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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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Uボートの艦上生活〜シカゴ科学産業博物艦 U-505展示

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シカゴの科学産業博物館に展示されているU-505本体。

その艦体周辺には、Uボート艦内から発見された実物の装備や武器について
パネルによる解説と共に観覧者が理解を深める展示があります。

その中でおそらく最も全ての老若男女の興味を引いていたのが、
Uボートでの生活を窺い知るこのコーナーではないでしょうか。

LIFE ON BOARD A U-BOAT(Uボートでの艦上生活)

と示された一角には、前にも紹介した通信室をはじめ、
乗員たちの食器などと共にキッチンなども再現されています。

■ 水密&耐圧ハッチ
Watertight & Pressure-proof Hatch



劣化していないことからおそらくレプリカでしょう。

Uボートにあったのと同じサイズのハッチが設置されています。
もしかしたら、校外学習などで来たキッズは、
ここを実際にくぐってみることもあるのかもしれません。



Uボート艦内にこれと同じハッチは、
合計4つの隔壁と、上部の司令塔をそれぞれ密閉するためにありました。




わたしも今回いくつかの隔壁ハッチをくぐりましたが、
体をかがめて分厚い隔壁ハッチをくぐるのは大変だと思いました。

映画「Das Boot(Uボート)」で、急速潜航の際、手の空いた乗組員が
人間バラストになるためにだーっと艦首側に走っていくシーンで、
ハッチをくぐる時には、上部に手をかけて足を放り込むか、
手を伸ばして頭から飛び込んで床で一回転していたのを思い出します。

映画なので多少は誇張したのかもしれませんが、
いずれにしても非常時には非常時の発地の潜り方があった模様。



荷物をかかえているとまた一段と大変そう。



水密&耐圧ハッチは、区画を完全に切り離す役目をします。
ある区間で事故があった場合、ボートを救うために
そのコンパートメントだけを閉鎖するのです。

もちろんそうなればUボートの空気は、
その時点で艦内に残っているだけしかありませんから、
一刻も早くどこかで浮上することを目指します。


椅子みたいにしてなごんでいますね。
語らうときのソファがわりになることも多かったのでしょう。
■ Uボートでの生活



【缶入りパン】

どこの国の軍隊でもそうですが、ドイツ軍においても
Uボートの乗組員は、軍のなかで最高レベルの食事に恵まれていました。
哨戒に出撃する際には、それこそスペースに詰め込むだけ
豊富な生鮮食品を詰め込んだものです。

そして生鮮食品がなくなった時のための缶詰を大いに利用しました。
中には缶詰入りのパンもあったようです。

この缶入りパンがどうしてここまで腐食しているかというと、
見つかったのが、Uボートが捕獲されてから50年後だったからです。

この缶詰は1995年になって、U-505のビルジから
作業を行なっていたメンバーの手で発見されました。

腐食のせいで外側が崩れ、中のパンも炭化したようになっていました。



【陶器の皿】
これも世界共通ですが、潜水艦は必ず陶器の食器を乗せていました。
なぜなら士官はどこの国の海軍でも、船の中で基本的には
陶器の食器で食事をしなければならなかった?からです。

比較的階級ヒエラルキーによる待遇の違いが少ないとされる潜水艦ですが、
それでも士官と下士官兵とは厳密に差異化が設けられました。

士官は食事を陶器の食器で食べること、必ず食事をサーブされたこと、
そしてキッチンの仕事は一切なかったこともその一部です。


お皿の後ろを見てびっくり。
制作元はJäger Eisenberg(イェーガー アイゼンベルグ)社とあります。
アイゼンベルグは、ドイツのテューリンゲン州にある町の名前です。
Jäger Eisenbergt画像検索

日本ではあまり知られていないのですが、1869年に創業し、
ドイツ海軍にもこのように食器を卸していました。

1960年にはやはりドイツの製陶会社カーラKahlaに吸収されたそうですが、
いまだにebayやアンティーク陶器市場では名前が見られます。

社名の下にはナチスドイツ軍のワシとハーケンクロイツが描かれ、
その下にはおそらくクリークスマリンのM、
製作された年らしき「1942」という数字が見えます。

その下の部分に1999、24、1という数字が
逆さまに描かれていますが、現地の説明によると、

「USS『ガダルカナル』乗務のパン職人が
このU-505の皿を記念品として受け取った」

ということなので、もしかしたらこれと関係しているのかもしれません。
ただ、説明不足で、このパン職人がいつ、誰から、
どんな理由で記念品としてもらったのか全くわからないままです。

ビルジから缶詰パンのミイラが見つかったのと同じ年、
艦内から回収されたお皿が何かの式典で
「ガナルカナル」のパン職人だったという理由だけで
これをもらった(けどいらないので寄付した)ってことでしょうか。




【水筒】
この標準的なドイツ軍使用の水筒は、アルミ製。

素材が何か分かりにくいですが、胴体はフェルトカバーで覆われています。
アルミより、フェルトなど布地の方が劣化しにくいんだな。
フェルトは、濡れると中身を冷やすことができたので、
ごく自然に冷たい水を保温しておくのに便利でした。

そして、その外側には精巧な皮のストラップ付き。
水筒の構成物をまとめて肩にかけることができました。

やはりこの水筒も、1995年の修復の際ビルジで発見されたそうです。

何年もかけて内部を修復保全していたということがわかりますね。



【アルカリ・エアフィルター】
ぱっと見にはこれがなんだか全く想像もつきませんが、エアフィルターです。

常に密閉された潜水艦内の環境では、
常時非常時を問わず常に呼吸用空気を用意しておくことが最重要でした。

このアルカリフィルターは、二酸化炭素中毒を防ぐために
U-505に装備された空気循環システムに設置されました。

U-505 は何百ものフィルターを搭載していたそうです。
一つのフィルターではあまり長時間役に立たなかったのかもしれません。

博物館のスタッフは、やはり1995 年、
ボートのビルジでこのフィルターを発見しました。

発見時ビルジはもうすでに水に浸かっていたわけではないと思いますが、
それでも潮水にさらされていたせいで、錆に覆われています。

■ 「食う」



【ギャレー】

これがU-505のキッチンを正確に再現したものだったら、
ほとんどのアメリカ海軍の潜水艦より機能的に見えます。

コンロはこれもアメリカ軍と同じく電気式ですが、
アメリカ軍のより現代のオール電化なコンロに近いというか。

鍋やフライパンを使っている時にボートが傾いても
滑ってひっくり返らないようにガード柵がついていますし、



シチュー鍋は専用のストッパーで抑えられています。
これだけスープが入っていたら、もし何かあって急に揺れたとき、
調理をしている人は大火傷間違いなしですが。
ちなみにコンロの周りの壁にあるものはほんものではなく、
本物のキッチンの写真が貼られています。


「ギャレー」は飛行機でもそうですが、キッチンのことです。

59人のセイラーのために調理が行われたこの小さなキッチンには、
たった1人しか立つことができませんでした。



100 日以上続くパトロールのために、
12 トン強の食糧が U ボートに積み込まれましたが、
給養は、ボートのバランスを保ち、ダイビングの動きを円滑に行うために
消費された食料とキッチン用品のすべての分量を正確に数え、
ボート全体の正確な積み込み場所をいつも同じ状態に維持するという、
戦闘の成果に直結する重要な責任を担っていました。

鍋になにかを投入中


国民食じゃがいもの皮むき中


ドイツ人もコーヒーがお好き
■ 「寝る」



アメリカの潜水艦の寝室が鉄とキャンバスで構成されていたのに対し、
ドイツのUボートは木目があしらわれています。
1隻しか見たことはありませんが、ソ連の潜水艦も木が多めだったな。

とはいえ、これは間違いなく士官以上艦長以下の寝室でしょう。



【バンク】
U-505には59名が乗艦していましたが、寝台は35しかありませんでした。
これはどういうことかというと、
バンクを共用する=常に誰かが寝ている=冷える間がない
=ホットバンク方式発動です。

前方と後方の魚雷室はそこで働く乗組員が寝ていましたが、
これらのエリアには爆発性の高い魚雷が保管されていました。

魚雷の横で寝るのは安全性で別になんともないのかと思っていたのですが、
人間の安全性はともかく、寝台が邪魔になるので、
魚雷が日常の整備を受けたり、装填または発射されるたびに、
寝台を折りたたんで邪魔にならないように移動する必要がありました。
まあ、そういう状態の時はそもそも誰も寝ていないので、無問題ですが。

もちろん5 人の将校は寝台を共有する必要はありませんでした。これも士官特別待遇の一部です。




寝る前に本を読んでいるのかそれとも休憩時間か。
チェスをしているのは二人とも士官のようです。


バンクで本を読む人その2。



哨戒後半らしく、ぼーぼーにひげを伸ばしたおじさんばかり。
談笑している人たちをバンクからガン見している人。



■「遊ぶ」


食う寝るときたら次は「遊ぶ」です。

【フォノグラフレコード】

音楽は、U-505でも人気のある娯楽でした。
まあ、あれこれ選べるほど娯楽があるわけではないですが。

U-505捕獲後、米軍はなんと艦内から87枚ものレコードを発見しました。

そのうち6枚がマーチで、残りは、当時のポピュラー曲、
または軽いクラシック音楽がほとんどでした。

いくつかはフランス語のシャンソンなどで、これは
潜水艦の母港であるフランスのロリアンで
乗組員が購入して持ち込んだものでしょう。

映画「Uボート」でも、艦長の好きなレコードはシャンソンでしたよね。
実際のU-505乗員は「リリー・マルレーン」があったと言っています。

ここにある2枚のタイトルは次の通り。

●映画音楽特集 ルッベ作品
マックス・メンシングとウォルターラオツケ・オーケストラ演奏
●Vous n'êtes pas venu dimanche (あなたは日曜日に来なかった)

ルネ・サルヴィルとサン・ジニエ作曲、
ルイ・ヘンネヴとL. パレックス演奏、
エレヤン・セリスとオーケストラ演奏

Elyane Célis - Vous n'êtes pas venu dimanche



【スカート・トランプとサイコロ】
ドイツの国民的カードゲームであるSkatと呼ばれる
32 枚のカードデッキの一部です。
U ボートの船員を含むドイツ軍兵士の間で人気のある娯楽でした。

U-505から発見された歪な手彫りの木型のサイコロ。

「Uボート最後の決断」では、「もののわかった」チーフが、
後ろで禁止されているダイスによる賭けが行われているのを知っていて、
「今から後ろに行くぞ」と予告してやめさせるシーンがありましたね。

ドイツ海軍でも、公式には乗組員がサイコロを使ってギャンブルをすることを
規則で禁止していたため、このサイコロを彫った乗員は、
隠しやすくするためわざと小さくした可能性があるそうです。
賭けがなぜダメだったかは・・トラブル防止かな?


トランプだけなら問題なし



説明がないので想像ですが、後ろにあるのクリスマスツリーですよね。
アコーディオン伴奏でクリスマスキャロル演奏かな。

大西洋では一応そこにいるのは皆キリスト教国の人のはずなので、
クリスマスには暗黙の了解で戦闘は起こらなかったんだろうな。
・・・・と信じたい。


続く。






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