ウィーンから車で休憩と「アドブルー」なる窒素材の補給をしながら
約4時間でザルツブルグにたどり着きました。
こちらが本日のお宿でございます。
ホテル・ザッハ・ザルツブルグ。
ナビが指し示すザルツブルグでのホテルの入り口は、
一流ホテルという割にはこじんまりした構えです。
旅行企画者曰く、今回ウィーンでリーズナブルなホテルにしたのは、
ザルツブルグでこのザッハに泊まることになっていたからでした。
一極集中型、一点豪華主義と言うやつですね。
ロビーもそれほど広いというわけではありませんが、その真ん中に
人の背丈より高い花器がそびえ立っております。
フラワーアレンジメントの気合いの入り具合がいかにも五つ星のロビー。
昔はきっと、もっと重厚な天鵞絨張りの椅子が配されていたのでしょう。
オープン以来、政治家や各界の有名人がこのロビーに姿を表しました。
特に、ザルツブルグ音楽祭の期間中は、このホテルに、綺羅星のような
名だたる演奏家が宿泊してきたはずです。
ホテルのすぐ隣が生家であったという、ヘルベルト・フォン・カラヤンも勿論。
ロビーの上部は天井までの吹き抜けになっており、しかも天井は
ガラス張りの灯り取り仕様になっています。
いつのことかは知りませんが、この写真で見える左の窓のない部分、
つまり最上階は後から増設した部分だということなので、その時に
思い切って屋根をサンルームのようにしてしまったのに違いありません。
改装前はきっともっと室内は暗かったと思われます。
わたしたちが今回宿泊したのは、改装前の最上階になります。
右奥に今荷物が運び込まれています。
部屋の前から見た同じ場所。
この上階の部屋は、「カール・ベームルーム」とか、「カラヤンルーム」とか、
そういう名前のついた「特別室」ばかりだそうです。
もしかしたら、その名前の本人が泊まった部屋なのかもしれません。
ホテル内の壁紙はモーツァルトの自筆楽譜をデザインしたもの。
グランドフロア(日本の一階)にはこのような会議用の部屋もございます。
そしてこちらがわたしたちが泊まった部屋でございます。
広くはありませんが、とにかくインテリアがゴージャス。
ただし、ここに家族三人が無理やり泊まることになったため、
三つ目のベッドはメインの足下にくっつけて置いてありました(笑)
インターネットのスピードは残念ながら極遅で、部屋ではPCはできませんでした。
なんと、部屋にはウェルカムフルーツと、支配人からのお手紙。
一人一つづつ、名物のザッハトルテが用意されていました。
いうまでもないですが、ザッハトルテはホテルザッハーの創業者の父が
もともと菓子職人で、そういうチョコレートケーキを作っていたので、
ホテルを開業した息子がホテルの名前を冠して名物にしたというものです。
「明日の朝10時からティールームでザッハトルテを食べる予約入れたんだけど」(´・ω・`)
「わざわざ予約しなくてもここにあるじゃない」
「キャンセルする」(´・ω・`)
「じゃインペリアルトルテを持ってきたから今夜は食べ比べだ!」
「おー!」
部屋の中を点検すると、さすがは一流ホテル、アメニティの充実半端なし。
あとで使ってみて驚いたのは、シャンプー、リンス、ボディソープ、
ボディローション、その全てがチョコレート味?だったこと。
チェックアウトの際には皆トランクに入れて持って帰りました。
洗面台に一輪刺しに入れて飾ってあった見事な薔薇。
そして窓からの眺めです。
昔のホテルなのでバルコニーに出る扉は大きくないのですが・・。
バルコニーに立つと、思わず歎声が漏れました。
目の前は、ザルツブルグの資源を国内に輸送する役割を担ってきた
重要な水上運送の要、ザルツァハ川です。
で、わたしたちのこの部屋なんですが、
あとで外に出てから、
「もしかしてわたしたちの部屋って、ザッハーって字の下?」
「ど真ん中じゃない?」
「いやー、そんなはずは・・・バルコニー、丸かったっけ」
そんな会話をしておりましたが、結局赤丸のところだったことが判明しました。
いやー、なんかすごい部屋をアサインしてもらったみたいで悪いわー。
実はわたしたちがザルツブルグを去った次の週には、かの有名な
ザルツブルグ音楽祭が行われ、それこそザッハーホテルはVIPで満室となるので、
その直前ということで比較的空いていて、こんな部屋にしてもらえたのでしょう。
部屋から見える橋には、なにやら遠目にきらきらひかる鍵が、
それこそ無数に取り付けられているのが見えます。
タピオカミルクティー並みにごく最近のブームなんだそうですが、
橋に恋人同士で鍵をつけて、恋愛成就を願うのだとか。
部屋のバルコニーから見た、ザ・ザルツブルグな眺め。
そういえば、「サウンド・オブ・ミュージック」のザルツブルグのシーンは
ちょうどこの角度から見る景色で始まっていましたっけ。
アドブルー騒ぎで昼食を食べ損ねたので、ルームサービスを取ってみました。
バーガーは冗談のようですが「ザルツバーガー(Salzburger)」と言います。
ザルツブルグにeをつけると、普通に「ザルツブルグ人」のことですが、
ハンバーガーのburgerでもあるので、当地ではシャレで英語読みしてバーガー、
これをご当地食として売っているのです。
もともとハンバーガー(hamburger)って、ハンブルグが語源なわけですし。
ペテルスブルグにペテルスバーガー、ザクセンブルグにザクセンバーガー、
アウグスブルグにアウグスバーガーフライブルグに以下略、
という風に、現在ではほとんどの土地にあっても不思議じゃないね。
ザッハーホテルのザルツバーガーは大変美味しかったですが、
MKは「佐世保バーガーの方が美味しかった」と言い切っておりました。
問題は下のスープです。
なんだか色が不穏な濃さだと思いませんこと?
これを一口啜ったTO、途端に
「辛っ」
続いてMK。
「辛っ!」
わたし。
「かっらー!辛いわこれ!」
とにかく辛い。塩辛いのです。
「いやー、これ何かの間違いじゃないのかな」
あまりに辛いので、つい人を呼んで何かの間違いではないか、
と聞いてみたのですが、
「当ホテルのスープはお味を濃いめにしてあります」
とのこと。
納得いかないままに三口だけ食べ後を残して持って帰ってもらいました。
シェフが奥さんと喧嘩して家を出てきていると料理が辛いとか言いますが、
そういうレベルではなく、度はずれに辛かったです。
まさか、ザルツブルグのザルツは「塩」という意味だから・・・?
三人でバーガー1個、スープ一口ずつをお腹に入れて、そのあとは
町歩きにいき、帰ってきてから本格的に夕食をとりました。
当ホテルのメインダイニングということで、一応気を使って
TOなどジャケットを着て行ったのですが、通されたのはテラス席で、
周りの人たちはおしゃれではあるけれど半ズボンとか(笑)
一流ホテルといえども、夏のアウトドアではカジュアルになるんですね。
で、それはいいんですが、困ったのがハエの多さ。
食事をしている間、止まりに来るハエを払うのに、ずっと手をひらひらさせて
動かしていないといけないという・・・・。
日本やアメリカの一流と言われるホテルなら、なんとかハエが出ないように
根本から衛生状態を改善するとかしそうなんですが。
この滞在で、文化の重みはともかく、衛生とか清潔とかいうことになると、
ヨーロッパは決して我々が満足するような状態ではないと知ることになりました。
パリで十分そのことは身にしみていたのですが、ドイツ語圏なので
清潔好きの民族性に期待していたんですがねえ。
あらためて(トイレの歴史を考えても)世界一清潔なのは日本だと確信したものです。
そしてお料理。
さっきのスープの件があったので、嫌な予感がしていましたが、
例えばこのトビコをあしらったサラダなども少し、いやかなり辛めでした。
デザートは取らず、夜、部屋に戻って、ザッハトルテ一つを三人で食しました。
最初に食べたTO、
「甘っ」
続いてMK、
「甘っ!」
わたし。
「あっまー!甘いわ!」
いやー、日本人には甘すぎと聞いていましたが、ここまでとは。
「もういらない」
「もう結構です」
「勘弁してください」(泣)
ここまで言われるザッハトルテって。
この小さな塊で大騒ぎしていた日には、ロビーで売っていた
このワンホールザッハトルテはどうなる。
「これ全部食べたらただにしてあげるって言われたら食べる?」
「食べない」
「お金あげるって言われたら?」
「多分相当もらわないと無理」
ここまで言われるザッハトルテって一体。
そこで、ガイドさんにオススメしてもらったインペリアルトルテですよ。
同じようにチョコレートケーキとマジパンを積み重ねてカットし、
それにチョコレートをかけて仕上げているのですが、
こちら、特にガイドさんの奥様オススメのラズベリー味のトルテは、
羊羹のように2ミリくらいの厚さに切っていただくと、
特に甘くないお茶と一緒に食すとなかなかのものでした。
が、これでも一つ丸々食べるのは、普通の日本人には少し辛いと思われます。
「日本人はよく”甘くなくて美味しい”なんて言いますけどね。
お菓子はもともと甘いもんなんですよ。
甘いのが嫌いならお菓子なんて食べなきゃいい。
だいたい、甘すぎ甘すぎって言うけど、何でも砂糖で味付けして、
甘くて仕方がない日本料理を食べているくせにねえ」
ウィーンのガイドさんは日本人の「甘いもの嫌い」に苦言を呈していましたが、
いや、ザッハトルテの甘さははっきり言ってそういうレベルじゃないっす(笑)
続く。