前回、芦屋基地航空祭のご報告で、構成上の都合、戦闘機の展示の後
一気にお昼ご飯を食べたところに行ってしまいましたが、
実は午前中の最後に行われた救難展示についてまだお話ししていません。
救難展示を行うのは救難ヘリUH-60です。
「ブラックホーク・ダウン」で有名になったように、アメリカ軍では
ブラックホークと呼ばれており、自衛隊では救難専用に独自改良した
UH-60Jの公式愛称を同じく「ブラックホーク」としたそうですが、
上の決めた公式愛称は絶対に現場に採用されない、という鉄則の通り、
隊員たちはこれを簡便に「ロクマル」と呼んでいるそうです。
この救難ヘリを運用しているのは芦屋基地所属の芦屋救難隊。
わたしの到着前に終わってしまった救難展示に登場したという
U-125Aを遭難捜索機、UH-60を救難ヘリとして運用しています。
これから飛行展示を行うUH-60が離陸しました。
ダウンウォッシュが作り出した白い線の模様が写っています。
ちなみにダウンウォッシュはウォッシュといっても「水」とは関係なく、
ヘリコプターが揚力を生成する時、ローターブレードの運動によって
起こる、空気力学的作用による空気流の方向の変化そのものをいいます。
上空のヘリからは救難員が落下傘降下。
2名が救助のために地上に降りるという設定です。
赤い煙は「ここに要救助者がいます」という目印。
降下が目的ではなく、救助のために行うパラシュート降下ですが、
普通に難しく要資格という自由降下のためのMC-4を使っています。
もっとも救助に向かうのに、要救助者のところにピンポイントで
降りられなければ何のための救助隊だということになりますね。
着地するなり地上員が駆け寄ってきて傘を外し、畳む手伝いをしますが、
これは展示だからこその演出で、実際は全て自分で行うはず。
ヘリからは要救助者をのせるストレッチャーを引き上げるための
ワイヤーがホイストから降ろされました。
落下傘降下をした隊員がそれを受け取り、手早く用意を行います。
ニコ1の望遠ならではの超拡大写真が撮れました。
ストレッチャーには怪我人(人形)が乗っていて、
救助隊員の一人がストレッチャーを牽引しているリングに
自分のハーネスを接続して一緒に引き揚げられていきます。
身動きできない(もしかしたら意識もない)要救助者の担架が
何らかのアクシデントで傾いたりすることのないように、
ということで同行するのだと思いますが、担架で引き揚げられる時、
自分に声をかけてくれる位置に隊員がいたら、
担架に乗せられている傷病者はどんなにか心強いでしょうか。
もう一人の隊員は、担架を安定させるために、結んだロープを抑えています。
意外なくらいの速さで担架は引き揚げられました。
担架から伸びているロープの端は地上の隊員が持っています。
おそらくですが、これは最後の隊員を引き揚げるための
牽引ロープにもなるのではないでしょうか。
担架を引き上げた後、新たにロープを投下せずとも
このロープに自分を結びつけておけばあとは引っ張り上げるだけです。
ヘリの上には二人の隊員が担架の揚収のために
ヘリの床に寝転んでいるように見えます。
そしてわたしの予想通り、担架のロープをホイストに繋ぎ直し、
すでに地上で自分のハーネスをロープと結びつけていた
最後の救助員(降下した残りの一人)を引き揚げはじめました。
本当に見ていると一連の動作があっという間に行われます。
一刻を争う事態のために何度も訓練を行うことで
これだけのスムーズな行動が可能になるのでしょう。
そして隊員がヘリに収容されました。
すぐさまヘリはホバリングの状態から移動を始めます。
20分に渡って行われた救難訓練飛行は終わりました。
お昼を食べ終わって帰ってきました。
さて、どこからブルーインパルスを観ようかな?
ウォークダウンを撮るために朝一番に並んでいた人たちが
ブルー駐機場所の前をぎっしりと埋め尽くしていますが、
さすがは航空自衛隊、人垣のさらに前にロープを張って
「ブルーインパルス見学通路」
としているのに近くに行ってみて気がつきました。
なるほど、最前列は熱心なファンやカメラマンががっつり固めていますが、
後から来た人や特に子供連れなどでも、ウォークダウンまでの間、
駐機しているブルーインパルスの機体を近くで見ることができます。
早速通路を歩きながら写真を撮りました。
もちろん立ちどまっても構いませんし、もし何なら、ずっとそこで
立ったまま飛行機を眺めていても後ろから怒鳴られることもありません。
コクピット周辺のブルーの下ラインが、まっすぐ垂直尾翼と繋がっていることを
この写真を見ていて初めて気がつきました。
駐機場には左から番号順に機体が並んでいます。
コクピットに乗り込むための梯子も、機体に合わせて
ちゃんとしろと赤に塗り分けられているという芸の細かさ。
梯子はもちろんパイロットが搭乗したら外しますよね?
何年か前、安倍首相がコクピットに乗り込んだ731番の機体。
写真がメディアにアップされた途端、どこかの変な国が
「安倍首相は731部隊を礼賛している!」
と騒いで、航空自衛隊当惑、という事件がありましたが覚えてます?
しかもその騒いだ国って、731部隊と関係があるならまだしも、
その時日本の一部地方であったと言われている・・・。
旭日旗の件といい、国が全く未成熟というか何というか。
てなことを思い出してしまった4番機の関係者の皆さんすみません。
真正面から撮ってみました。
何年か前入間でバードストライクのため演技中止になったことがありましたが、
このインテイクは確かに運が悪い鳥が飛び込みがちな形をしているかもしれません。
ところでバードストライクの実験って、どうやって行うか知ってます?
精肉工場から直送の鶏肉を放り込むのです。
どんな会社もこの実験を行い、バードストライクくらいでは墜落しないように
機器を開発してきました。
もっとも最近は鮮度を管理するのが大変なので、本物ではなく
それ用に開発されたダミーの鳥模型を使うという例もありますし、
最新実験では、あらゆる鳥の重さを想定できるゼラチンのブロックを
専用の銃で発射して衝撃を計測する方法も取られているそうです。
ここまでがブルーインパルス見学通路。
そのさらに前方に、報道関係者の撮影場所が設けてありました。
早くも機材を一番近い前方角に置いて場所取りしている
熱心な報道関係者がいるようです。
わたしはブルーのウォークダウンを見ることは最初から諦めて、
駐機場よりワンブロック中央寄りの場所から見ることにしました。
前から3〜4列目くらいのところに携帯椅子を置いて座っていると、
ウォークダウンの始まる20分くらい前に、エプロン後方から
ブルーインパルスのパイロットが歩いていくのを発見。
案外みんな気づいていないというか・・・。
ブルーのヘルメットを持つその腕には・・やっぱり耐圧の時計?
気が付いた観客が手を振ると手を振って応えるパイロットたち。
わたしのところからは後ろ姿しか見えなかったのですが、
唯一このパイロットだけが振り向いて顔を見ることができました。
キャップの後頭部には自分の乗る機体の番号と、
名前が(タックネームではない)書かれています。
ブルーを引退してもこの帽子だけは記念に貰えるのだと見た。
肩に担いでいるのは耐圧スーツでしょうか。
そしてウォークダウン。
「芦屋ブルー・ウォークダウン」
パイロットは全員で8名。
6機のうち2機の後席にも隊員が乗り込みます。
1:56からはわたしがカケラも見ることができなかった
ウォークダウン、機体に乗り込んだ様子、最終点検、そして
タキシングの開始までを見ることができますのでぜひどうぞ。
これは最終点検が行われている時。
タキシングが始まったとき。
おそらくお父さんに肩車してもらっている男の子は、
全身完璧にブルーインパルスグッズで固めています。
これから6機はタキシングして滑走路の反対側まで向かい、
芦屋の空に彼らの「ブルー」で絵を描くために空に翔けていくのです。