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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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映画「危険な道」〜アメリカ海軍対大和艦隊の海戦

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映画「危険な道」、おそらく最終回です。

ジョン・ウェイン演じるリクウェル・トリー司令が旗艦である巡洋艦に乗り込みます。
真珠湾の時にトリーが艦長として乗っていたのも同じ艦で、
USS「セントポール」が独艦二役を務めました。

この理由は、撮影当時第二次世界大戦時のビンテージ巡洋艦は
これくらいしか使えるのがなかったからです。

撮影の終わり頃、「セントポール」の副長が艦長に昇任し、ウェインは
映画で使用した大佐のバッジを進呈するというエピソードがあったそうです。



USS「ボストン」も参加しましたが、後部にミサイルを積んでいたため、
後ろが映らないように前方だけの出演となりました。

このとき、

「戦艦の方が巡洋艦よりいいだろうに、ニミッツは君の懐かしの艦を寄越したのか」

と情報参謀のパウエルは言い、それに対してポールが

「船乗りでないあなたには、艦とセイラーの’関係’はわからないでしょう」

と制作側になり代わり撮影に巡洋艦しか使えなかった言い訳をしています。

この時彼は「ラブアフェア」という言葉を使っているのですが、
映画を観ている者は、この男がロックの息子の婚約者、アナリー・ドーンに
腹立ち紛れにしたことを想起して「げっ」となるわけです(笑)

ちょうどそのとき、パウエルはポールの顔に傷を見つけて指摘します。

「それはパープルハート(名誉勲章)でも狙ったのか?」

それはまさにアナリーの抵抗でできた傷だったわけですが、彼は平然と

「ちょっと自分でやっちまってね(friendly wound)]

それにしてもダグラスほどの大物が、どうしてこんな役を引き受けたかですが、
一説にはこの頃「スパルタカス」と「ロンリー・アー・ザ・グレイブ」、
「カッコーの巣の上で」(舞台)など、いずれも評判が悪かったため、
意に染まない役でも大作ということで引き受けざるを得なかったと言われています。

「Bosn's mate, man the side」(甲板員整列)

そして、サイドパイプ吹鳴の中、准将らが乗艦します。

バーク(アーレイ?)航海長が大佐に昇任して艦長としてお出迎え。

民間人のキャンフィルが日本軍基地の斥候から帰ってきました。

日本軍はレブバナなる島でがっちり防備を固めており、飛行機200機、
人員5000人が集結している、といいます。

この映画は実際にはなかった戦艦大和との対決を海戦のメインにしているので
その関係上架空の島名を使用していますが、レブバナ=ガダルカナルと考えられます。

前半で海軍基地があると指摘されたタイタン岬はラバウルに相当します。

そこでキャンフィルは

「酒盛りに接近して会話を盗み聞きした」

と嘘くさいことをいうのですが、その内容は、そのタイタン岬基地沖に
軍艦が集結しているというものでした。

至急偵察機を送りたいところですが、長距離偵察機は

「皆マッカーサーに送られて我々には何も残っていない」
(さすが海軍、どさくさ紛れに陸軍批判)

普通の飛行機ではレブバナまで飛ばしても帰ってくることができません。

さて、こちら1ヶ月の休暇中のはずのサンフランシスコのマコーネル少佐宅。

どちらも同じ部屋からの眺めのはずでですが、隣の窓に行くと、
なぜか角度が変わり、ブリッジにいきなり霧がかかって、
見えるはずのないアルカトラズが見えています。

実際なら二人の家とされるロンバードとハイドの角の家からは、
こんな間近にフォートメイソンを見下ろすことはできません。

マコーネルはトレジャーアイランドの本部にいって、
出動命令を受けたと妻のベブに告げます。

「まだ休暇の半分も終わっていないのに」

泣きながら妻は夫にいうのでした。

「それじゃ赤ちゃんを置いて行って」

こちらガバブドゥの看護師宿舎では大事件が起こっていました。
雨の中夜遅くに帰ってきたマギーは、アナリー・ドーン少尉の遺書を見つけたのです。

彼女は薬を飲んで自殺を図り、見つかったときには手遅れでした。

マギーからの電話を受けたロックから

「マギーの同僚の看護師が自殺を図った」

と聞き、心当たりに呆然とするその原因の張本人。

「彼女は息子と婚約してたんだ」

ええ、だからこそ余計ムカついてついやっちまったんですよね。

大変まずいことに、遺書にはちゃんと男の名前も書かれていた模様。
おまけに、事後彼女は妊娠したかもしれない、と男に言ったのに信じなかった、
だから死ぬと・・。

うーん、かつて登場人物がこんなクズだった戦争映画があっただろうか。


「ジェアには俺が話す💢」

ロックはすぐに作戦発動なので二度と会えないかもしれない、とマギーに告げ、
この二人の唯一の(そして一瞬の)ごくあっさりしたラブシーンが行われます。

次の朝、思い詰めた風のエディントンが一人で飛行基地に現れました。

「PBJ(B25ミッチェル、哨戒爆撃機)を用意しろ」

先日お話しした航空の父ミッチェル准将の名前を称え、アメリカ機で
「唯一人名のつけられた」B25の通称は「PBJ」です。

「大佐、飛行目的は?」

ペーパーホルダーを持った地乗員が聞いてくると、

「ジョイライド(気晴らしの飛行)だ」

まさか自分のせいで女が自殺してしまったので、自暴自棄にになり、
セルフペナルティを兼ねて片道特攻偵察してくるなんて言えないよね。


ところでカーク・ダグラスはPBJの右席に座っていますね。
普通一人で飛行機に乗るとき、必ず操縦は左席で行います。

このあとPBJは本当にタキシングでエプロンを移動していくのですが、
おそらく左(正パイロット席)には本物の操縦士が乗っていて、
カメラに映らないように姿勢を低くしながら機を操っていたのだと思われます。

さて、こちらは辛い知らせをを持って息子のPTボート基地にやってきた父。

父准将の顔を見るなりにっこりと微笑むジェレマイアでした(涙)

このジェアを演じた若い俳優、ブランドン・デ・ワイルドは子役出身で、
あの「シェーン」で子役を演じたというキャリアを持ちます。

「シェーン・カムバック!」

というセリフは日本人のわたしたちでも知っているというくらいで、
この時彼はすでにその名声の上にキャリアを築きつつありました。

しかしこの映画の7年後、手術した妻を見舞うため病院に向かう途中で、
運転していたキャンピングカーをガードレールにぶつけ、その後
車が駐車してあったトラックに激突し、(シートベルトをしていなかった)
わずか30歳で(ウェインより早く)死亡しています。

父の口から婚約者の死を告げられ、呆然とするジェア。

ロックは肝心なその理由を聞かれてもはぐらかして答えず、
彼女が遺した婚約指輪を息子に渡して、

「こんな時になんだが・・・なんと言っていいかわからないが・・」

すると息子、

「私もなんて言っていいかはわかりませんが、おっしゃりたいことはわかります」


そして二人は握手をし、永遠に別れたのでした。

 

ロック・トリー准将は怒っていました。

息子の婚約者を無理やり力づくで意のままにし、自殺に追い込んだ男。
信頼してきた部下ですが、上官として、父として、一人の人間として
ポール・エディントンに強い怒りを感じるのは当然です。

「エディントンを探せ!💢」

しかし、ポールはすでにそのとき片道飛行の空の上でした。

ロックの信頼を何もかも失うことになった今では、
彼に残された道はこれしかなかったのです。

まあ自業自得なんですけどね。

旗艦「ジョン・ポール」から勝手に飛んだポール機に無線が入りますが、
自暴自棄に飛行機を飛ばしていることもあり、無線になかなか答えようとしません。

しつこく無線で応答を求められたので渋々通信状況の悪い中やりとりを始めてすぐ、
なんと、ポールは偶然タイタン岬沖に日本艦隊を認めました。

「全部で17隻、駆逐艦12隻、巡洋艦4隻。
重巡か軽巡かは不明・・・零戦がきた!」

トリー准将が通信を代わり、

「雲の中に隠れろ。PBJでは零戦に勝てない」

すると声の主に気づいたポールは、一瞬にして顔を硬らせ(ダグラス流石の演技力)

「そうしたいが今まで見たことのない『大きなやつ』が気になる。
まるで浮かぶ島だ・・・全長は4ブロック、12門、18インチ砲だ」

「少し前にジャップが作ったという巨艦はなんて言った?
・・・・ヤマト?」

「大和だ」

真珠湾の映画だと思ったら大和ですってよ奥さん。

志村ー後ろ後ろー!

・・・・ポール・エディントン大佐戦死。

そしてPBJ空中爆発。

本人覚悟してはいたんでしょうけど、なんというか虚しい最後です。

大和艦隊の目的は、レブバナに一大拠点を作ること。
それが成功すればアメリカ軍の劣勢は明らかです。

ロックは自分の艦隊が上陸班を援護した後、
沖に出て大和艦隊を阻止することを決断しました。

「ところでエディントン大佐の任務はどう記録します」

「正式任務としておけ」

「叙勲の推薦はどうします?」

「ポールはメダルなど欲しがらない。推薦はしない」

彼がやらかしちまって出撃したという「動機」が手に取るようにわかるだけにね。

そして艦隊はついに出撃しました。

進行目標はレブバナです。

夜間、大和を含む艦隊が海図にもない浅瀬を通るなんて、
という士官たちにトリー准将はこんなことを言います。

「日本海軍には不可能を可能にするという悪い癖があるんだ」
(The  Japanese Navy has a bad habit of doing the impossible.)

そして、機雷敷設と同時に魚雷艇(PTボート)を送る指令を降しました。

「ロック・・・海戦ってどんなのだ」

不気味な「一触即発」を控え、予備将校のパウエルはつい
内心の不安を吐露し始めました。

「多分他と一緒さ。多少うるさいだけだ」

「怖くて骨がカタカタ鳴ってる・・リノのカジノのサイコロみたいに。
俺などハリウッドに戻って戦争映画の脚本を書いているべきだ」

「怖くない戦争なんてないし誰だってこんなところにいたくないさ」

「准将でもか」

「そうだよ」

こちら機雷原に差し掛かった日本艦隊を攻撃するために待機中の
ジェアのPTボート部隊です。

そして駆逐艦が次々と触雷するのを確かめ、出動。

IJNはPTボート部隊に反撃を始めました。
あの、気のせいか大和が機雷艇を主砲で砲撃しているような・・・・・。

んなわけあるかーい!

艇長をやられたPTボートの指揮を受け継ぎ、果敢に魚雷を撃って
攻撃を試みるジェアですが、艦体に「四六」と漢数字で書かれた(笑)
不思議な帝国海軍の駆逐艦に体当たりされ、戦死を遂げました。

魚雷艇部隊は駆逐艦2隻を機雷で、1隻を(ジェアが)魚雷で

「最上」級巡洋艦を撃沈

翌日届けられた死傷者リストを見て、ロックは打ちひしがれます。

日本海軍の艦船は全てが模型で撮影されました。

すこしでもリアリティを出すため中で操縦できるほどの大きさのものが
制作されたということですが、カーク・ダグラスはこの模型のおかげで
映画がすっかりダメになったと酷評したということです。

いや、あなたの演じたエディントン大佐のせいという話もあるよ?

しかしこの映画、なぜよりによって大和なんか出してきたかね。
ダグラスの酷評も最もだと思います。

大和、火災を起こしてるし・・・。
しかし、旗艦には悲痛な声が響きます。

「大和阻止できず!」

「全艦全速退避!」

トリー司令はプロットルームに呼ばれ、そこから指揮をとります。
爆風でガラスがガシャンガシャン破れまくり。

「ブリッジ、指揮官戦死!」

あらー、バーク艦長死んじゃったのか。
ということはこの人はアーレイじゃなかったのね。

もはや崩壊寸前のブリッジにいるロックとマック。



炎の中倒れこんだロック准将をマックが助け起こし、

「総員退艦せよ!」

この場合彼が最先任となったってことなんだろうな。

そして戦いは終わりました。

模型同士の海戦の行方もよくわからないまま場面は代わり、
(大和はいつの間にかアメリカ軍艦を7隻撃沈したらしい)
海の上の病院船(これも模型)が映し出されます。

個室で目覚めたロック、第一声が

「ナース」「ナース」

部屋にいた若い看護師は外に飛び出し、マギーを呼びました。

「聞こえる?ロック」

「マギー・・・」

マギーは目覚めたロックに、3週間眠り続けていたこと、
そして病院船は明日真珠湾に着くことを話しました。

「もう大丈夫・・でもあなたは左足をなくしたの」

そして、士官はマコーネル少佐以外全員戦死したことを告げました。
ハリウッドで脚本を書いていたいと言ったパウエルも死んでしまったのです。

翌日、船は真珠湾に着岸し、マックが見舞いに来ました。

「駆逐艦(tin-can)が我々を拾い上げるまで乗員が付き添ってくれました」

「グレゴリーの落下傘部隊は全滅か?」

そういえばそんなこともあったわね。

「いえ、島の北端で敵を包囲しました。
大和は向きを変えて退却して行きましたよ」

「なぜ?我々は負けたんじゃなかったのか」

そのとき役名CINCPACKII、実はニミッツ(ヘンリー・フォンダ)が
ノックも何もなしで入ってきました。

マギー中尉の敬礼は掌を面に向けていますが、
これは陸軍かオーストラリア軍の敬礼じゃなかったかな。

「君を殺すのは大変だな、准将」(直訳)

「どうも無事にコマンドショットを地獄に落としたようです」(直訳)

「生き残ったことで彼らを裏切ったと感じているのかね」

「まあそんなところです。7隻も艦を失ったんだ。
見事に軍法会議ものでしょうな」

「まだ薬が効いてるのか」

「少し」

「訂正してやろう、准将。
パラ水路での戦いは圧倒的な勝利だった。
スカイフック作戦は続行中、敵は敗退している」

そしてダメ押しに、

「軍法会議ではなく国に帰って義足をつけてこい。
そして東京に一緒に戦いにいくから、そのときには
機動部隊のデッキで指揮を執るんだ」

いや、義足で艦隊勤務はちょっと無理なのでは提督。
っていうかこれだけやったんだからもう引退させて休ませてやれよ。
相談役になってUbereatsの配達させられてる島耕作じゃないんだからさ。

 

「よく休め。それが今の仕事だ」

そう提督に言われて眠りに着く前に

「マギー」

ロックが名前を呼ぶと、

「ここにいるわ」

その顔を見て安心したように微笑み、眠りに落ちていく恋人を、
彼女は一人の女性となって見守るのでした。

 

終わり

 

 


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