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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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戦闘機機動展示〜平成30年度芦屋基地航空祭

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T-4がイルミネーションフライトというオリジナル演目を済ませ、
芦屋基地航空祭のプログラムは次のF-15に移りました。

展示飛行を行うF-15は2機。
時速750キロで会場に飛来します。

演技時間は15分。

ダイジェストでもお話ししたように、この日はヴェイパーが綺麗に出ましたが、
いつも見えているわけではなく、現れた次の瞬間には
消えてしまうのがヴェイパーです。

T-4にはほとんど見られないことからもわかるように、
高速で飛行する戦闘機に見られる現象で、これは飛行機が運動するときに、
機体の一部(主翼の付け根、翼端等)からこぼれた空気が急減圧され、
空気中に含まれる水分が凝結することによって目に見えるものです。

 湿度が高い時はより低速でも発生しやすいそうですが、この日の芦屋は
確かに10月にしては蒸し暑いと感じられる気候でした。

戦闘機なので、アクロバティックな動きは行いませんが、
9g(グラビティを表す時には基本小文字)に耐えながら
弧を描いたり、翼を滑らせたりといった駆動を見せます。

岩国基地の海兵隊パイロットに基地を案内してもらった時、
レガシーホーネット・ドライバーである彼が、控え室で
息子に耐G(なぜかこれは大文字)スーツを着せてくれたものです。

戦闘機パイロットはこれを身につけて下半身を締め付けることで、
脳の虚血状態を軽減し、ブラックアウトを防ぎます。

ただ、会場でも言っていたように、誰でも耐圧スーツを着れば
ブラックアウトしないかといえば決してそんなことはありません。

戦闘機パイロットは普通の人なら6gで気を失うところを、
上半身の筋肉を鍛え、心肺機能を引き上げることによって
スーツなしでも8gまで生身で耐えることができるようになるのです。

身体適正だけでも狭き門なのに、なってからもさらに
自分を鍛えあげないと任務をこなしていくことができないんですね。

アクロバティック、といえば、アフターバーナーを利用しながら8の字を描く、
という展示もありました(冒頭写真)。

アフターバーナーというのは、ジェットエンジンの排気に対して
もう一度燃料を吹きつけて燃焼させ、高推力を得る装置のことですが、
たとえばF-15がアフターバーナーを使用すると、15分から20分で
タンクを使い切ってしまうくらい燃料を喰います。

つまり大変装置として「非効率的」というものなのですが、それでは
なんのために付いているかというと、「いざという時」。

これを使うときは戦闘機が空中戦を行う時に限られるのです。

ちなみに「アフターバーナー」は実はGEの商品名で、一般名称は

オーグメンター(augmentor 推力増強装置)

というそうですが、こんなの誰も知らないよね。

15分というあっという間の飛行展示を終わって帰る時、

「F-15二機は、これから帰還し15分で基地のある宮崎に到着します」

とアナウンスされると、会場はどよめきました。


近くにいた2歳くらいの男児は、親に連れて来られたものの、
この暑さが気に入らないらしく、泣きながら「お家に帰りたい」を
繰り返していましたが、なぜかここで買ってもらったらしい
F-15のおもちゃだけは握りしめたままでした。

「絶対にこれ手放さないんだよなあ」

親が呆れたように呟いていました。

こちらのお子さん(別の家族)もF-15握りしめ派。
勿論男の子です。
こんな小さい時から女の子と男の子は依存するものが違う・・。
当たり前のことのようですが、よく考えると不思議です。

FLW-ME・・・詳細はわからないまでも、空自らしい?

続いて第6飛行隊、F-2の飛行展示です。

会場では、F-2がアメリカのF-16を原型として日米の技術を
集結させた戦闘機であることが紹介されていました。

速度約800キロで会場に侵入してくると、皆はその速さに沸き立ちました。
戦闘機の速さというのは本当に見た人にしかわかりません。

この後、F-2の速度は900キロまで上がりました。
一体中の人にはどんな重力がかかっているのか・・・。

イメージ的にF-2はF-15より小型という気がするのですが、実は
翼の大きさを比べると25%も大きいのだそうです。

これは、低速でも大きな揚力が得られるということであり、
しかもコンピュータ制御によるフライトコントロールシステムによって、
低速での飛行も安定して行うことができるということでもあります

この日展示を行ったF-2は築城基地からやってきたこの一機だけです。
操縦しているパイロットは3佐だと紹介されていました。

 

F-15と違い、ヴェイパーは翼の付け根からも発生しています。

F-2の海洋迷彩は、具体的には島嶼部の偵察などを行う際、
上空からの敵からの発見が困難になるようにデザインされています。

本当に目立たなくするつもりなら、F-35のように日の丸も青く、
迷彩にしてしまいそうなものですが、流石にそれは行いません。

もしかしたら「いざという時」には日の丸を塗って出撃するのでしょうか。

展示飛行では200キロという超低速(新幹線より遅い)で
会場を横切った後、アフターバーナーを使って
急激に上昇するという動きも披露されました。

アフターバーナー使用中なう。

得意技は急上昇。
着陸したと思ったらそのまま一気に空を馳け上がります。

演技最後に空中で大きな旋回を描くF-2。
アナウンスで、

「馬力にすると鉄腕アトム0.8人分です」

(つまり8万馬力)と紹介したとき、会場から笑いが起きました。
手塚治虫先生がアトムを創造したとき、こんな小さな機体が
8万馬力のパワーをもつ未来の実現をどこまで予測しておられたでしょうか。

最後に、バンクというにはあまりに大きく翼を振って、
さようならの挨拶をしながら会場を去るF-2でした。

さて、午前中のプログラムはこれで終わりです。
午後のブルーインパルスまでの間に、何か食べておかなくては。

ツァーのみなさんのところに戻ったら食べるものがありそうでしたが、
せっかくなので何か屋台のものを食べてみることに。

芦屋基地名物(なのかどうかは未確認)シーフードカレー。

いやまあ、入間で散々、空自の食べ物についてはそのレベルについて
悟ってきたので今更何も申し上げるつもりはありませんが、特にカレー。
何しろ海自カレーに慣れるとそれなりに口が肥えてしまいましてね・・、

多くは言いませんが、具のシーフードは全てゴム状の歯ごたえで、
ご飯はパッサパサ、なんといっても量が試食用くらいしかなく、
なのに値段が700円、と、あまりに悲しいカレーでした。

え?十分言い過ぎだって?

座るところもないので立ったまま食べ終え(量もなかったけど)
午後の見学場所を探すため会場に向かうと・・。

朝管制塔と見間違えた芦屋ボートレースの宣伝スペース。
駐車場を貸す代わりに宣伝ブースを出すバーターをしたんだなきっと。

地本コーナーには空自に海上自衛隊がでみせを出していました。
どうよこの身体を張った宣伝活動。

このSH-60帽子はなかなか好評で(多分)、お兄さんは今から
子供にこれを被らせてあげようとしています。

なぜヘリを帽子にしたか、その経緯をぜひ聞いてみたいものです。

会場の装備展示も見て歩きました。

サンフランシスコでナイキミサイルサイトを観たとき、
日本のミサイル導入について調べて知ったばかりの

MSLホークミサイル

第3高射特科群の装備です。
ミサイルといい部隊の名前といい陸自風ですが、空自の装備です。

上の写真はアメリカのマクレガー射場における対空実射です。

この辺一帯にある装備1セットでペトリオットシステムだと思います。

空自の軽起動装甲車、LAVは陸自の迷彩に対しOD一色塗りです。

地球防衛協会軍団はこの格納庫下のハンガーステージの近くに
ブルーシートを敷いて休憩していたようです。
一度だけ見に行くと、おやぢどもがシートで横になって爆睡していました。

空自の移動式簡易トイレも陸自のそれと同じく超近代的。
手を洗おうとしたら、タンクが空になったらしく水が出ません。
仕方なく持参していた消毒シートで手を拭いていると、
そこにタンクの水を補充しに隊員が颯爽とやってきました。

水がなくなってすぐさま補充しにきたようです。
作業開始と同時に待ち構えていた皆が並んで手を洗い出しましたが、
その人たちに水がかからないようにと、細心の注意を払って
丁寧に作業をする自衛官たち。

商業施設でもないのにこれだけ行き届いた「サービス」を
きめ細かく行うのは自衛隊ならではです。

このお断り看板を見て初めてわかったこと。

まず、この日はC-130Hのキャビン公開をする予定だったのが、
インドネシアのスラウェシ島に起きた地震災害に伴い
国際緊急救助活動を行うために機体が派出されていて、
それができなくなった、ということです。

他のことならともかく、国際援助に緊急出動という緊急事態なのに、
もしかしたら楽しみにしていた人がいるかもしれないということで
わざわざこうやってお断りしているわけです。


基地公開に訪れると、ほんの小さなことからこういう気配りまで、
その全てから、自衛隊が誠実さをもって国民とともにある姿を
何かにつけて目の当たりにすることになり、わたしはその度に
この組織が真に「国民の宝」であることを再確認するのです。

戦闘機やブルーインパルスのパイロットは勿論素晴らしいですが、
コクピットでにこやかに写真を撮る自衛官や、皆が待ちかねている
手洗いの水を迅速に補充する自衛官に対しても、わたしは同じように
いつもありがとうございます、と心の中で頭を下げずにいられません。


続く。

 

 


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