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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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乗艦〜王立海軍ドック型強襲揚陸艦「アルビオン」

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ところでイギリス海軍の強襲揚陸艦がどうして日本にいるのでしょう。

現地で聞いた話によると、陸自の水陸両用部隊との合同訓練のためでしたが、
英語wikiによると、

In April 2018, Albion was dispatched to the Asia-Pacific
to assist in enforcing sanctions against North Korea.

北朝鮮への制裁措置の一環としての派出であると言い切ってますが、
入港行事での挨拶で艦長のティム・ニールド海軍大佐は

「『アルビオン』の寄港はイギリス海軍がアジア太平洋地域の
安全保障に、グローバルに関与する姿勢を示したものです」

とし、

「海上自衛隊との連携し、お互いに学び合いたい」

「東京港で多くの方と交流して日英の友好を深め、
日本文化に触れることを楽しみにしています」

と述べるなど、非常にソフトな印象です。
まあ、実態はそうであったとしても、

「日英同盟で今度はロシアじゃなくて黒電話をビビらせてやろうぜ!」

とは言いませんわね。

晴海埠頭に翩翻と翻るユニオンジャックの美しいことよ。

ところで自衛隊の旭日旗にいちゃもんつけているお隣の国の人たちは、
ユニオンジャックも、トリコロールも、スターアンドストライプスも、
その全てが彼ら基準で言うところの「血塗られた旗」であることを
こっちに文句を言う前に少し思い出していただけると幸いです。

「アルビオン」の艦番号はL14。
L1は「ローリー級ドック型揚陸艦」の1番艦「ローリー」で、
こちらは1962年の就役です。

Lは「Landing」、上陸のL、厳密にいうと

 landing platform dock (LPD)

となります。
定義は揚陸艦のうち、艦内に持つウェルドックに収容した
上陸用舟艇を用いた揚陸を主体として行う軍艦です。

舟艇はウェルドックから直接海上に出て、揚陸を行います。

「スラスターですね」

連れが白黒のマークを指さしました。
サイドスラスターの設置位置喫水線上に記されるマークです。

そりゃ強襲揚陸艦がタグボートに頼るわけはないでしょう。
と思ったのですが、「アルビオン」晴海入港の写真を見ると、
どうもタグボートが入港作業を支援してるんですよね。

乗り物ニュース

岸壁との間には浮き台(ポンツーン)をかましていますが、
盛大に艦体から水が噴き出していて浮き台を洗っていました。

今日は日曜日なので、休暇を取って東京見物に繰り出す乗員の姿も。
どこへ行きますか?
浅草雷門、それとも秋葉原かな?

艦長の挨拶ではないですが、ぜひ日本文化を楽しんでくださいね。

乗艦を待つ列はじわじわと進んで、ようやく「バイキング」のところまでやってきました。
途端にカメラを構えて激写する(というか暇だし)人々。

こうして見ると陸自の装甲車みたいですが、どっこいここれは
王立海兵隊の誇る水陸両用艇(車?)だったりするんだな。

こんなキャタピラ(商品名)履かせているのによく浮くなあ。

浮いているところを見たいと思って探したのですが、この画像しかありませんでした。
確かに浮いてますが、限りなく不安な感じです。

調べてみると陸上では65キロ、水上での時速は5キロ。
一般に人間の歩行速度と同じくらいということになります。

こういう部分も海水に浸かることを前提に作られているわけだが・・。
お弁当箱みたいなのは「可燃液体」で、取り扱いを間違うと、
木が枯れてお魚が干上がっちゃうとシールで警告してあります。

こんな不安定なものをどうして2両連結するのかという気もしますが、
後ろの車両には運転席がなく、その分人員が8名乗り込むことができます。

主武装は車上の重機関銃なので、シールドが標準装備されています。
てことは、天井は開くということですかね。

またウィンドウのところに筒がありますが、これはどうやら
グレネードランチャーではないかと思われます。

個々の車体には番号が基本手描きでペイントされてます。
それにしてももう少しちゃんと描くという考えはないのか。

「RF」のRは多分「ロイヤルマリーン」だと思うのですが、
Fは・・・フォ、フォース?

ちなみに、ロイヤルマリーンのモットーはラテン語で

"Per Mare, Per Terram" 

英語で"By Sea, By Land"、海に陸に、という感じですか。

並んだ列が時々全く動かなくなるのは、持ち物検査の列を4つに分け、
それぞれ違うテントに誘導して、かつ検査を行うのはそのうち一つだけ、
と決めていたためであることがここまできて判明しました。

わたしの荷物を点検した若いマリーンは、黙々とカバンを覗き込んでおりましたが、
どんな過酷な現場でも微笑みを絶やさない自衛隊のみなさんと違い、
この時点で既に魂が幽体離脱しているのか、目が死んでいました(笑)

きっとその晩は次々と日本人の荷物を調べる夢(やってもやっても終わらない)
を見たんじゃないでしょうか。

メイソンさんの水筒はグレネード型(笑)

荷物のチェックを終えても、列は一向に進みません。
こちらは出口となりますが、まだここは始まったばかりでガラガラです。

乗艦はここから、一列になって行います。
入り口の警備をしていたこの二人、かっこいいので何人にも
写真の撮影を求められていました。

この日の見学者。99パーセントが男性です。

たまに女性もいましたが、子供連れのお母さんがほとんど。
写真を撮らせて、といったらマリーンの兄ちゃん、屈んでくれました。

「アルビオン」艦体につけられたトレードマークは、かつて

「COMBINED OPERATIONS」水陸作戦司令部

第二次世界大戦時、ドイツに対抗する連合国間で結成された同盟の
司令部(戦争省管轄)のものでした。

今では機能していませんが、徽章は「第3コマンド」という
「アルビオン」の強襲揚陸部隊を含む旅団が引き継いでいます。

艦尾側舷側には舟艇とそのデリックが見えます。

このボートは両舷に1隻ずつ装備されていました。
色がどす黒くて、なんだか凄みがあります。

まあこれなら、多少汚れてもほったらかしておいて大丈夫?

浮き台が「タツミ」という港湾業者のものであることが判明。
(株式会社辰巳商會)

こういう大型艦の時には防眩物ではなく浮き台を挟むようです。

「うらが」の甲板にも既に見学の人の姿が見えます。

というわけで、ようやく舷門までたどり着きました。
舷門では物々しい銃を携えた警衛係の乗員(海軍)がお出迎え。
通り過ぎるほとんど全員が彼らを写真で撮りまくっていて、
若いロイヤルネイビー君は少し恥らう様子で、カメラを向けると
真面目にポーズを取ってくれました(冒頭)

そんなによく知るわけではありませんが、イギリス人というのは
一般的にアメリカ人ほど初対面の愛想は良くなく、
人見知りの傾向が実に日本人と似ていて、それを乗り越えると
アメリカ人よりも親身にに付き合ってくれるという印象です。

彼のこの時の様子から、ああやっぱりアメリカ人とは違うなあ、
とイギリス滞在で感じたことを思い出しました。

 

続く。

 


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