北朝鮮監視の目的でフランスとイギリスが艦船を派遣し、
瀬取りなどの制裁違反活動を監視することが決まりました。
イギリス海軍はフリゲート艦「HMSモントローズ」を派遣し、
それが先週末晴海で一般公開を行いました。
昨年の強襲揚陸艦「アルビオン」に続くロイヤルネイビーの軍艦を
この絶好の機会に見学してまいりましたので、
江田島の術科学校見学記途中ですが、急遽ご報告です。
前回の「アルビオン」の見学は、とにかくセキュリティチェックに
時間がかかって大変だった記憶がありますが、あの大型艦ですら
そうだったのだから、フリゲート艦の公開となると、
その待ち時間に加えて狭い艦内に見学者が押しかけ、おそらくは
時間が後になるほど見学に困難をきたすだろうと判断し、
とにかく今回は朝早くから列に並んで早めに入ることを心がけました。
晴海埠頭に到着。
まずはデッキから「モントローズ」のホストシップ、
護衛艦「むらさめ」を撮影。
続いてデッキから、HMS「モントローズ」。
逆光でわかりにくいですが、艦体の色が海自よりブルーがかった
独特のグレイをしています。
マストの形も、日米海軍とは全く異なる形状。
主砲はシャープな感じの外形です。
主砲の砲口になんかロイヤルエアフォースのマークらしきものが・・・。
「モントローズ」は「デューク」クラスフリゲート艦の18番艦。
艦名は15世紀スコットランド貴族のモントローズ公爵からきています。
海軍のために何かしたいうわけではなく、この人が、当フリゲート
クラスの名前であるデューク(公爵)だったかららしいです。
彼女が太平洋に派遣されることが決まったのは、1月10日に行われた
日英首脳会談で、これは明らかに昨年末に起こった
韓国軍の自衛隊機に対するレーダー照射問題に端を発しており、
韓国が制裁違反行為をしていたという両国の認識があったことを示します。
艦首には国籍旗が木製らしい旗竿に掲揚されています。
旗竿の先がロイヤルネイビーらしく王冠の形をしているのがお洒落。
同時刻に我が海上自衛隊旗はこのように翻っていましたが、
イギリス国旗はそよとも動いてくれませんでした。
旗の布地の材質に違いがあると見た。
晴海埠頭のデッキ階段から見た「モントローズ」。
開門前に中に入っている人たちがいるので何かと思ったら
地本が引率してきた自衛官の卵?の「むらさめ」見学でした。
早くから並んだといっても、前にはこれだけ人がいます。
ほとんどが男性で、カメラ持ちが多数でした。
舷側を士官が三人歩いています。
少尉二人に指導をする先任という感じかしら。
先日「ホーンブロワー」についてちらっと書いたところ、
テレビドラマの「ホーンブロワー」が凄くいい、とオススメされ、
アマゾンプライムで購入して移動の合間に観たのですが、
本当に良かったです。
ウェールズ出身俳優ヨアン・グリフィズの海軍士官らしさもさることながら、
何と言っても帆船時代のロイヤルネイビーの描写、例えば厳とした
士官と水兵の身分の違いや、どんな戦闘中の切羽詰まった時でも
違いを「ミスター」付で呼ぶこと、海上自衛隊にも受け継がれている
艦長乗艦の際のサイドパイプ吹鳴など、昔ならば何となく観ていた
これらの表現に興味津々でした。
現代のロイヤルネイビーにもそれらの伝統が受け継がれているはず。
例えばこの光景でも、航海長か船務長が、少尉たちに
「ミスター・ホーンブロワー、ミスター・ケネディ、
見学客を入れる前にここのところ片付けさせてくれ給え」
なんて調子で指示を出しているに違いない、とか。
ところで今回晴海にほぼ1年ぶりにやってきて驚いたのは、
前回平地だったところにニョキニョキとビルが建っていたこと。
ここなんか、埠頭の真正面ですよ?
オリンピックの選手村になるそうで、オリンピック閉会後は
一般住宅として売りに出されるのだそうですが、
艦船マニアの垂涎の的になりそう。
急ピッチで建造工事が進んでおります。
さて、開門時間になり、列は岸壁に移動しました。
FはフリゲートのF。わかりやすい。
木に彫刻を施した「モントローズ」の看板。
入艦が始まりました。
最初に入った人が乗員と記念写真を撮っています。
彼らは最初ということもあってにこやかですが、この後、
日本人が次々とやってきて、やたら一緒に写真を所望するので、
だんだんと無表情になっていき、最後には死んだ目になっていました。
わたしは携帯と車の鍵だけをポケットに入れたのでカメラ以外手荷物なし。
セキュリティチェックで
" I have no bag! "
入ってすぐのところに、ウェルカムと書かれたボードがあり、
ここにはスペックや簡単な艦歴が紹介されています。
何でも建造は「ヤーロウ・シップビルダー」・・・・何だって?
ヤローといえば思い出す、金剛の「ヤロー式ボイラー」。
明治時代の海軍は「曙」というここの駆逐艦を所持していましたが、
もともと「ヤーロウ造船会社」は駆逐艦専門の建造会社だったそうですね。
1985年以降は買収を繰り返し今はなくなってしまったということですが、
「モントローズ」はその端境期に建造されたらしく、就役は1988年ですが
建造元はヤーロウとなっています。
対潜用に設計されており、ステルスデザインが施されたこの駆逐艦は
麻薬取締任務や災害派遣などでUNに派遣された経歴を持ちます。
舷門にいきなりみたことないものキター。
いわば出勤表というか日本なら名札をかけるようなもので、
自分の名前のところに黄色いピンを打って、所在を表します。
乗艦中、岸壁に上陸中、任務中?、出張中、上陸中。
これを見る限りPOはほとんどが在艦しているらしいことがわかります。
舷門ではフル装備に身を固めた女性兵士が銃を持ってお出迎え。
その奥には身長2mくらいありそうな人が。
こんな人が銃を持って立っていたら勝てる気がしない。
海自とはもちろん、アメリカ海軍のフネとも全く違う佇まい。
細かいところが見るもの全て珍しいので、もうここで
ワクワクしてきてしまいました。
「キープクリア」(上に物を置かない)
の表示字体が独特です。
気づいたのですが、アメリカ人ってあまり筆記体使わないですね。
舷門を入ってすぐ、ダメコンコーナーが展開していました。
ダメコン機材と消火機材、作業用の耐火スーツを着た人がお出迎え。
前に「アルビオン」で説明してもらったから知ってるもんね。
艦体が破損したらそこにとにかく木材片を突っ込み、
それを奥にあるお椀で蓋をして、さらに突っ張りポールで押さえつける。
キャンバスのバッグの中には各種大きさの木片が入っています。
ダメコンのこのかっこいいお兄さんに
写真を撮らせてもらいました。
手にしているものが何なのか聞けばよかった。
このダメコン乗員の帽子と飲み物。
・・・・・ゲータレイドか?
オレンジの人は暑くなったのかスーツを脱いでいます。
消火器と泡の消火剤。
ダメコン練習用器械。
多分本番ではブッシュー!と水が出てくる穴に、
びしょびしょになりながら木材を詰め込むのだと思います。
オレンジのスーツの人はそのための待機かな?
入ってすぐの壁も物珍しい表示ばかり。
ハロンボトルとはハロゲン化物消火設備に使う薬剤のことで、
ここにその倉庫があることからダメコン展示をしているのでしょう。
ペイントロッカー・・・もしかしたら艦体を塗装する
塗料の倉庫のことだったりしますかね。
揮発物なので危険のサインが赤でペイントされています。
何のための装備か全く見当もつかない構造物も多数。
国が変われば艦船の構造も変わる。
危険エリアの注意喚起マーク一覧と、危険の際のマニュアルが
舷門のすぐそばに設置してありました。
これは公開日かどうかを問わずいつもあるように見えます。
「エア・エスケープ・グレイ・ウォーター・タンク」
グレイウォーターとはなんぞ。
日本で言う上水(飲める水)、下水(汚水)の間の水のことで、
日本では中水(グレイウォーター)と呼ばれており、
台所排水、お風呂の排水、洗濯機の排水などに分類されます。
その頃、岸壁で見学をまつ人たちの列はこんなことになっていました。
並ぶのが5分遅かったら、乗艦するのに20分余計に時間がかかり、
さらに見学するのはその二乗くらい時間がかかりそうな感じです。
早く来ておいてよかった(迫真)
続く。