたら海上保安庁、旧海軍より士官特権が大きい・・・?
乗艦するなり海自とのカルチャーギャップのカウンターパンチに見舞われ、
いろんな意味で衝撃の多い海保体験となりそうな予感がしてきました。
さて、これからどんな航海が待ち受けているのでしょうか。
続く。